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第1回共通テスト(現代文)を解いてみて

共通テストが終わりましたね。

センター試験から移行して初の共通テスト。加えてコロナ禍ということもあり、今年の受験生は、例年以上のストレスや不安と闘いながらの受験だったかと思います。本当にお疲れ様です!

毎年そうなのですが、Kacotamで関わってきた、ことし高校3年生の子たちの顔が、思い浮かびます。全員が共通テストを受けたかどうかは分かりませんが、彼らの努力の成果が存分に発揮できたことを、祈らずにいられません…!

さて。共通テストへの移行の背景には、「知識量だけではなく、思考力や判断力、表現力を重視する」という、文部科学省の意向があったと聞いています。もともとは記述式にする予定でしたが、採点の公平性や実務上の問題もあり、結局は従来通りのマークシート式となりました。

記述式こそ実装されませんでしたが、現代文に関しては、複数テキスト化が注目されていました。すなわち、従来は一つの長文を読んでその内容についての設問に答える形式だったのに対し、共通テストでは、同一テーマに対する複数の文章が与えられて読解をする、という形式になるということです。

個人的に、現代文の出題傾向については関心があり、今年の共通テストも期待とともに解いてみました。

奇しくも、カコタムメンバーのいっくんが、同じく今年の共通テスト・現代文の、本文内容について言及した、とても面白くてアツい記事を投稿していたので、僕は設問の構造的な側面から、解いてみた感想を書いてみようと思います!



今年の現代文の感想、ひとことで言うと…、

良くも悪くも、ほとんど変わってないじゃん!!


大問1の出典文章(以下、本文)は、香川雅信『江戸の妖怪革命』より。オーソドックスな形式の論説文でした。やや抽象的な部分は含まれていましたが、丁寧な論展開がされている分かりやすい文章で、焦らず読解していけば意味を取ることは難しくなさそう(ちなみに書いてある内容としては、とっても面白かったです)。

設問も平易で、結局は選択肢勝負。傍線部を過不足なく(無難に)言い換えている選択肢が正答で、言い過ぎや拡大解釈をしている選択肢が誤答。誤答の選択肢文章の中には、受験生がつい選んでしまいたくなるような「それっぽい」キーワードが散りばめられている点も、従来のセンター試験と同じでした。

後半は、本文を読んだ架空の生徒Nさんがまとめた「ノート」からの出題でしたが、文量は少なく、実質、設問のリード文といってしまって良いレベル。「傍線部」じゃなくなっただけ、という印象でした。

最終問題では、本文に関連した芥川龍之介の小説の一節を読ませるものでしたが、特に本文と照らし合わせないと解けないような設問ではなく、純粋にその一節を読んで選択肢を比べるだけで正答できるものでした。

全体として、良く言えば、正誤判定が明確で、正解に納得感のある良問ばかりでした。ただ、個人的には、もっと違うナニかを期待していたこともあり、ちょっとだけ、そっかー、という気持ちです。

※実現性はさておき、極めて個人的には、読み応えのある複数テキストを行き来しながら、それぞれの主張の相違点と共通点をとらえて、自分なりの思考へ昇華できるような設問を期待していました。大学で論文を書くときのような。実装されたらされたで、諸方面から叩かれそうだし、それはそれで特殊な対策が必要なのかもしれないけれど…。

※ちなみに大問2の小説では、設問後半に、本文に対する批評文が引用され、その指摘についての問いと、さらにその見解を論じさせる問いがありました。これは、ちょっとおもしろくて、特に最終問題は、おっ! と思いました。ただ、けっきょく選択肢で問われているのは、本文の内容を正確に読めているかの1点に尽きていました。

※やっぱり、国語の問題で記述式を避けるとなると、どうしてもこのあたりが限界なのかな…。


というわけで、今回は、現代文だけに関して言うと(ごめんなさい、現代文しか解いてないのです)、ほとんど求められている能力は例年と変わらなかったように思いました。

言い換えれば、いわゆる「受験戦争」におけるテクニック有利の状況は依然として変わらないということ。今回の現代文も、選択肢を切る技術の有無で、正答率はだいぶ変わってきたと思います。

特に、共通テスト元年である今年は、その新傾向と対策をたてるのに、各予備校や進学塾の先生たちは、本気になって取り組んできたことでしょう。そこで編み出された最新の受験情報やテクニックを享受できる子もいれば、そうでない子もいます。

学びたいことを、学びたい人が、だれでも学べるような社会。当たり前の社会になるために、それぞれにできることがあると思っていて、そのうちのひとつとして我々はKacotamで活動をしているわけですが、入試制度のありかたもまた、そこに大きく関わってくるなあ、という感想を、漠然と抱きました。



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追記.本記事中に、いろいろ勝手な意見を書いてしまいましたが、あくまで教育素人のただの感想ですので、思い至っていない点や的外れな部分があれば、どうかご容赦を。また、コロナ禍の混乱の中、新傾向を確立し、毎年世間からの厳しい注目をうけながらも試験を運営されている、大学入試センターの関係者の皆様に、心から敬意を!!



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