秘伝!自治体営業5つの極意
要旨
大手総合商社からベンチャー企業まで、様々な企業で自治体営業を経験した営業マンと自治体営業の極意について話し合いました。今日はその営業エッセンスを惜しむことなく提供いたします。
自治体営業で悩む人に、何か役立ちたい
私は、三菱商事、またSaas系ソフトウェアベンチャー企業在籍中に、官公庁の営業を合計約10年間やってきました。
もちろん最初は手探りで、様々な失敗をしてきました。しかし、それだけ学びや気づきは多かったかなと感じています。
最近、自治体営業について相談を受ける機会が何回かあり、折角なので、今までの経験を何か形にしたい。できれば人の役に立ちたい。そう思い立ち、noteを書くことにしました。
自治体営業のやり方が分からず、悩んでいるチーム。
営業ノルマが課せられていて、焦っている営業マン。
自治体営業の経験なしに、営業チームを指揮することになった管理職。
そういった方々に少しでも役に立つ情報を届けたいと思っています。
そもそも自治体とは?
自治体とは、全国に1,718市町村(2023年7月時点)あり、市町村別には792市、743町、183村となっています。明治21年には、71,314自治体があったという記録があり、規模の合理化を目的とした明治・昭和の大合併を経て現在の姿となっており、今後も縮小傾向にあるものと考えられています。
自治体予算の概要
自治体は来年度の予算を前年度の7-8月頃から検討開始します。後述の予算検討スケジュールに合わせて営業することが重要になっています。
自治体の予算規模はもちろんまちまちですが、私が夏に住んでいる北海道利尻町(人口2,000人)でも50億円のお金が毎年動いています。
自治体営業の極意 その1 「飛び込み営業が効く」
飛び込み営業というのは、一般的に成功確率が低く、とにかくルート営業で分母を増やして、成功の絶対数を増やすしかありません。
他方、自治体に関しては公共的な組織で市民サービスを提供しているので、話の仕方次第で門前祓いをされることはとても少ないものです。(不特定の市民が問い合わせをしてくることに慣れているため)
ただし、電話ではなく対面で飛び込み営業をすることがポイントです。電話の場合は対面に比べて断りやすい一方、対面は話は必ず聞いてくれます。(リードを獲得できる)
自治体営業の極意 その2 「必ず決裁者と話す」
飛び込み営業をするとき、まず最初に出てくるのは担当者です。
担当者に一通り概要を話したあと、こんな言葉を伝えてみてはどうでしょうか?
「本日、ご上席の方はいらっしゃいますでしょうか?短時間で構いませんので、少し意見交換をさせていただけないでしょうか?」
「もし差し支えなければ、ご上席の方にご挨拶だけでもさせて頂けないでしょうか?」
在席していれば、挨拶=名刺交換を断られることは滅多にありません。名刺交換の一瞬で、売り込みたい商材・サービスのポイントを10秒で語りましょう。
自治体営業の極意 その3 「予算スケジュールを理解する」
孫氏の「彼を知り己を知れば百戦殆からず」のように、戦いをする前に、まずは相手を徹底的に理解する必要があります。
自治体の場合は、独特の「予算スケジュール」をまずは把握してみましょう。
【予算スケジュール】
7-8月 次年度の予算を検討開始
9-10月 課内審議、予算パッケージの最終確定
11月 財務課との折衝
3月 議会承認
4月 予算執行
・7-8月に徹底的に営業をかけて、売り込みたい商材・サービスを検討対象にしてもらう。
・細めに担当者と連絡を取り、審議で予算落ちしていないかどうか、予算パッケージにちゃんと入ったかどうか言質を取る。
・「必要性」などの観点で他商材・サービスに負けそうになっている時に、負けが確定する前に連絡をもらい、再プレゼンをさせてもらう関係性を担当者と築くことが重要です。その関係性がないと、「予算落ちしました」の後日報告で終わってしまいます。
自治体営業の極意 その4 「自治体の慣習を理解する」
各々の組織にはそれぞれの慣習がありますが、自治体の場合、DXなど新しい取り組みについて、必ず実施するものが「勉強会」です。
商材やサービスを正しく理解した上で導入是非を検討するという趣旨のものです。「勉強会」には必ず「講師」が招かれます。
企業からすると、その「講師」になるのがポイントです。
講師の謝金は大したことありませんが、「講師」になることで自治体と関係性が生まれ、自治体からアドバイスを求められることも多くなります。
上記を理解した上で、以下のようなやり取りをすることがおすすめです。
「XX(商材・サービス)はまだまだ新しいものなので、関係者を集めた「勉強会」をさせていただくのは如何でしょうか?」
「XX様(自治体名)では、新しい知識習得などを目的とした勉強会を開催することはあるのでしょうか?」
自治体営業の極意 その5 「地元の業者を巻き込む」
自治体は、予算の利用用途についてとてもセンシティブに考えています。地域振興を考えているので、予算が地域外に流れていくことを気にします。特に首都圏の業者からの営業に関しては、「本当に地域内の業者に発注することができない業務内容で、首都圏業者に発注することがマストなのか」を細心の注意を払って考えます。
そこでおすすめなのは、事業に地元業者を巻き込むことです。事業を、経理、実務、デザイン、資材など何かしらに切り分けその一部を地元業者に振り分けることができると、「予算を可能な限り地域内で使用できる」ため、自治体や議会向けにも心証がよくなります。
終わりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回は、「地方創生事業の注意すべきポイント3選」をご紹介致しますので、ご期待いただきますと幸いです。
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