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機材のイロハVol.9~適正スティック放浪記~

先に言っておきます。

今回は”マジで”長くなるぞ。


ドラムを演奏するにおいて、どのドラマーでも必ず所持している機材があります。


そう、スティックですね。

初心者であろうがワールドツアークラスのプロであろうが、ドラマーならみんな自分のスティックを持っています。
アコースティックライブ(カホン)などで使わないこともしばしばありつつも、ドラム演奏においては切っても切り離せない関係なわけです。


以前ふとこんなことを思いました。

本当に今使ってるスティックって、自分にとって適正なものなんか?🧐


1回この疑問を持ってしまったら他のメーカーのものを試さざるを得なくなり、思い切って10種類新品を購入してみました。もうね、1回気になっちゃうとダメね。あとはシンプルに知的好奇心。

今回はその時購入した10種類のレビューとなっております。




・材質の特徴

まず始めに材質によるそれぞれの個性を3種類みていきましょう。

1.ヒッコリー

1番メジャーな材質と言って差し支えないかと。困ったらとりあえず使っとけの定番物。
硬さ、重さは後に紹介するオーク、メイプルの中間。重すぎず柔すぎずで寿命もそこそこ長い。適度にしなりもあるため、ゴルフクラブ作成にも使われていた過去もある。
ちなみに今回買った10種類は、全てヒッコリー。

注意点は、当たり外れがメーカーによって結構激しいかも

当たり外れってのは何かと言うと、木の密度です。
基本的にスティックは2本1組のペアで販売されているため、ペア間での差はそこまで大きく開きはないものの、ペアAとペアBでのスティックの総重量にブレがあることはちょいちょい見受けられます。

木の密度が低いとどうなるか。
簡単な話です、耐久性が下がります。

店頭に行けば秤が置いてある場合もあるため、自分で重さを揃えて買う人も見かけますね。
あとはパッドで試奏して”スティック自体の鳴り”で判断する人も。

正直スティックなんて消耗品なんだから、いくら揃えたところで使っていくうちに左右でバラつき出るし、神経質にならなくて全然大丈夫だと思います。


2.オーク

3種類のうちで1番硬く、重い。
硬い=耐久性がある、重い=出せる最大音量が高い
ということ。

ついこの前までは僕もPearlのクラシックシリーズのオークを使っていました。確かに頑丈だし、音もデカくなるし、何より重いから個人的にはめちゃくちゃ手に馴染みました。

だ が し か し

ここで冒頭の疑問が浮かびます。「本当に今使っているスティックは、自分にとって適正なのか」。

「オークは硬い」、そう書きましたね。


硬いってことは、他の機材(シンバル、スネアなど)へのダメージも大きいんじゃね?


例を挙げるなら、茶碗2個(硬いもの同士)をお互いにぶつけ合うと、どちらかまたはその両方が簡単に壊れてしまいます。
そのうち片方がyogiboのクッションになったらどうでしょう。割れずに済みますね。

それと同じことなんじゃないかなぁ。当てはめられるんじゃないかなぁ。

そう思ってオークは一旦辞めてヒッコリーに出戻りした感じです。

あとはその硬さが故に手首への衝撃が蓄積して痛める人もいるので、そこも考慮して検討する方がいいかも。


3.メイプル

3種類のうちで1番軽く、柔い(脆い)。
ジャズとかストリートとか、ドラムの音量があまり求められないジャンルが適正かと。
質量が軽い分、ゴーストとかの繊細なタッチの表現がやりやすいですね。

僕がドラム始めたての時はPROMARKのメイプルのスティックを使っていました。その時はメイプルの素材の特性など知らずに。

それでゴリゴリにハードヒットでしばき回すもんだから、まぁ折れること折れること。
2時間の個人練で1セット折るのはデフォルトで、酷い時は2セット、4本折ってました。マジ狂ってる。




