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COMME des GARCONS HOMME PLUS ポリエステルシャツ


縮絨をかけたポリエステルに製品染めしたシャツ。初ギャルソンオムプリュス。
ネットではエステルシャツ、ポリ縮シャツ、ポリシャツなど呼称が安定しない。サカナクションの山口一郎がしばしば言及したことで有名なシャツらしいのだが、このシャツについて前述の山口一郎が紹介した記事以外ほとんど情報が無い。
オムプリュスがほぼ国内のセレクトショップに卸していないことやギャルソンファンがSNSでの発信にさほど熱心でないから(「ギャルソンファンは敵に回してはいけない」と10年以上前のインターネットファッション界隈では囁かれてきたが、面倒くさい特定ブランドファンが幅を利かせているSNSにおいて、声のデカいギャルソンファンを私は見かけたことがない)なのか、このシャツが定番品であったことすら自身は全く認識していなかった。

光沢がありそうで実際はそんなことない。

そして、このシャツは人生で初めて購入した長袖の黒シャツでもある。振り返ってみると、そもそも黒シャツ特有のキメキメな雰囲気を感じて食わず嫌いしていたことや、上下ワントーンコーデにドレス系のアイテムが混ざることで発生するオタク感を無意識のうちに避けていたのではと思われる。

昨年からギャルソンシャツフォーエバーを購入するようになり、晴れてギャルソン童貞を卒業したので、ギャルソンシャツの新作を見る目的で大阪のギャルソン直営店に初めて訪問した。妻と「このシャツが~」と話していても「ブラウスです」とは訂正されなかったし、決め台詞「うちのカワクボ」も聞くことができず大変残念だった。
このシャツを見かけて試着をしたのだが、当初は「コンパクトなサイズ感のやわいシャツだな」程度の感覚でスルーしたが、妻はBLACKメンズのポリエステルシャツを白黒でまとめ買いした。妻がやたら「着心地がよい」とか「しわが目立たない」とか連呼しながら着用する様子を見ていると、なんとなく自身も触発され結局購入する運びとなった。

このシャツは今期(毎期?)はデザインバリエーションが豊富だが、おそらくこれが基本型。
サイズは現在の感覚から言うとかなりコンパクト。

裾のラウンドが深く、見た目以上に丈が短く見える。往年のバンドオブアウトサイダースを思い起こさせる。

柔らかくリラックスした生地感を短丈で仕立てる所が「ドメブラっぽいな」と感じる。むしろ自分が感じる「ギャルソンっぽさ」こそが「ドメブラっぽさ」ということなのかもしれない。

根巻き無し。ボタンに限らず縫製ちょっと貧弱。

ボタンは白。白を入れてくるあたりがいかにもギャルソンといった趣で、この白の差し色により一気に可愛らしさが前面に来るので好みは別れそう。着比べてみたところ、自分より明らかに妻の方が似合っていた。

ハリやカサつきの一切無い「しんなり」した生地。

コットンガーゼのように透ける感じはなく生地自体もそれなりに厚みがあって貧弱には感じない。着た感じはシャツというよりカットソーの肌当たりで、見るだけではもちろん、着用してもこれがポリエステル100の生地とはまず気付かれないだろう。blackのそれよりも生地が分厚い。値段が約一万円違うのはこれが理由か。製品染めではあるが、かなりしっかりとした黒。これだけしっかりムラなく色を入れるのなら、製品染めであっても色味にそこまで個体差は生まれないのでは、と思うがその指摘はきっと無粋なのだろう。

ぺたりとした襟なのだが…

購入時より襟に強烈な折り目が付いていて洗濯しても取れない。シワになりにくい生地は、付いたシワが消えない…ってコト!?

ギャルソンシャツのコットンブロードとはまた異なる趣で着心地も良い。ギャルソンらしいエスプリは随所に感じるが、総合的にはベーシックな服だ。これくらい肩の力が抜けていると、上下黒のワントーンコーデも挑戦しやすいのかもしれない。

「ギャルソンは和製ラルフローレン。ギャルソンに行けば何か買うものが見つかる」とは東京で一番オシャレな彼の言葉https://open.spotify.com/episode/3pQA7g9ObJPNBR69XQpaU5

であるが、程度こそ異なるがラインそれぞれがデザインコンシャスなアイテムとごりごりベーシックな服をリリースし、それぞれの間口で総合ブランドを形成できているのは、紛れもなくギャルソンというブランドの強さなのだろう。

もうワンサイズ上げても良かったかとも思ったが、ワイドシルエットからタイトシルエットにメンズファッション流行の振り子がそろそろ戻り始めた雰囲気を感じるので、このくらいのサイズ感に慣れておきたい。余談だが、国内ギャルソンシャツを扱うセレクトショップで単色ブロードシャツのナロークラシックを買い付けているショップは極めて少ない。ワイドクラシックの在庫かなりダブついてますよね?皆ぼちぼちナローが欲しくなってくる頃なんじゃないですか?

タグがレトロなのが良い。

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