有楽町

R-1グランプリ2回戦でよしもと有楽町シアターに訪れた。
フットンダ予選会で来て、THE CONTEへの道でも来たから、この1か月で3度も足を踏み入れたことになる。種類の違う、そこそこにはヒリヒリする戦いを3度も繰り返し、そこそこには心身をすり減らしているから、苦手な印象を植え付けられていてもおかしくないんだけれども、実際のところは結構好きかもしれない。「結構好きかもしれない」なんていう、そんな偉そうな立場から申せるわけないんだけれども、「めっちゃ好き!心のホームステージ!愛してる」なんて言うのも白々しい、ちょうど過不足なく結構好きな気がする。

出るたびにそこにたくさん友達がいるからかもしれない。
いわゆる、自信の漫才をドーン!と繰り広げるような真っ直ぐぶつかる王道バトルではなくて、ダジャレを競い合ったり、なんか収録用のテレビカメラが入っていたり、不慣れなピンネタを披露してみたりという、非日常ゆえのそこそこな緊張感を、なんかそこにいっぱいいる友達たちと分かち合った思い出があるから、妙に楽しんだ記憶が残っている。
不慣れなピンネタがどうとか言ってピン芸人の方にはほんとに申し訳ないけれども、なんかあんまな手応えでざんない感じに敗退したから、じっとりした恨み節だけ置いておかせてもらう。

すべての主要賞レースの舞台袖にいらっしゃる、ありとあらゆる芸人の出はけを捌ききる舞台監督さん、僕は直接きちんと名前をおうかがいしたことがないけれどもたぶんひわちゃんのnoteにも何度か登場しているあの舞監さん、何年か前から僕のことも認識してくれていて、話しかけてくださるのが嬉しい。
今回のR-1予選も例にたがわずいらっしゃって、ネタ出番前ににやにやしながら「フットンダの借りを返さなきゃですね」と言ってくださった。咄嗟に「大丈夫です、有楽町得意なんで」と返せたのが良かった。有楽町で勝ち取ったフットンダ予選会2位通過をまんまとコロナで手放したわけだけれども、有楽町で勝ち取った錦には変わりなかった。
「有楽町得意なんで」と返したその2分後にはざんない表情で楽屋に帰ってきた。見事な2コマ漫画になってしまったわけだけれども、そこそこには周りのみんなもざんない表情で帰ってきてたから、なんかまあ良かった。良いわけはないんだけれども、「あなたはあなたの頑張るべきことをしなさい」というメッセージと捉えることとする。


賞レース予選といえばカラオケで調整だわな、と思って事前にカラオケに入ったけれども、セリフもほとんど固まっていて、鼓舞しあう相方もいなかったから、ちょっとだけ練習して、あとは喉がちょうど良く開けばいいなと思って結構歌ってた。
最近ハマった曲、ちょっと調べたらDAMにはないけどJOYSOUNDにはあるっぽくて、もし受付で「機種はどうしますか?」と訊かれたらJOYSOUNDと答えようと思って一瞬緊張してしまったけど特に訊かれることなく、部屋に入ってみたらDAMで、案の定DAMで、「あーDAMかあ、まあしょうがない、ってか関係ない、今はネタの練習だ」と思って気を取り直したものの、結局ちょっと練習して、そのあとちょっと歌ってからちょっと練習して、最終的には結構歌ってた。
なんか今思うと「あーDAMかあ、」の段階で落ちることが決まってしまっていたのかもしれない。あるいはDAMとJOYSOUNDの曲検索を掛けた時点で落ちていたかもしれない。


なんにしても今年のR-1はここでおしまいだった。
もうちょっと長い期間ヒリヒリしていたかったけれども、幸い今年はいくらでも、自分たちでヒリヒリしていく手段を持っている。ちょっとみっともないくらい新ネタライブの余韻に浸ったり皆様に宣伝してしまったりしたけれども、これだけみっともないざまを見せたのだからともかくも引き続き凛々しく立派なものを見せる、どういう形か分からないけど同じかそれ以上に凛々しく立派なものを見せていこうと思ってる。心はまだまだ忙しい。

有楽町はJRに乗ったり、有楽町線に乗ったりできるだけでなく、銀座まで歩いて丸ノ内線に乗ったり、日比谷まで歩いて三田線や千代田線にだって乗れる。有楽町からはどこにでも行けるのである。ちょっとばかし有楽町で負けようが、ここを起点としてどこにでも行けるのだ。遠くに行くし、いろんなとこに行く。

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