さぁここから本編であるレビューを始めますよ。

既に1569文字…?構わん、参る。
あんまり1つが長くならないよう努力はする()。


・VIC FIRTH ( ヴィックファース ) / VIC-8D

サイズ 13.7x407mm

スティックのサイズは5Aや5Bを使う人が大半ですが何8Dて。完全に興味本位での購入。

結果としては全然合いませんでした

他のスティックはそこそこの時間かけて順番に回してましたが、この子はもう瞬殺で終わりました。笑
手にもって8ビート2小節叩いたくらいで「あぁ、これダメだ」って。

合わない明確な原因はサイズ感。細すぎ軽すぎでしたねぇ。笑
サイトにも書いてあるから大体のイメージは持てるんですが、今回ではっきりとしたデータが取れたのでヨシ。


・VIC FIRTH ( ヴィックファース ) / VIC-M

サイズ 16x434mm

VIC-MのMはMETALの意。
こいつは逆にごん太すぎて手に持っただけで爆笑してしまいました。だっておもちゃですか??ってくらい太いし長いんだもん。
名前負けしていない頭の悪さですね(褒め言葉)。

感触はというと、思ったより悪くないんだなこれが
今まで太め重めのスティックでやっていたから、手には意外と馴染むのも早かった。

あとめちゃくちゃ音量稼げる
長い分(主にスネア)ヘッドに対して点ではなく面で当てられる。更には重さを利用することでほとんど力を使わずとも”勝手にデカい音量が鳴ってくれる”って感じ。

でも悲しいかな、この子も結果は落選。
理由は長すぎるから。

僕のセッテングでこのスティックを使うと、グリップエンドが腿に当たるんですぅ…
演奏中ずっっっっと当たってみ?マジストレスだから。
ストレスだし更には演奏の妨害にもなりかねない。よって落選。


・VIC FIRTH ( ヴィックファース ) / VIC-FS5B

サイズ 15.1× 432mm

これも長い、とても長い。
結果としては1個前のVIC-Mと同じく長さが故に落選となってしまってはいるが、個人的に僅差の落選って感じ。

太さ、重さは通常の5B感覚に近いため、長いこと演奏していても疲れにくく取り回しがしやすいように感じました。

ただ1点。


ちょっと高いかなぁ(¥1,760-)。

僕はたまたまセールで1000円ちょいで買えたけど、消耗品として考えると割高かなぁ。ギリ落選。



・VIC FIRTH ( ヴィックファース ) / VIC-AS5B

サイズ 15x411mm

AS5A使ってる人いたなぁ、聞き馴染みから購入。
見た目の割に結構重たかったのが印象的
音量も稼げるし、重量感も相当好み。いくらだったかなぁと値段確認しようとしたら、なんということでしょう。販売終了してしまいました

イケベのオンラインショップには並んでいましたが、サウンドハウスより1,000円近く高けぇでやんの(¥2,100-)
この時点で熱は冷めてしまいました。落選。



・WINCENT ( ウィンセント ) / W-5B

サイズ 15.0mm×406mm

名前は聞いたことあるけど使ったこと無いやつ。まずはスタンダードシリーズから。

噂によると、WINCENTは当たり外れが少ないようで、どのペアも一律で密度がしっかりしている模様。
実際、その噂に負けない重量感でした。

だが結果は落選。

理由は単純、手に馴染まなかったから。
ラッカー加工の感じが合わなかったかなぁ、個人的には結構握りずらかった印象。



・WINCENT ( ウィンセント ) / W-5BXXL

サイズ 15.0mm×431mm

1つ前のものの長いバージョン。相場では長さが長くなると、使う材料も増えるからその分値上がりするのが定説。

でもこいつは値段が変わらない謎仕様。いや、いいんだけどね、お値段据え置きなら。
まぁ、結果は落選なのですが

理由は3点。1つ前のWINCENT5Bと同じくラッカー加工の感じが手に合わなかったこと。あとは長すぎたね、完全に。足に当たりまくるんだ。
そして重すぎもした。密度がしっかりしているのが裏目に出てしまったなと。残念ッ。



