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オプションの証拠金を安く抑える方法
日経225オプションは証拠金トレードとなりますが、ポジションを建てようとすると思いのほか高い証拠金を要求されますよね。
今回は「証拠金を安く抑える方法」に的を絞り、その効果の触りをお伝えできればと思っています。
コロ助前は日経VIが15~18くらいが平時で、たまに14台にまで突入するほど安定した低ボラティリティ相場でした。なのでSPAN証拠金も低かったため、オプションの売り証拠金も安くて、裸売りでも40~50万円程度で建てられました。
しかしコロ助後は日経VIは20が底値圏となり、高ボラティリティ状況が恒常化してしまいました。SPAN証拠金も高止まりをしてしまい、50円前後のオプションを裸売りするために必要な証拠金は80万円程度まで高騰しています。
追証を避けるには、証拠金は最低でも建玉分の2倍以上は用意した方がよく、そうするとCALL1枚、PUT1枚のショートストラングルを仕掛けただけで証拠金は130万円から150万円前後となり、その倍の250万円以上の証拠金がないといけない状況になっています。
オプション初心者にとって、250万円の証拠金を用意してから始めよう!と言ってもなかなか難しいですよね。
しかもそれだけ用意してもショートストラングル1組しかトレードできないとなるとなかなか厳しいでしょう。
こういう場合は、利益は減少するものの買いと組み合わせて証拠金を抑える工夫が必要となります。
今回はこの「証拠金を抑える」ために、「買い」を入れると証拠金がどう変化するかという基礎から書いていきます。
売りプレミアム30円を取る場合
ここでは、例えばファーのCALL売りで30円=3万円分の利益を狙う場合を考えます。
2020年10月30日のナイトセッションが終わった価格で11月限で例をあげます。
11C24500 売 1枚 29円
まずCALLの裸売りでプレミアム30円だとここを1枚売ることになります。
この時の証拠金をSBIのWEBサイト内「SPANシミュレータ」で見てみますと、
証拠金は636,000円
となっています。
ちなみにSBIのスマホアプリで見る場合は、「SPANシミュレーター」から「全ての行を削除」してからチェックしてください。デフォルトでは既に保有ポジションがある場合はそれ込みで計算されるので、結果が分かりにくくなりますので注意してください。
ではこれを、買いを含めたクレジットスプレッドにしてみます。
クレジットスプレッドについては以下で説明しています。
11C24250 売 1 51円
11C24625 買 1 20円
このようなクレジットスプレッドにすれば、51円-20円=31円=3.1万円の利益を狙えますね。
さてこうした場合の証拠金はどうなるでしょうか。WEB版の方でシミュレーションを回してみます。
あれ?
証拠金 757,000円?
全然証拠金が減っていませんね。普通にC24250を裸売りした証拠金のままです。
では、こちらのシミュレーションを見てみましょう。
証拠金 176,000円
どちらもC24250を1枚売って、C24625を1枚買った場合のシミュレーションですがどこが違うか分かりましたか?
何やらアハ体験のようですねw
もう一度見てみましょう。
よく見ると、数量のところが「建玉」か「注文」かの違いがありますね。
証拠金が高い方は「注文」のところに「売り」と「買い」の枚数を入れていますが、低い方は「建玉」の方に枚数を入れているのを確認してください。
ここが重要で、SPANシミュレータを見る上での一番重要な要素となっています。
何故このような表示になるのでしょうか?
