Xフォロワー40万超えのインフルエンサー漫画家がサービス開始から「ナンバーナイン」を利用し続ける理由 【漫画家・矢野トシノリインタビュー】
昨年、5周年を迎えた漫画の電子書籍化から販促までをワンストップで提供するデジタル配信サービス「ナンバーナイン」。有難いことにサービスの登録者は毎年増加しており、2023年11月時点では3,800名を突破。漫画家さんへの印税還元額も総額7.2億円を超え、月間販売額2億円を突破する国内最大規模のサービスに成長しています。
このnoteでは、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」を利用して『防御力ゼロの嫁』など人気作を生み出し続けている漫画家・矢野トシノリさんのインタビューをお届けします。
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SNSは作品発表の実験場〜矢野トシノリ流SNS活用術〜
ーー まずは矢野さんの経歴や漫画家としての活動をお伺いさせてください。
『これからだんだん幸せになっていく怖い女上司』という前作『防御力ゼロの嫁』のスピンオフをXで連載しています。たまに奥さんとのエッセイ『りの嫁ダイアリー』なども描いたりしています。最近はただの嫁日記と化しているのですが(笑)。
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ーー 矢野さんは普段どのように漫画を描いているのですか。
自分がXをメインで作品の投稿に使っていることもありますが、描いたらまずXで投稿して読者の反応を見るようにしています。バズった作品を連載化することが多いです。
ーー 以前のインタビューでも新人の頃からやっておいて良かったこととして、SNSを挙げられていましたね。
描いてみたものを発表する実験の場として、SNSは最適だと思っています。また、作品の傾向によってどの媒体で作品を世に出すかを決めることもありますね。
デジタル配信サービス「ナンバーナイン」から有料配信するのか、Kindleインディーズマンガにするのか等。最近は作品ごとのショート動画にすることも始めていて、今後はInstagramのリールとかTikTokもやっていきたいと思っています。
ーー 矢野さんがナンバーナインを使い始めたきっかけをお聞かせください。
きっかけは2018年頃でしょうか。当時私は二次創作作品の執筆をしていたのですが、今後紙で出せなくなることがあるだろうと危機感を抱いていました。というのも、数年後に開催される東京オリンピックの影響でコミックマーケット等の同人イベントがこれまでのようなペースで開催されないかもしれない、という噂が同人誌界隈で流れていて、同人イベントでの収益が下がる可能性があったので。
一方で、もともと同人誌の電子配信への興味はありました。最初は「FANZA」ぐらいしかないかなと思っていたんですけど、漫画のセレクトショップ『マンガトリガー』(編集部注: 当時ナンバーナインが運営していた漫画アプリ)がきっかけでナンバーナインの存在を知りました。
作品を預けるだけなら損はしないし、先行投資だと思って同社のデジタル配信サービスを利用してみることにしました。正直うまいこといったらありがたいくらいの思いで、賭けみたいなとこはありましたね。
ーー 実際に「ナンバーナイン」を使い始めていかがでしたか。
「ナンバーナイン」から『防御力ゼロの嫁』を配信したら、戻し(印税)が強かった印象を受けました。利用当初の3ヶ月間で、100万円くらい入ってきたと思います。作品ジャンルによっては「Kindleインディーズマンガ」等のサービスよりも売上が高いんじゃないでしょうか。
今では個人で様々なストアに出す選択肢もありますが、ストアに自分で申し込まないといけなかったり、還元率も自分で決めないといけなかったりするので手間がかかります。また、締切がないので自分のペースで創作・配信できるのも良かったです。
権利を自分自身で保有したままにできるため作品を超えたコラボもしやすくて、自由度が高い。確認する手間がいらないんですよね。「ナンバーナイン」は自分に向いているサービスだと感じています。
シリーズ連載をする作品こそデジタル配信を利用するべき理由
ーー デジタル配信を使い始めた時に感じたメリットはありますか。
やはり販促面ですね。他社に比べて、積極的にセールを組んでくれました。大体シーズンにあわせたセールが組まれることが多いんですが、ナンバーナインには完結にあわせたセールとか、独自のセール体系があります。自分も新シリーズの新刊配信時に『防御力ゼロの嫁』とあわせてセール施策を組んでもらえました。
ーー セールを頻度高く実施することに抵抗はありませんでしたか?作家さんによっては安売りしている感覚を持たれる方もいらっしゃるような気もしますが。