・PROMARK ( プロマーク ) / TXR5BW

サイズ 15x406mm

多分唯一のナチュラル加工じゃないかな。手汗民の味方。
例に漏れず、この子も落選なのですが理由が他とはちょっと系統が違う。


このスティック、前重心なんですよ。


以前から薄っすら商品によって重心の位置が違うことは認知していましたが、僕はこのスティックで確信しました。

僕は前重心が苦手だ。


BPMが上がるにつれて、腕→手首→指先と可動範囲は小さくなっていきます。細かい動きにしないと速さについていけないことは、ドラマーでなくても何となく理解できるかと思います。

細かい動き、フィンガーストロークになった時は後ろ重心の方が都合がいいんですよね、個人的に。
指先でリバウンドを拾って押し返すから、重心が前にあると指からどんどん抜けていっちゃうんです。だから苦手意識があるんですね。

あとは単純に重心から遠いと制御がしづらい
竹刀を持って素振りする時、柄の先端と鍔の根本、どちらを持った方が振りやすいですか?それと同じこと。



・PEARL ( パール ) / 111HC

サイズ 15x410mm

ここに来てようやく採用が出ました。おめでとうございます()。

この商品自体は、冒頭のオークの解説で出てきたスティックの材質がヒッコリーに変わっただけです。サイズ感も全く同じ。あとめっちゃ軽くなったか。

今までずっと重いスティックを使ってきたもんですから、正直慣れなかったです。

でもねぇ、何だろ。文章にするの難しいな。


・・・スルメかな。噛めば噛むほど的な。

使えば使うほど手に馴染んで、扱いやすさがこの子だけ段違いになりましたね。
更には使っていくうちに、「軽いスティックも悪くないな」って思い始めてきました。

体格の差によって、出せる音量にはどうしても限りがあります。
僕の場合はそれなりに体重もあり、体の動かし方も理解しているため割と簡単に大きい音を出すことができます。

でも、大きい音を出すこと自体が正義じゃないんですね。

バンド単位でみて、バランスが取れていなかったらもうそれはアンサンブルとして崩壊してしまっているわけです。


元の音量が小さいのを大きくすることは難しいですが、逆は簡単。
そこを見直す上で、1度”重たい硬い”材質から離れてみようかなといった試験的なアプローチ。

あとはお値段が良心的(小声)。マジ助かります。


・LERNI ( レルニ ) / H-150BW

サイズ 15mm×406mm

この子も最終選考勝ち上がりメンバーでした
そこそこの質量で音量が稼げる。長さも足に当たらない。ラッカー加工であるがグリップも悪くない。お値段良心的(重要)。

溢れた要因は強いて言うなら重さかなぁ。

最終選考に残ったメンバーは1個前のPearlとLERNIとこの次のVATERの3種類。
質量で言うと、軽い・重い・軽い。

もうね、状況が悪かったよね。「軽いの案外悪くないじゃん」って頭になっちゃってるからさぁ。笑

タイミング次第で全然採用の未来もあった個人的優秀品。惜しい。


・VATER ( ベーター ) / VHSD9W

サイズ 15.5x413mm

そこそこ長めではあるものの、あまり長さを感じさせない取り回しやすさって感じの商品でした。
Pearlに劣らない手の収まりの良さも高得点。チップは初めましての俵型。

ただ若干前重心だったかなぁ…気のせいかなぁ…笑

正直10種類を合計6時間かけて選考したもんですから、直感メインであんまり頭使ってない時もありまして…笑
だとしても最終選考まで勝ち上がっているから高評価だったことは間違いない。
お手頃価格なところも嬉しいポイント。




終わったぁぁぁぁぁぁぁ
長かったぁぁぁぁぁぁぁぁ


史上最長の超大作になってしまいました。まとめましょう。

・スティック変えようとした理由は、「現在使用しているものが本当に適正なのか」という疑問から
・機材へのダメージを考慮してオークからヒッコリーへ
・10種類購入して最終選考には3種類、勝者はPearl
・自分は前重心のスティックが苦手、ラッカー加工でも手に馴染むものもいるという2点の発見

ここまで書いておいてなんですが、最後に2点だけ注意事項。

・あくまで個人的な見解による感想の羅列であるため鵜呑みは厳禁
・結局は試奏ではなく、実際に買ってスタジオで使ってみないとわからない


沼たる所以である。

以上!それではまた👋。

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