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『放課後ランプ』(毎週ショートショートnote)

「お父さんは僕の小学校の卒業生なんでしょ?」
「うん、そうだよ」
「学校の七不思議ってあった?」
「そうだなぁ『放課後ランプ』の話は?」
「知らない、どんな話?」
「放課後、日が暮れて誰もいない校舎でね、、、」

その子は忘れ物をして学校に取りに行ったんだって。
先生に見つからないようにそっと校舎に入ろうとしたんだけど
鍵がかかってて、次に空いてる窓がないか外から校舎を見たら
理科室のあたりでゆらゆらと火が動いてるのが見えたんだって。
そこで先生を呼んで理科室の前まで行ってみると
火のついたアルコールランプを持ってうろうろと歩く人影が見えたから
先生は慌てて中に入ったんだけどそこには誰もいなくて
テーブルの上のアルコールランプから
今消したばかりの臭いがしてたんだってさ。

「・・・」
「どうだ、怖かったろ?」
「お父さん、ひとつ聞いていい?」
「ん?」
「アルコールランプって、何?」
「そっかぁ、今の子は知らないかぁ。そりゃ七不思議から外されるわぁ」

(410文字)


<あとがき>
放課後ランプとくれば、思いつくのはアルコールランプ。
しかし、今の子は知らないらしいと聞きました。
フタについたアルコールのにおいを嗅ぐのが好きだったなぁ。

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