中西 茂

教育取材30年。大学教員と教育ジャーナリストの二足のわらじをはいています。元新聞社編集…

中西 茂

教育取材30年。大学教員と教育ジャーナリストの二足のわらじをはいています。元新聞社編集委員です。

最近の記事

【心の職員室・新聞綴り】414

<作文コンクール AI警戒>と朝日新聞社会面。青少年読書感想文全国コンクールの応募作品にも、すでにAIを作ったものがあるそうです。全国学校図書館協議会の事務局では、実際に生成AIに感想文を書かせる実験をしているといいます。 朝日新聞の5日夕刊は1面で、<廃棄されるユーカリからアロマ 大学生が商品化>。鹿児島県いちき串木野市の久木田紫絵留さんで、小学校このロコからハーブやアロマに関心をいだき、6年生で業界団体の資格を取得、高校生の時には母親と会社を立ち上げて社長に就いたといい

    • 【心の職員室・新聞綴り】413

      3日の朝日新聞朝刊は、20年前にいじめで自死した埼玉県蕨市の女子中学生の両親の思いを、社会面トップで大きく取り上げていました。2年前まで娘の部屋はそのままにしていたといいます。その思いはとても重いです。 女子生徒が書いた作文をいじめ対策の教材にしてほしいと教育委員会に訴え、作文も公文書になったそうです。「高校に行けば、大学に行けば、大学に行き、社会に出れば、違う世界が待っている」と記事にありますが、まさにその通り。そのことを当事者にどう気づかせるかだと思います。 3日の日

      • 【心の職員室・新聞綴り】412

        読売新聞の「明日への考」は「地方創生の人づくり拠点」がテーマで、「地域・教育魅力化プラットフォーム」代表理事の岩本悠さん(44)。隠岐島前高校の島留学をと手がけたことで有名ですね。先日もなぜかNHKの新しいプロジェクトXでこのことが取り上げられていました。 今回の取材の舞台は隠岐ではなく、鹿児島県の喜界島。この島には神奈川県から隠岐島前高校に進学し、喜界高校の「サンゴ留学コーディネーター」を務める市川萌笑さん(20)がいます。岩本さんの弟子のような存在なのでしょうか。 記

        • 【心の職員室・新聞綴り】411

          朝日新聞は都内版で、小池都政の子育て支援策について、見開きで取り上げていますが、何がいいたいのかよくわかりません。高校の授業料の実質無償化で<暮らし楽になる?><「助かるが」重いコスト><授業料「負担のほんの一部」>と、何とかアラを探そうという見出しが続きます。 一方で、元鳥取県知事の片山善博さんに、鳥取は早くから30人学級をやった。みんな同じがいいですかと言わせています。国が一律にやることと、地方が独自にやることは、当然両方あっていいわけです。ただ、周辺県との差が物議をか

        【心の職員室・新聞綴り】414

          【心の職員室・新聞綴り】410

          部活動の指導・引率上の事故で刑事責任が問われる判決が宇都宮地裁で出ました。2017年に栃木県那須町で起きた雪崩によって、登山講習会に参加していた高校生ら8人が死亡した事故で、講習会の会長と実際に院即した教諭2人に、禁固2年の実刑です。判決には「相当に重い不注意による人災だった」「相当に緊張感を欠いたずさんな状況で、漫然と実施された」などと、厳しい言葉が並んでいます(読売)。 読売新聞は1面、3面スキャナー、社会面という大展開。朝日新聞も社会トップでした。読売では旧知の日本女

          【心の職員室・新聞綴り】410

          【心の職員室・新聞綴り】409

          読売新聞の「教育ルネサンス」は「博士人材」をテーマにしていますが、その中で、<専門知識活用して教員に>という回です。2008年度に全国に先駆けて博士を教員として採用し始めた秋田県の高校に取材しています。 初年度は6人、今年度も7人が採用されたとあるので、同じようなペースで採用しているならかなりの数になるはずですが、任期付きだったりするのかもしれません。その間の情報は抜けていました。 その後は静岡県や和歌山県にも広がり、教員免許を持たなくても特別な選考で採用になる仕組みがで

