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スマホとネットが旅を変えてしまった。

 好きな作家の記事を読んで、今、旅をしている身として共感することがあったので、まとめてみる。読んだ記事はこちら。

 次の行き先はどうしようか。スマホをいじり、「ペルー 観光」と入力して検索。出てきた記事や誰かの発信を一通り見て、それをスマホのメモやGoogle Mapに入力していく。じゃあ、これを見るからこのルートで周ろうかな。大まかな日程を決めて、初日の宿をアプリで探して予約しておく。
 自分もこういう旅をすることが多い。多くの人はこういう旅のスタイルをしていると思う。ツアーを利用しても、バックパッカーというスタイルをとっても、同じようなルートを辿る。ネットに出てきた観光ルートを周り、ある程度評価が高くて、予算にあったコスパが良い宿を選ぶ。
 このようなバックパッカースタイルは自由度が高いように見えて、実は高くない。日程の柔軟さはあるけれど、ツアーとの違いはお金をかけて快適さを追求するかどうかに過ぎない。ルートが固定されてしまっているのだ。
 最近、ある場所からの高速バスに乗った。出発場所が観光地ということもあって、自分のような旅人が多く乗っていた。前の席の旅人が話し始めたので、少し耳を傾ける。アメリカ人カップルとドイツ人カップルで20代かな。2組とも同じようなルートを通っていた。チリのアタカマ砂漠から、ウユニ塩湖、ラパス。これから次の街を通って、クスコにいくらしい。チリのアタカマからウユニは自分も同じルートだった。同じようなルートを辿っている旅人はたくさんいるだろう。このルートはたくさんバスやツアーがあり、滞在場所には宿も多い。そう、快適で行きやすくて固定化されたルートなのだ。みんな似たようなルートを通り、似たような経験をし、似たような写真を撮る。そこにはなにも面白みがない。
 自分は観光地巡りばかりに飽き飽きしていたので、ボリビアでは観光地でも何でもない街にいくつか立ち寄った。そこへの交通手段があるかどうかもわからないので、色んな人に聞いた。そして、宿は予約サイトには載っているわけがないので、現地に着いてからいくつか宿を訪ねて決めた。そして、観光地ではないので、特にやることはない。ただ散歩をして、市場に行ったりする。美味しそうなご飯があれば食べる。疲れたら宿で休む。ただ、それだけのことをした。でも、観光地とは違って、何があるのかわからないし、自分で模索して目的地に辿り着くので、全ての過程が観光地巡りより冒険している気分になって楽しい。
 ふと思ったのが、スマホとネットは全てを変えてしまったということ。10年以上前だと、まだ自分が今やったようなアナログな旅は残っていたと思う。今は、ネットで全てが完結する。事前に行きたい場所もどんな所かわかるし、宿も色々と見て選べる。マップもあるので、迷うことがない。けれど、それと引き換えに、自分で体感し、苦労しながら冒険していく楽しさは失われてしまった。ネットで見れる情報は画一化されるし、訪れる場所は有名な観光地ばかりになってしまう。 
 ボリビアの旅はそれに抗う旅であったと思う。観光地ではない街を訪れることで、ボリビアの暮らしを知ることができた。田舎でゆったりとした時間を過ごすことができた。現地人に溶け込むように日々を過ごすことができた。ボリビアの土地全体が少しわかった。学べたことはたくさんある。
 少しの勇気をもって、アナログな方法で観光ルートから抜け出してみる。そうすることで、俺はマンネリ化していた旅にスパイスを加えることができた。人とは違うことをしてみたい。そんな欲求もあると思う。この国に来たから、こことここに行かなきゃ。行こう。行きたい。最近はそんな無理をしなくなっている。旅をしているからと言って、必ずしも有名な観光地に行かなくてもいい。旅のあるべき論やto do リストから自由になっている実感がある。次はどんな街に行こうかな。

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