プロ通

「ラーメンよりもカレーの方が好き」を標榜してきたがここ最近、ラーメンのYouTubeにかぶりついてしまっている。
「令和の虎」で虎としても活躍するラーメン店主の島田社長、島やんが、世の中の悩めるラーメン店に足を運び、そのサービスからメニュー構成、ちょっとした内装の一部に至るまで様々なポイントでコンサルしていくという動画である。

面白い。
どちゃくそに怒鳴り散らしてもおかしくなさそうな風貌なのに、理知的に冷静に、それでいてズバズバと改善点を述べていく。専門用語とかなんもかんも分からないけれども、プロ同士の鍔迫り合いを見ているようでワクワクする。
「返しは?」「醤油ベースですね」「なるほど」みたいな、そんな会話を聞くだけで見入ってしまう。「返し」が何かもよく分かってない。視聴者としてちょろ過ぎるかもしれない。
餅は餅屋にという感じで、一つ一つのアドバイスがこだわり切っている人だからこそ出てくるものなんだろうと思うし、依頼者側も自分なりにとことんラーメンと向き合ってるからこそ聞き入れられる境地なんだろうな、みたいな様子が伝わってくる。
端々に感じるプロの真髄、とてもかっこいい。僕も才気走る目のキラキラした後輩に「ツカミが遅いよ」とか言ってみたい。いくらなんでも嘘、やっぱり全然言いたくない。お笑いのコンサルとか言い出すと途端にきな臭さ、えげつない臭気を放つ。だからお笑いは良い、のかもしれない。全然違うかもしれない。よく分かんない。



ひょんなことから、というかどんなひょんがあったらそんなことになるんだとも思うけれども、Base Ball Bearの堀之内さんと声優の久保ユリカさんの「すべては推しのせいで」という配信番組に出させていただいた。
「推し」ついて熱く語る番組、ゲストに、仮面ライダーとして、戦隊ヒーローとして活躍されている俳優の徳山秀典さんと金城大和さんをお呼びして、特撮について熱く語り合おうという回だった。

僕らは特撮に聡いわけでは無いし、最後まで立ち位置がふわふわしていてかなり申し訳ない時間があったけれども、めちゃめちゃ奥深い話が聞けてともかく役得だった。
Base Ball Bearの堀之内さんがともかく特撮への愛がすごくて、ゲストお二方に対してともかく愛を語り尽くし、周りが唸りながら聞いたり、沼の深さにブレーキを掛けたりしながら進んでいく形だった。

それはそれとして、それはともかく楽しんだ上で、ともかく有意義に楽しんだ上で、それはそれとして、目の前にBase Ball Bearが座ってるのが意味わかんないな、と思った。普通に座ってた。
高校の時iPodに入れたドラマチックをめちゃめちゃ聴いていた。おお振りのアニメを毎週見ていた。ドラマチックをめちゃめちゃ聴いていたはずなのに、僕の前に普通に座ってた。
ただ僕よりも何百倍もBase Ball Bearを愛しているような人を知っているから、ミーハーオーラをフガフガ出すわけにはいかなかった。なんの遠慮か分からないけれども、誰への何の失礼なんだよ、とか思うけれども、ともかくフガフガ出すまいと、若手芸人然としてひたすらブヒブヒ言ってた。「ちょっとちょっとー!」とか、フガフガは出さずともともかくブヒブヒ言ってた。

ミーハーをフガフガ出すわけにはいかなかったけれども、現場に入った瞬間はともかく恐縮しきりで、こういう異業種の方々の中に飛び込む場面では遠慮なくフガフガ出した方が上手く回るみたいなこともあるのかもな、などと思いもした。

これからこういう場面がどんどん増えていくんだろうな、と思う。増えていくつもりでいなければ仕様がない。格を上げていくということは、そういう出会いが増えるということである。



プロたらねばと、自分のフィールドにとことんこだわりを持つ人たらねばと思う。お笑いという分野を自ら、さもありなんとかっこよくイケイケ語ることの是非はさておき、プロだからこそ異業種のプロとも知り合うみたいな、そういう引き寄せの法則(違うか?ニュアンスでいかせてもらう)に則った時間を過ごしていけたらと思う。
愛好している作品の作者さんと出会い、執筆の極意とか意外な気晴らしとかを聞いてみたい。「いやいやでもお笑いの人もさ」とか切り返されて、ちょっとしたジョークをクッションにしつつもどこかプロに響くような、感性に訴えかけるような美学を差し込みたい。いろんな人の話を聞いてみたい。いろんな人の話を聞いたり、切り返したりしてみたい。



堀之内さんが特撮愛をガンガン語るのを見て、ものすごくプロセスを端折ると、ぷよぷよをもっと頑張ろうと思った。
いやいやアホ、バカ、お笑いを頑張れよ、っていうのはその、寝たり起きたり、吸ったり吐いたりしろよってことだから、そんなん言ってこないで欲しい。僕はお笑いのプロであり(すいやせん)、愛するものとしてぷよぷよに勤しむ。

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