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1.沖縄(琉球)のお墓について(Ⅰ)

 沖縄のお墓について色々と考えてみたいと思います。お墓は生きている人間にとって日常生活で特に必要のないものかも知れませんが、最終的には必要なものとなるものだと思います。
 沖縄のお墓は本土のお墓と違って、敷地面積が大変広いことに驚かされます。特に亀の甲の形をした、亀甲墓(かめこうばか)が著名です。そもそも
本土のそれとは埋葬方法も儀礼も異なるので当然の帰結といえます。

沖縄県今帰仁村  百按司墓(ムムジャナハカ)

上記の写真は、沖縄県今帰仁村の運天港を見下ろす崖面を利用したお墓で、周辺をおさめていた「按司」たちが葬られた墓とのことである。崖の窪地を利用した場所に夥しい人骨と複数の木棺が存在していた。私が見学した時には木棺は無く、写真上の2つある穴(窓)から中が見学できた。数個の「厨子甕(ずじがめ)」と白骨の一部が観察された。葬られた時期は16世紀以前とされるが未詳である。ここで問題となるのは、この場所が遺体安置場所であり、納骨堂も兼ねている点である。葬送儀礼が異なると言ったのは、沖縄の方法が、遺体を自然風化させる「風葬」が主流であったことに尽きる。
つまり本土と異なり火葬は拒否され、入棺された遺体はそのまま数年放置されるということになる。さらに驚くべきことはそれら遺体が骨化された時期を見計らって遺骨を洗う「洗骨」という儀式を経る。洗骨された骨(まさに白骨)は「厨子甕」という大きな容器に納められた。納める方法は足先から始まり、頭蓋骨が最後、つまり最上部に置かれる。(言い換えれば蓋を開けるとまずは頭蓋骨が見えるということだ。)その全てではないが「百按司墓」でその光景を見たような気がした。本土のお墓を見慣れているものとして全くの異国、異次元の儀礼を垣間見た…。


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