さようならの後も解けぬ魔法

ABCお笑いグランプリ、最終予選敗退の運びとなった。

とても悔しいけれども、本当に一切の文句もない。自分たちとしてはめちゃめちゃ出し切って、他の人たちと諸々比べた結果勝ち上がれなかったというだけだから、とても清々しい。めちゃめちゃ悔しいけれども、自分で思っていたよりは全然ドロドロした感覚がない。何の文句もない。ここに何かしら最終予選の手応えを書くことがなんかしらの文句と捉えられかねないのは本当に心苦しいけれども、本当になんの文句もない。やたらめったら繰り返すことがかえっていっそう白々しくなってしまうのは本当に心苦しいけれども、本当になんの文句もない。まっさらな気持ちである。伝えたいことは三つ、めちゃめちゃ悔しいということと、めちゃめちゃ手応えがあったということと、いっさい文句がないということ。めちゃめちゃみっともないと思うけれども、負け惜しみが言いたいんじゃなくて、愛を伝えたい、もうちょっとで届いた(かも、届いたかも?これはなんとも言えないけれども)、そういうワクワクがあった、それゆえ地団駄を踏んでいるんではなくて唸っている。「くぅ……」と言っている。
ひとえに決勝が素晴らしい大会になることを望む。嘘、さすがに自分たちがいない大会にキラキラした視線を送れるほど人間ができてはいないけれども、ともかく普段一緒になっている仲間たちにはめいっぱいやり切ってほしい。

本当に大好きな大会である。去年初めて決勝に行かせてもらったということもあるけど、その前から、初めて最終予選に参加させてもらった時から思い出深い大会だった。関西在住の方と比べると親しみが大きく違うから本当に偉そうなことは言えないけれども、大変に恋い焦がれている大会である。関西在住のほとんどの方は僕より思い出が深かろうが、放送地域外の人間の中では僕は結構な思い出の深さを誇ると思う。5年ほど前の最終予選で、当時4年目とかのペーペーであった僕らを懐深く迎え入れてもらったABCホールが本当にうれしくてうれしくて、それゆえいっちょ前に決勝に上がれなくて悔しいという感情も教えてもらって、ともかくも、いわゆる賞レースへのファイティングスピリットを植え付けてくれた大会だった。

毎年毎年挑んでは敗れる、去年ついにちょっと実る、今年そっぽを向かれる、もう、愛おしくて仕方ない。来年には離れ離れになってしまう。めっちゃ添い遂げたい。
なんか分からんけど宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」が流れている。めちゃめちゃニュアンスだけど牧野つくし(僕)が大雨に打たれながら立ち尽くしている。ドラマにそんなシーンがあったか全然定かじゃないけど、僕の携帯には合格を告げる着信は無く、大雨が降っていて、立ち尽くした瞬間に「Flavor Of Life」が流れている。分からんけど切なくて来年は添い遂げたい。

今年はまあ出し切ったし、去年の手応え、決勝に行けたという結果、諸々鑑みて8割くらい進出したという気持ちだった。8割の面持ちで歩き回ったり仲間とラインのやり取りをしたりしていたのがめちゃめちゃ恥ずかしかった。
それでもまあ、今まで挑んできたありとあらゆる審査に関して、「なんかよく分かんないけど、行ってるといいな」みたいな心持ちで待つ機会のほうが圧倒的に多かったことを考えると、うんうん、これはこれでなかなか良い成長なんじゃないかと捉えることもできる。まあそう捉えることもできるし、なんか調子乗ってたな、と捉えることもできる。でもまあ、調子乗れるときに乗っていったらいい。

今年もまもなく折り返す。結果こそまだ出ていないけれどもいい感じで来ている。再三言っているけれども(言っているか?すべての媒体を追ってみてくれ、どっかしらでなんかしら言っている、トータルして再三言っている)、僕たちはいよいよやれると思う。いよいよやれる気配がある。見ていてサマー。

あなたの素敵サポートが、僕を素敵クリエイティブにします。