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【講演レポート】SOMPOケアが実践する「学生視点」の採用マーケティング〜ナビサイト偏重型から自社採用の強化へ〜

こんにちは!No Companyのマーケティング担当です。
本日は2023年9月21日(木)に、SOMPOケア株式会社さまと実施したウェビナーをレポートでご紹介します。

登壇者のご紹介

SOMPOケア株式会社 人材開発部 新卒採用育成課長 湯浅 学 氏

淑徳大学を卒業後、新卒でアパレル業界に入社。店長業務に従事した後、2012年にSOMPOケア(旧株式会社メッセージ)へ転職、管理者候補として現場のケアスタッフ、管理者、入居相談員(エリアコーディネーター)を経験。2017年からは中途採用担当である、人財採用部キャリア採用課に配属され、2019年からは現職の新卒採用担当となり、現在は責任者を務めております。

株式会社No Company プロデューサー 山根 康介

大企業化粧品会社で営業→WEBベンチャー企業で人事責任者→フリーランスでキャリアコンサルタントの経験を経て、現在は地元の淡路島(兵庫県)で暮らしつつ、フルリモートでNo Companyの正社員として働いている。プロデューサーとして大型クライアントの課題解決に携わりながら、前職の採用責任者の経験を活かして採用・組織戦略にも携わる。


1.本セミナーのポイント

山根:本セミナーでは、SOMPOケアさんの採用マーケティング施策について、セッション形式でお聞きします。採用の課題感やマーケティング導入の背景、取り組み内容、変化についてお伺いし、最後に今後の展望についてもお話いただきます。

そして、本日のポイントは2つです。

業界イメージとターゲットインサイトの可視化が採用マーケティングで重要だということ
採用コンテンツの充実と求職者のジャーニーに合わせたタッチポイント設計が、自社採用の強化につながるということ

2.採用を取り巻く概況の変化

セッションに入る前に、山根より採用マーケティングが注目されている理由や求職者のニーズについて説明しました。

山根:言わずもがなですが、コロナ禍を経て採用市場は大きく変化しました。多様な働き方や価値観の変化、オンライン化、情報メディアの多様化が影響しています。新卒採用も早期化と同時に長期化が進み、企業はこれらの変化に柔軟に対応する必要があります。

山根:上の図は、メディアの多様化と求職者のニーズの変化を可視化したものです。私が就職活動を行ってから16年が経ちましたが、当時はマイナビリクナビに登録するだけで就活が完結していました。しかし、コロナ禍で求職者と企業が物理的に遮断されたため、オンラインで情報を得る必要が生じました。SNSやWebメディアでの接点を持つことが必要になり、シフトチェンジが大きく移り変わったと思います。

山根:次に、注目を集めやすいメディアやプラットフォームをピックアップしてみました。各企業は自社のブランドイメージとマッチし、求めているターゲット層との親和性が高いメディアやプラットフォームを選び、積極的に情報発信を行っています。これは最近のトレンドだと考えられます。

山根:また、求職者のニーズの多様化は数字でも表れています。弊社の調査によると、就職活動においてSNSで情報を集めるか?という問いに対して、約60%の方が「はい」と答えています。具体的にどんな情報が欲しいかについてのアンケート結果では、視覚的にわかりやすい画像データや短い動画での情報提供(左下の部分)や、1日の仕事の流れや職場の雰囲気についての情報(右下の部分)を求める方が多いのが分かります。

山根:No Companyでは、採用広報の情報をA面とB面と2つに区分して定義付けしています。求職者のニーズが変化している今、B面情報(社内雰囲気やカルチャー、価値観など)への関心が高まっています。A面情報だけでは差別化が難しいというのもあり、B面情報の発信に力を入れることが重要です。

山根:オンラインで情報を発信することが、求職者の入社意向に影響を与えることをお伝えしましたが、採用担当者の方におすすめしたいのは「採用版ジャーニーマップ」の活用です。弊社でも採用マーケティングを考える際には、このマップを活用して、各パネルごとの課題感を整理し、効果的なアプローチや施策の設計に取り組んでいます。

3.SOMPOケアが取り組む採用マーケティング施策

山根:まず、採用マーケティングに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

湯浅 学 さん(以下、敬称略):コロナ前はナビサイトを主力として採用活動を行ってきました。しかし、コロナの影響が収束し、他の企業も採用活動を再開するようになったことで、ナビサイト中心のアプローチでは競争が激化し、求める学生を集めるのが難しくなりました。
さらに、介護があまり学生から人気のない業界であるため、ナビサイトだけでは他社に対抗できない状況でした。また、単に母集団の量を増やすのではなく、「良質な母集団」の形成にも注力すべきだと考え、戦略の見直しが必要と考え、採用マーケティングに着手しました。

山根:「良質な母集団」とはどういった状態なのかについても、ぜひお聞かせください。

湯浅:就職活動が始まる前から、SOMPOケアについての認知度やブランドイメージを高め、学生たちがSOMPOケアを選択肢として検討できるような状態を作り出すことが重要です。他社と競争するために、就活シーズン前にSNSや広告を活用し、良質な応募者プール(=「良質な母集団」)を育てる必要があると考えています。

次に、SOMPOケアが実際にどんな採用マーケティングを行っているかの具体的な施策についてお伺いしました。

山根:日々、採用マーケティングに取り組む上でどんなことを意識していますか?

