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「クローズ」も「ワースト」も女子がいっさい出てこない

高橋ヒロシのマンガ「クローズ」と「ワースト」は、ヤンキーマンガのひとつのスタイルをつくった作品である。
個人的には「クローズ」の方が好きだが、この両者は基本設定は変わらない。

人気の秘密は、それまでのヤンキーマンガにあった、

「ある程度、リアリティを出すためにエゲツない描写をする」

ことがほとんどないところだ。

「エゲツない描写」というのは、
ヤンキーコミュニティにありがちな、シンナー、カツアゲ、先輩から後輩への無茶ぶり(何十枚もステッカーを買い取らされるとか)、引くほど複雑な家庭環境から不良にならざるを得なかった描写など、である。

この中にはどうしても「色恋沙汰やセックスのからんだ話」が含まれる。

しかし、そもそも「クローズ」、「ワースト」では男子校とか男性しか所属できない暴走族しか出てこないので、女子が出てこない。

唯一「花木九里虎(グリコ)」という男が、女性に不自由しない、モテモテのヤツという設定だが、外伝の方はよく知らないが少なくとも本編では「女性と携帯電話でよく話している」という描写があるのみで、女性そのものは登場しない。

「女性にまつわるトラブル」は、男社会内ではたいていエゲツなくなるので、女子が出ないことそのものが作品に「清さ」を醸し出していることは間違いないだろう。

ちなみに高橋ヒロシのアシスタントだったマンガ家の中には、作劇上、女子を登場させる人もいるが、正直、あんまりかわいくない。「かわいい」という設定で出てきてもかわいくない。

だって師匠から女の子の描き方、学べないもんなぁ。

おしまい



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