恋のABC

ABCお笑いグランプリ、決勝進出が叶わずそこそこにしょんぼりした日を過ごした後、本日早朝にツギクル芸人グランプリの決勝進出が発表された。腑抜けた顔をしている暇はない。なにがなんでも、乗れる勢いには乗っていかねばならない。おセンチになる時間はあんまりない。全然ない。



ABCお笑いグランプリ、実に愛おしい大会だった。2017年に初めて最終予選に残してもらえて、大阪のお客さんに意外に暖かく受け入れてもらえて、自信をつけてもらえた。
2021年に初めて決勝に上げてもらえた。ついに行けるんだ、ついにスタジオで添い遂げるんだと思ったが、そこそこに無惨な負けっぷりだった。
リベンジしないとやってられんぞと思ったけど、ついぞ叶わないまま終わってしまった。


自信をつけてもらって、かといって簡単には届かなくて、絶妙に届きそうで届かない、付かず離れず、不貞腐れることも許してくれない、本当に本当に絶妙な距離感で心乱され続けた7年間だった。めちゃめちゃ片想いした。ちょっとだけ抱きしめてもらったけど、最終的には選んでもらえなかった。実にニクい、くぅと言わされる、もうちょっと時間が経てば、時間が経って、よその結果も色々ついてきた後に「まあまあ、こういうビターなエンディングも趣きがあって良いか」みたいなトンデモ解釈で終えられるかもしれない。めちゃめちゃありがとうと言いたい。


2019年までの、大阪に夜行バスで乗り込む最終予選の雰囲気が好きだった。それ以降もなんにしても好きな大会だったけど、大阪の最終予選が好きだった。
ABCホールの大きな控え室で、大きなモニターに張り付いてネタを見たり、畳でお昼寝したり、大阪を散歩したりした。大阪の方々の面白いネタを見るのは興奮したし、東京の知ってる仲間が健闘するのも苦戦するのもそれはそれで興奮した。

ウイルスが流行って東西セパレートになった予選はなんだか寂しかったけど、結果的にその間に決勝に上げてもらえたからラッキーなのかもしれない。全然関係ないかもしれない。
ラストイヤーで迎えた今回は、東京会場に東西芸人が集まる形となった。僕らが挑戦した7年間で初めての形だった。神田スクエアは綺麗で、大きくて、決戦の場にとてもふさわしい感じがした。やっている間はちょっとだけ難しい感じがして、それが会場によるものなのか、空気によるものなのか、はたまた自分たちが緊張しているのかもあんまり分からなかった。


関西から面白い人たちがいっぱいやって来ていた。自分たちはラストイヤーであったから、必然的に同期かそれより下の人たちなのが、少しだけ気が楽でもあったし、少しだけ「情けない姿を見られたら嫌だな」みたいな緊張感が走りもした。自分らがどういう立場であれ、なんにしても相応の緊張があるだろうなとも思った。

ぎょうぶのさわはた君とか、バッテリィズの寺家くんとか、チェリー大作戦の宗安くんと喋れた。動画で見ていたような面白い人たちが、きちんと自分たちのことを認識してくれて、それなりのリスペクトを持って(たぶん)喋ってくれるのがなんだかむず痒くて嬉しかった。いくらなんでも自分らを安く見積もり過ぎかもしれないが、それくらい大阪へのコンプレックスというか、ともかくすごいと思ってる。ABCお笑いグランプリみたいな、大阪で認められたらめっちゃかっこいいと思う。

大阪の予選にお邪魔した3年間は、結局毎度大阪芸人のオーラにひよって、東京の友達とともに大阪の街を観光するに終始していたから、今回ちょっとばかしでも交流できたのが良かった。いやいや、決勝に上がれていないんだから良いことなんて1個とてあっちゃいけないんだみたいな、心にスパルタを強いる瞬間もあるけど、でもまあ、良かった。どんどん面白いことをしていけばたぶん会える人には会えるし、引き続き頑張らないといけない。



ツギクル芸人グランプリ、頑張る。他の結果なんぞ関係なくもちろんめちゃめちゃ頑張るし、ついでに、ほんの、ちょっとしたアクセントとして、失恋のショックを乱暴に下品にぶつけさせてもらう。
頑張って頑張って、もっともっと大阪まで名前が届くぐらい格を上げたい。戦うトーキョー・シティポップ。

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