movie life 007(※ネタバレ注意)

昨日わたしが観たかった映画は、007である。今回は2日にわたって、「カジノロワイヤル」と「慰めの報酬」を観た。

わたしが注目したのは、その壮大なスケール感の中で描かれている人間らしさだった。

仲間をゴミ捨て場に放置したり、情報を得るために女性を誘惑したり、人間の心がないのか?と思ってしまうくらい仕事一徹なボンドだが、時に心が動くシーンが描かれている。そこで欠かせないのが「ボンドガール」と呼ばれるヒロインの存在だ。

彼女たちは、みな賢くかっこいい。ボンドにも負けず劣らず冷静で、行動的、勝気な女性たちである。ボンドは、少なからず彼女たちに影響を受けて行動している。

「カジノロワイヤル」で出てくる英国財務省の女性ヴェスパーは、ボンドが最も愛した女性としてその後の作品でも記憶の一部として登場する。彼女を失ったショックが尾を引き、続く「慰めの報酬」ではその復讐も一つのテーマとして描かれている。

「慰めの報酬」では、カミーユという女性が登場する。ボリビアの諜報員で、果敢にも敵に近づき、復讐を企てている時にボンドと出会う。ヴェスパーより行動的で、自ら車を乗り回し、海と空手の戦いではいずれもボンドに敵の場所を伝えながら、共に戦っている。彼女は復讐を終えた後、「復讐は終えた。言われた通りにやったわ。(敵に手をかける前にボンドに銃の手ほどきを受けていた)だからってどうっていうの?」と復讐の虚しさを言葉に残して去っていく。彼女の存在と言葉は、のちのボンドの復讐に影響を与えている。

どちらもカッコよく、賢い女性像であるが、同時に弱さを見せるシーンも描かれている。

「カジノロワイヤル」のヴェスパーは、目の前で人が殺されるシーンを見て、ホテルのシャワーにうたれながら震えていたし、「慰めの報酬」のカミーユは復讐のために潜入したホテルで火に包まれて、過去のトラウマから動けなくなってボンドに「お願いだから助けて」と頼んでいる。

騙し合いや戦闘シーン、背後に広がる世界の風景や豪華なホテルなども007の醍醐味だが、人間ならではの感情(弱さ)、そして他者からの影響ーそれを浮き彫りにしているような気がする。

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