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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「夏の日の午後」eastern youth

いずれやって来る死。罪は溶けない。背中に晒して生きていくしかない。誰もが前科者。

そんな達観した考えに10歳で到達してしまって、久仁は苦しかった。生きづらいと言語化できたら少しは楽だっただろう。生きたくないというのが久仁の本音。でも自決する勇気など持ててしまえるほど、神様は残酷ではなかった。学校に行くのが苦しかった。でも、親を心配させたくなかったから、普通でいた。誰にもそうであるように、小学校の勉強は大して難しくはなかった。ただ心の在り方を教えてくれないので、なぜだろうと子どもながらに疑問に思っていた。

この頃、急に声変わりして身長も伸びた。低い声が自分の声だとは思えない。自分という《生もの》が腐らずに変化していくのが気持ち悪い。どうせ死ぬのに。母にそれを伝えたら、ビンタされた。パソコンのようにデータを消去できればと思ったけれど、ナニモノにも死はやって来ると無理やり安堵するしかなかった。

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https://open.spotify.com/playlist/5rB5QR6w01DrYgGc8klsln?si=LIeuWnfoTW2zE-il6s7jDQ

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