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読み放題対象「人はなぜキモイと思うのか?」


気持ち悪い!

キモいです!

キモッ!

意外とこの世界の排撃運動は「キモチワルイ」や、「キモイ」から始まることが多い。あるいは直接「キモイ」といっていなくても「キモイ」が含意されることが多い。


たとえば、ジェンダー戦士たちが駅の広告等で憤って使う「こんな性的な絵が!」という叫びは、よく考えたら不思議である。当たり前だが、アニメだろうがSNSゲームだろうが、二次元の「女性」が描かれた絵が「女性」として見える以上、これらの絵が「性的セクシュアル ではない」というのはありえない話だ。本質的には「女性」を「女性として描く」という営為自体が、必然的に「性的 セクシュアルな記号」の集積体なのは当たり前過ぎではないか。

つまり「こんな性的な絵が!」という言葉が排撃の意味をもつのは、「なんでこんなキモい奴らを悦ばすような方向性の)性的な絵がおいてあるの!」といってるわけで、つまり、「私達には、こういう絵で(性的な意味で)悦んでいるオタクどもがこの絵から想像できてしまってキモい!」という含意があるわけだ。

だから、その作品を愛好する人々は「お前らはキモい!」といわれているのに等しいから、その理不尽さに怒るわけである。


以前から指摘したように「キモい」はすぐにそれらしい「社会正義」に結びつく。しかし、私は、当たり前のことであるが、「キモイ」(生理的嫌悪感)で排撃するのは誰からみても「卑劣なこと」であり、その本音がバレた時点で、もう一発で退場レベルだとおもっていた。

だが違う。私達は忘れてはいけない。「キモイ」自体が、意外と私達が想像するのとちがって「正義」なのだ。

むしろ現代のリベラルやフェミニストにとって「キモい」は、「正義の感情発露」そのものである。


たとえば2020年の高輪ゲートウェイ駅に設置された「AIさくらさん」という女性型駅の案内botの炎上くらいから顕著になった傾向だが、多くのAIさくらの排撃に名乗りをあげた人々が、最後に言い出したのは「うんうん、わかったわかった。AIさくらはただのAIだよね。セクハラで傷つく現実の女性もいないし、セクハラサービスする為に作られたわけでもない。でもね、こういう駅の案内AIにセクハラ質問をして悦んでる人達が容易に想像できちゃって、彼らがキモいからAIさくらは駄目!」などといいだした。

要するに、そのコンテンツ自体には一切の問題はなくても、そのコンテンツで「悦ぶキモいやつら」が想定できてしまったら、排撃するにたる正当性を獲得するというわけだ。原理上なんでも排撃できるのではなかろうか……。

その後も「宇崎ちゃん」そして「たわわ」など、「二次元美少女キャラ」の数次に渡る炎上などのたびに、私が「じゃあ、なんでその絵が悪いんですか?そんなに巨乳が嫌いなんですか?巨乳憎悪ですか」と質問をかさねていくと、結局最後には「別に巨乳は嫌いじゃないよ。だってそういう巨乳の美少女イラストで悦んでるキモオタどもがキモいからだめなんだよ!」と堂々と隠しもせずに語る方々がいた。しぶしぶ本音を吐露するというよりも、「だってそうじゃん!キモいじゃん!わかるでしょ?」的に、あっけらかんといわれたりする。

まるで「こいつはキモいんだから!」というのは、「自分たちはお前らを排撃するにたる正義がある!」というような意味がある。要するに、「キモイ」という感情は単なる生理的嫌悪感のように思われているのだが、実は違うのではないか。

つまり発想を転換しなくてはならない。「キモい」という不気味の感情には、個人的な不快感ではなく、なにか人類の本質的な意味での「正義の感情発生」と一緒なのではなかろうか。


・・・!

というわけで、貴方のモヤモヤをスッキリさせるニワカちゃん

では、そもそも「人はなぜキモいという感情を発生させるか」だ。今回はそのメカニズム、そして「キモい」はなぜ、容易に「正義」と錯覚されるのか、これをスッキリ明らかにする。実は「キモい」は生理的嫌悪感ではなかったのだった。


そもそも、「キモい」という言葉は単なる「ぬめぬめ」とか「ねちょねちょ」とされることが多いが、実は皮膚感覚的な嫌悪感では説明しようとしても説明しきれない。いっておくが、ほんの少し前まで西洋社会では「同性愛」が「キモイやつら」とされ犯罪とされていたのである。今では逆に、こうしたポリティカル・コレクトネスな「先進的価値観」の国では、日本製の幼女ラブドールを愛好する人達が誰の権利も侵害していないのに「キモいやつら」として、公権力に取り締まられたりするのは記憶に新しいだろう。

貴方は「ほんとうに?」とおもうかもしれないが、「キモチワルイ」というのは、「ゴキブリ」だろうが「ヘビ」だろうが、そして「萌えオタク」であろうが、かつての「同性愛者」、または「ユダヤ人」でも――共通して説明できる「キモい」の発生原理がある。これらは人間の思考の意味空間にひとつのエラーをあたえて、それが激しい不気味感をもたらし、「正義」の憎悪感情を呼び起こすのだ。

「人がどうしてキモい」と思うのか――「ぞわぞわ」と不気味による排撃の感情が生まれるか。――このメカニズムがわかった時に、どうして、「キモい」という言葉によって彼らは「正義」の執行をはじめるのかスッキリと理解できる――。これは悲しいことに現代のリベラルやフェミニズムの人による排撃活動の「正体」とはなにか明らかにすることでもある。要するに彼らは、どうして「キモい」を原動力に動いているのか。

もちろんゴキブリの場合は、

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