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緊張感と安堵の初日夜

 幸いなことに、空港の職員には英語が通じたので、バス停の場所を聞いた。ほとんどの人は、タクシーの列に並んでいるのを横目に、空港の外に出てバス停への道へと歩いた。本当に大丈夫なのかと緊張感を保ちつつ、歩く。すれ違う人が全員何か危険な人物に思えた。先入観って怖い。やっと、バス停らしき場所にたどり着いた。英語は通じないので、マップを見せて運転手に確認する。
 ようやく滞在先へと向かうバスに乗り込めた。乗客はちょっと小汚い格好をした仕事帰りのような男たちや、小さな子供も連れたお父さんとお母さん。他にも女性が乗ってきた。心臓の鼓動が早い。バスはおんぼろで、新しい人が乗ってくるたびに、何かされるんじゃないかと思った。そんなことはなく、滞在先付近のバス停で、無事下車できた。
 お腹が空いていたので、何か食べれる場所がないか探す。全然わからないので、通りのベンチに座っていたおじいちゃんと子供にジェスチャーで伝える。そうすると、子供がついてきてと手招きをした。タコスのお店に到着。これがめちゃうまい。焼きたてのタコスの生地に、肉と野菜がたくさん。パクチーも入っていて香ばしい。あっという間に平らげた。途中で案内してくれた子どもが来て、笑顔で話しかけてくれた。夜におじいちゃんが、子どもに見知らぬ人の案内を任せるというおおらかさ。日本では見ない行動だと思う。そうした人の優しさに触れて、何とかやっていけそうと自信が少しついた。


 今回の滞在先はカウチサーフィンを使った。簡単に言うと、現地の人の家に、無料で滞在できる異文化交流マッチングサイトのようなもの。滞在先の近くに来ると、子どもたちが遊んでいた。自分の方に駆け寄ってくれて、家のところまで案内してくれた。
 何とか滞在先に到着。気持ちを落ち着かせて、安堵の気持ちが生まれた。フライトの疲れも合わさって、すぐに深い眠りに落ちた。

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