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花たちはただ咲いて散る


どうして
傷つけることと
愛することが
繋がっているのだろう

姿を反転する
鏡の見えない影と影が
ルサンチマンにより歪み
または
肉体への執着に支配され
愛だと叫び
刃や斧を振るう

言葉だけでは伝わらないから
わたしたちは言葉を求めて
伝わらない言葉がとまらない

極光が強く輝いた夜
思いがけなく
わたしたちの街の上に
オーロラの赤色が揺らめいた

蔦かづらが廃屋で絡み合っている
葡萄のつるがくるくる伸びている
想像の檻のぶつかりあう音が響く
すれ違い揺らし合い
知らずに知り会っている

わたしたちは傷つくために
生まれてはいない

五月の空は晴れ渡り
鏡の池は緑を揺らす
緑濃い塊から
真っすぐ伸びて
大きく純白なカラーが
咲き輝いている

ひかりのあめが降る
あおぞらのむこうがわへ
だれもが忘れたところへ
真っすぐに伸びて
花たちは
ただ咲いて散る