湯浅:私たちは企業都合の採用活動ではなく、学生の視点に合わせた採用活動を進めるための工夫をしています。
例えば、情報提供をオンラインで行うなど、大学の講義や卒論、アルバイトなど多忙な日々を送っている学生にとって、「一番いい採用活動ってどういうものなのか?」ということを意識した選考プロセスを考えています。学生のニーズに適した採用活動を実施することで、より多くの学生にとって魅力的な選択肢を提供できるよう努めています。

山根:学生視点を持った採用マーケティングを推進していく際、どのような取り組みから始めたのか教えていただけますか?

湯浅:採用マーケティングの戦略を考える際に、まずはターゲットを理解することが重要だと考えました。これまでの訴求方法だと、学生に響いてない部分があるというふうに感じていたので、改めてターゲットとなる学生やZ世代のニーズやインサイトを把握するために、No CompanyさんにTHINK for HRの調査を依頼しました。

山根:「学生に響いていない部分があった」とのことですが、具体的にお聞かせください。

湯浅:以前は弊社の「キャリアアップ制度」に対する学生からの評価は、「入社の決め手」において上位にランクされるほどでしたが、最近ではランキングでの順位が低下しています。この原因を特定するため、まずは正しく今の学生のニーズを捉えるための調査・分析をすることが不可欠だと考えました。

山根:THINK for HRの調査を通じて、どのようなことに期待していましたか?

湯浅:ソーシャルリスニングを活用して、ターゲットに対して弊社への共感ポイントを把握するために依頼しました。毎年300名以上の採用を行っていることと、ニーズが多様化していて個々のニーズに応えることが難しいため、ソーシャルリスニングで調査し、ターゲットとなる学生の全体像(ニーズや志向性)を把握することを期待していました。

山根:実際にデータ分析を行っていただき、どのようなインサイトが得られましたか?

湯浅:当初、介護業界に対する印象について、ネガティブな意見が多いのではないかと思っていましたが、実際に調査を受けてみると、私たちの予想よりも肯定的な意見が多かったです。学生たちは介護が日本において重要な産業と捉えている傾向にあるなと感じたのと、誰と一緒に働くかという要素を重要視していることを知りました。一方で、「介護=終末期」という誤解や介護に対する理解不足の学生も多いことがわかりました。いずれにせよ、私たちが今まで気づかなかったような、新しい発見を調査で得ることができたと思います。

山根:インサイトが明確になった後に、ターゲットに対する訴求ポイントをどのように変えていったのかについても教えてください。

湯浅:元々は「人生100年時代」というコンセプトで打ち出していて、高齢者の方が生き生きとした生活ができるような世の中を作っていくという会社側のメッセージ性が強かったんですよね。しかし、調査をしてみると、介護に対してあまりポジティブではないという声や、「何をするかよりも、誰と働くかを重視している」という意見もありました。そういった学生の視点を参考に、自分らしく働いている社員を中心に訴求メッセージを発信することにしました。

山根:採用コンセプトの改変以外にも、調査結果を活用して取り組んだ施策について教えてください。

湯浅:コンセプトムービーやメディアタイアップ記事の制作、採用サイトの改修を行いました。
採用サイトについては、調査結果を基に学生に響きやすいテーマを把握した上で、コンテンツを拡充していこうということで、ついこの間(2023年7月末)公開しました。

メディアタイアップ記事については、介護業界がこれまで情報発信を行ってこなかったことや、自社が業界のリーディングカンパニーとして情報発信を推進したいという意向から、FastGrow様に記事の掲載をさせていただきました。

最後に、コンセプトムービーについては、元々「180日後」という入社半年後の社員たちを映している動画がありましたので、その方々の5年後はどうなっているのかという動画「1800日後」を作成しました。現在、YouTubeなどで動画を公開しています。

山根:現状これらの施策を通して何か変化を感じていますか。

湯浅:数値的な変化はこれから見えてくると思いますが、学生からは面接の際に、「動画を見ました」「入社して5年後のイメージができました」という声をいただいています。

4.SOMPOケアの今後の課題・展望について

山根:次に取り組もうと思っていることはありますか?

湯浅:やはり、良質な母集団を作っていくっていうのは進めていきたいですね。就活前から学生がスムーズに情報を得られるように、採用サイト内で情報を整理し、動線を整えていきたいです。また、アクセス解析を通じて問題を特定し、改善策を実施し、サイクルを回したいです。今後も定期的な調査を行い、ターゲットのニーズに合った魅力的なコンテンツを追加していく予定です。

山根:今後採用チームとしてどんな状態を目指していきたいですか?

湯浅:私たちは、どんな時代でも勝ち筋を導き出せる最強のマーケティング集団を目指しています。また、変化の激しい市場でも成功を収められる最強のリクルーティング集団を育てたいと考えています。そのために、常に「学生視点で考える」ことを意識し前進していきたいです。



以上、講演レポートでした。
弊社の導入事例として、SOMPOケア様にインタビューした記事も公開しています。

ぜひこちらの記事も合わせてお読みいただき、新たな採用マーケティングのアイデアや戦略を考える機会となれば幸いです。

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