バクテロイデスと免疫

総  説

バクテロイデスと免疫

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/27/4/27_203/_article/-char/ja/


細野 朗著者情報

ジャーナル フリー

2013 年 27 巻 4 号 p. 203-209

DOI https://doi.org/10.11209/jim.27.203

詳細

PDFをダウンロード (1049K)メタデータをダウンロードRIS形式

(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)

BIB TEX形式

(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)

テキストメタデータのダウンロード方法発行機関連絡先

記事の概要

抄録引用文献 (22)著者関連情報被引用文献 (2)

抄録

生体で最大の免疫系組織である腸管には膨大な数と種類の腸内細菌が共生し,宿主の消化吸収はもちろんのこと,免疫系に対しても大きな影響を及ぼしている.Bacteroidesはヒトやマウスの腸内細菌叢を構成する細菌の優勢菌のひとつであるが,その菌種としての特性や宿主に及ぼす機能性に注目した研究は,近年注目されてきている.腸内共生菌は摂取した食品由来成分や腸内共生菌の代謝産物などの腸内環境によって強く影響を受けており,Bacteroidesはオリゴ糖をはじめとする難消化性糖類を資化することができる.特に,Bacteroidesがフラクトオリゴ糖やその構成糖であるGF2およびGF3をいずれも資化することで腸内でのBacteroidesの増殖が活性化される.また,Bacteroidesは腸管免疫系に対して免疫修飾作用を有し,小腸パイエル板細胞に対するIgA産生誘導能はLactobacillusよりも強い.腸管関連リンパ組織の形成が未熟な無菌マウスに対しては,Bacteroidesを投与することによって小腸および盲腸のリンパ節における胚中心の形成を誘導するとともに,腸管粘膜固有層での総IgA産生を活性化することができる.さらに,Bacteroidesの菌体成分による免疫修飾作用は抗原提示細胞を介したT細胞応答の活性化や炎症反応の制御などを通して,生体の生理機能にも大きな影響を与えていると考えられる.

引用文献 (22)

著者関連情報

被引用文献 (2)

Masaaki Nagano, Masatake Fujimura, Yuya Tada, et al. Dietary Fructooligosaccharides Reduce Mercury Levels in the Brain of Mice Exposed to Methylmercury. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2021, Vol.44, No.4, p.522.

Kyle Haasbroek, Masayuki Yagi, Midori Ando, et al. Effects of mats with “A Distinctive 4-Layer 3-Dimensional Structure” on sleep quality and gut microbiota: A non-controlled open-label study. Glycative Stress Research. 2021, Vol.8, No.2, p.73.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?