とりあえず知ってもらわないと読んでもらうことができないので、安売りしているというデメリットを感じたことはないですね。それよりも、セールを通して新しい読者さんに読んでいただけるのが嬉しいです。
シリーズ作品などは途中から新規読者が入ってきづらい部分がありますが、新刊を発売しても売上が伸びるのは、セール施策があるからかなと思っています。SNS連載でも、長めの話は通常伸びづらくなりますからね。
元々インディーズ展開を考えていた『これからだんだん幸せになっていく怖い女上司』をナンバーナインで配信すると決めたのも、ゼロ嫁とあわせて施策展開してくれることや、先々スピンオフなどシリーズ化することで今後のセール施策など実施しやすいと考えたからです。シリーズものや商業連載に値するクオリティのものは、販促や複数ストア展開できることを考えると、ナンバーナインから配信するほうがメリットがあると感じます。
また、最近Xのアルゴリズムが変わったことなどによって個人の発信力が以前よりも下がってきています。これまでのようなバズで担保されていた収益が落ちている感じがあります。だからこそ、「ナンバーナイン」を通じて複数ストアへの販売を行ってくれるほうが安定するのです。収益源を分散させることは大切だなぁと感じます。
また、ナンバーナインって電子配信から紙書籍化もできるんですよ。出版社さんと協業してるので、紙書籍化の営業もしてもらえます。商業誌との併売もできるので、商業版が出たとしても同人版も併売可能なのはありがたいですね。
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ーー 単純に出版社で商業連載することとはどのように違うんでしょうか。
商業連載となると担当編集もつきますし、しっかりめに締切が設けられます。金銭的にも責任が発生するので、人によると思いますが自分は動きづらさを感じてしまうんですよね……。ペース的にいっぱい出したくても出せないので、個人で活動していくなら自分でコントロールできるところがいいと思っています。
あとは権利の問題もあります。過去にグッズ作るなど企業とのコラボ施策があったんですが、商業版と違い、自分の裁量で企画を進められるので確認作業が少なくスピード感を持って進めることが出来たのは個人でよかったことです。
商業では確認作業は多いけど法務関係の安全性や展開規模は大きかったりするので一長一短かなというところです。
デジタル配信サービスは「漫画家個人ではできないことを叶えてくれる存在」
ーー 矢野さんにとってナンバーナインはどんな存在ですか?
漫画家個人ではできないことを叶えてくれる存在です。ナンバーナインという会社が、企業という特性を活かして、漫画家の代わりに漫画家のやりたいことを実現してくれます。
もちろん販売施策を自分で考えてはいますが、どうしても個人でやるには限界があります。
例えばニコニコ漫画(公式)だと、個人では100話までしか掲載できないという制限があるんです。これは結構更新頻度が高いと、だいぶネックになります。でもナンバーナイン公式から出すことで、そこが解決されます。
作品の動画化とかもそうですが「ワンチャン相談してみようかな」で話が通ったり、気軽に相談してみるとすぐやってもらえたりするので、すごく心強いです。
ーー 今後のナンバーナインに求めること、こうなってほしいとお考えのことはありますか?
インボイスや税金のことなど、事務作業関連のサポート体制が強くなったら嬉しいですね。すでに確定申告サポートはありますが、メールのやり取りの代行、漫画の相談、SNS運用の仕方や愚痴を聞いてくれるマネージャーのような存在がいたら心強いと思います。漫画家はどうしても黙々と作業に取り組むので、人と話したくても話さなくなってしまうことがあります。だから、メンター的なポジションをやってもらえたらありがたいと感じる漫画家は多いと思いますね。
メンターとまでいかなくても、もっと漫画家同士が気軽に相談できる仕組みがあっても良いんじゃないでしょうか。交流会とかももっとやってほしいです。「〇〇さんと話したいけど誘いづらい」という悩みや「SNSでは繋がっているけど、声はかけづらい」みたいな悩みもよく聞くので、ジャンルの近い人を繋げたり、気になる漫画家とブッキングしていただけたりすると嬉しいです。そういう機会をナンバーナインがつくってくれることをこれから期待しています!
ーー ありがとうございました!
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編集・構成: ころく@ナンバーナインCXO
執筆: Moriya Ayuka
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