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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「月さえも眠る夜」THE BOOM

美野里は結婚する。何人かの男と愛し合って、辿り着いた岬。勇二と船を出す。海へ旅立つ。

そんな海岸沿いのホテルで、ひとり。勇二は大浴場へと一足先に行った。今まで会った誰よりも勇二を愛している。愛の記憶は、一昨日、引っ越しをしてすっからかんになったその部屋に置いてきた。何も思い残すことはなく、勇二を愛することが出来そう。

ひとつだけ悔いることがあるとすれば、中学生の時に「付き合って」と言ってきたGのことで、彼が真っ青な顔で告白したあのシーンが頭を過った。イケメンではなく、それだけの理由でごめんなさいしたことを引き摺っていた。Gと愛し合えば良かったかなと。やさしくて鬱病になり自殺したG。窓の外に広がる黒い海に沈んでいるんだと思うと、かわいそうになる。

「戻ったよ~」と思ったよりも早く勇二が帰って来る。「え、泣いてる?」とツッコまれて「あたし、お嫁に行くんだね」と美野里は誤魔化した。いよいよ明日の朝が船出だ。

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https://open.spotify.com/playlist/5rB5QR6w01DrYgGc8klsln?si=LIeuWnfoTW2zE-il6s7jDQ

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