重度の自閉症を有する19歳の青年における家族性糞便微生物叢移植後の腸内細菌叢組成と臨床症状の改善

重度の自閉症を有する19歳の青年における家族性糞便微生物叢移植後の腸内細菌叢組成と臨床症状の改善

https://www.journalmc.org/index.php/JMC/article/view/4209

Sabine Hazan, Jonathan Haroon, Sheldon Jordan, Stephen J. Walker

要旨

この症例報告では、重度の自閉症スペクトラム障害(ASD)患者に対する新規治療法について述べる。標準的な治療に反応しなかったASDの19歳男性青年が、定型発達の女性のきょうだいから採取したドナーを用いた糞便微生物叢移植(FMT)を受けた。患者のASD症状は、患者の過去のASD症状を知らない評価者によって評価された。評価者は、自閉症児の発達遅滞を評価するための観察に基づく評価尺度であるChildhood Autism Rating Scale(CARS)をベースライン時とFMT後の6つのタイムポイントで使用した(CARSスコアの範囲は15~60点;28点以上は自閉症を示す;スコアが高いほど重症度と正の相関がある)。この患者は、FMT後の1年半の間にマイクロバイオームの多様性と構成が著しく改善した。さらに、それまで非言語的であった患者が、FMT後1ヵ月に初めて2つの言葉を発し、攻撃性が低下した。著者らの知る限り、これはASDの思春期患者における家族性FMTの使用を実証した最初の報告である。FMT後のASD症状改善は、より若い患者で起こる傾向があることから、著者らは、家族性ドナーの使用が、この年長児が経験した転帰の改善に寄与した重要な要因である可能性があると仮定している。

J Med Cases. 2024;15(4-5):82-91
doi: https://doi.org/10.14740/jmc4209

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?