注文時のシミュレータは最大必要な額が表示される
「注文」というのはその名の通りこれから「注文」するわけで、まだ建玉を持っていない状況下でのシミュレーションという意味になります。
日経225オプションを新たに建てる際、先に「売り」から建てると「裸売りの証拠金」が丸々必要となります。証拠金がなければその時点で「売り」が建てられないからです。それ故にシミュレータでは「売り」から建てた場合に必要なMAX証拠金を表示せざるを得ないというわけです。
そう、シミュレータではどういう建て方をするにせよ、売りから先に建てた場合のことを考えて、MAXの証拠金がいくらかを表示しているのです。
一方で「売り」と「買い」を既に保持している状態となれば、既に「買い」の方で「売り」の損失をヘッジできていますから、証券会社としては要求証拠金を低くできます。ですから「建玉」の方で既に保持しているという形でシミュレーションすれば、「買い」のヘッジができた状態での証拠金表示となるわけです。
ですから、スプレッドを建てた後の証拠金を知りたい場合は「建玉」の方でシミュレーションしなければなりません。
ここは非常に重要なポイントなので、オプションのトレードをするにあたっては絶対知っておいてください。
必ず「買い」から建てること
もう既に上で書いたように、「売り」から建ててしまうと先に「売り」の証拠金が必要となります。
証拠金に余裕がある場合は先に「売り」から建てても、すぐに「買い」を建てることで必要証拠金がその時点でグッと下がるので問題ありません。
しかし、証拠金がギリギリの場合は、先に売りから入ると一気に証拠金余力が減って次の建玉が建てられないなど思わぬ状況になりかねません。
必ず「買い」から入れる癖を付けておきましょう。
まあ、そんなギリギリな売買をするような証拠金管理はそもそもNGなのですが、スプレッドを建てる際は「買い」からという習慣を付けておくのは大事です。
決済は必ず「売り」から
もうお分かりですね。
建てる時は「買い」からですが、決済の時は証拠金の必要な「売り」から行わないといけません。
そうすれば「売り」に必要な証拠金が先に消えますから、証拠金余力がその時点で回復します。逆に先に「買い」から決済してしまうと、その時点で「裸売り」状態になってしまい、裸売り分の証拠金が一気に余力から引かれてしまいます。
まあ決済の場合は、証拠金余力がギリギリだと先に「買い」を決済したくとも決済できません。裸売り状態になった際に証拠金余力がマイナスになる場合は、「買い」の決済ができません。
とは言え、決済の場合は「売り」からという癖を付けておきましょう。
証拠金を抑えるとそれ以上にリスクを回避できる
急騰や大暴落と言った予期せぬ事態が発生すると、LC(ロスカット)を入れていても、そもそも板がなくなってLCが刺さらず大損失を被るというリスクは、オプション売りをしている以上避けられません。
何十年に一度という事態であれ、それを喰らってしまったら退場を余儀なくされるわけですから、常にそのリスク回避をしておくのは重要です。
ただし当然利益は大きく毀損するので、どこまで完璧にリスク回避するかは個々人のリスク許容度によります。
しかし、実は証拠金を抑えるためにクレジットスプレッドにしていれば、このような何十年に一度の大暴落でも損失は数十万円で確定するので退場せずに済みます。
数十万!と聞くと、それ全然ヘッジじゃない・・と思うかも知れませんが、数十年に一度の変動に巻き込まれると数百万単位で失います。
そして、仮に50万の損失を喰らっても、相場が落ち着いてからまたオプションを売りメインで地道に回収していけば、例えば月に5万円程度プラスにできていれば、途中マイナス月を挟んでも1年でカバーできます。
数十年に一度の災害で失う資金を一年の損失で食い止められるなら、その後すぐにカバーできます。
数百万円を失うと、時間だけでなく気力も失いますからそれは絶対に避けねばなりません。
このような大きなリスクにどう対応するかはまた別の大きなテーマなので、いずれ書いていきたいと思っていますが、証拠金を抑えるためにクレジットスプレッドにしていれば、最低限の対応はできているとも言えます。
なので、例えばテロや災害対策として、PUT側だけ証拠金を抑えながらクレジットスプレッドで万が一をガードする・・というのは初心者にとってはいい作戦じゃないかと思います。
ということでいかがだったでしょうか。
「売り」に「買い」を入れて証拠金を抑えることは何となく知っていても、いざシミュレータで証拠金を確認してもあれ?みたいな方は結構いるんじゃないかと思います。
買いを入れているのに何故シミュレータでの証拠金表示が売りの証拠金表示のままなの?・・と結構質問をいただくのですが、私も最初は疑問だったので今回はここについて書いてみました。
このように「適度に買い玉を入れて」「買いから先に約定させる」ことを意識すれば証拠金を抑えてポジションを組めますから、まずは色々な組み合わせでシミュレータを回して実際に証拠金の変化をみてみてください。
それではまた!
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ということで、今後ともよろしくお願いいたします。
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