          【心の職員室・新聞綴り】409

          【心の職員室・新聞綴り】408

          久しぶりに「えっ!」と思わせる統計ものの記事を読みました。読売新聞の教育面で、学習塾の「明光義塾」が3月に実施したネット調査。<デジタル教科書 認知進まず><保護者6割「知らない」>と見出しがついています。小学校4年から中学2年までの850人が回答した結果です。 何がおかしいかって、この調査の「子どもが所有しているデジタル端末」の設問で、スマホが69.5%、1人1台配備された学習用端末49.2%とあったからです。全国津々浦々にいきわたったはずの端末を、半分の回答者が知らない

          【心の職員室・新聞綴り】408

          【心の職員室・新聞綴り】407

          朝日新聞の27日教育面は、大阪の高校授業料完全無償化の課題を3人に聞いていました。中嶋哲彦・名古屋大名誉教授が、制度上、私立学校は63万円いじょうの授業料設定ができず、教育のためなら行政が民間活動に制限を加えてよいとなると、私学の存在意義がなくなる可能性があること、生徒が私学に流れて公立が衰退することなどをあげていました。 実際に公立高校の定員割れは前年度と比べて20校以上に増えたというデータも別項で示されて説得力があります。ただ、新制度だけの影響ではないかもしれません。そ

          【心の職員室・新聞綴り】407

          【心の職員室・新聞綴り】406

          読売新聞の「明日への考」にNPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんが登場。「加速する少子化」に対して「当事者でなくなっても声を上げよう」と訴えています。保育の分野での政策提言を続ける彼も40代半ばでしょうか。 「カタリバ」の今村久美さんとともに、「慶大SFC20年」という教育ルネサンスのシリーズで卒業生として取り上げたのは、2人が30歳のときでした。その後の2人の活躍ぶりは本当に目を見張ります。 朝日の「天声人語」に、札幌聾学校の児童の賠償訴訟のことが取り上げられていました。

          【心の職員室・新聞綴り】406

          【心の職員室・新聞綴り】405

          高校生の政治活動の学校への届出について、愛媛県の話が朝日新聞社会面で大きく取り上げられていました。選挙権年齢が18歳に引き下げられた2016年、愛媛県では県立の全高校で、校外での政治活動参加を事前に届けるよう校則で義務付けたが、全65校中36校がすでに廃止しているというのです。 導入当時の県教委幹部は、暴力的、違法な活動に巻き込まれる可能性を考えたリスク管理で、思想信条の自由を制限する意図はなかったと説明しているようですが、届け出の例自体がなかったようです。。もはや18歳は

          【心の職員室・新聞綴り】405

          【心の職員室・新聞綴り】404

          朝日新聞の「私の視点」で聖心女子大の永田佳之さんが、昨年11月にユネスコで採択された「平和、人権および持続可能な開発のための教育勧告」について書いていました。旧勧告は1974年。「ほとんど報じられていない」が「日本の教育の当たり前が国際的には当たり前ではないのかが分かる」とあります。 「世界の教育で今求められていることは何よりも<共に生きうることの大切さ>だ」そうです。「コンヴィヴィアル」(共生的、和気あいあい)という言葉が出てきて、「子どもにとっても先生にとってもワクワク

          【心の職員室・新聞綴り】404

          【心の職員室・新聞綴り】403

          カスタマーハラスメント防止のための条例を東京都が作るそうです。読売も朝日も取り上げていますが、読売には〈カスハラ防止「役所・学校も」〉と見出しがついています。学校に通う子どもや保護者も消費者と規定するなら、違和感があります。 読売都内版では、都教委が今年度全小学校で導入したエデュケーション・アシスントの評判を大きく扱っています。ただ、具体的に書かれているのが昨年度まで学習支援員をしていた江東区の女性の例で、支援員との違いがはっきりしない原稿です。すでに2022年度から江戸川

          【心の職員室・新聞綴り】403

          【心の職員室・新聞綴り】402

          自腹切る教職員、という大きな見出しが目立ちます。21日朝日新聞朝刊社会面トップは、千葉工業大学の福嶋尚子准教授らの調査でした。インターネット調査で昨年8月、1000人強の教職員に聞いた結果、自腹経験が76%とありました。こういう調査は珍しいです。ただ、自腹を切った人が回答すると思われるので、割合にどれだけ意味があるのかはちょっとわかりません。 。 教材や備品、自作の教材の材料費など授業に関わるものが多いですが、部活動で救護用具の購入の10万円という例や、修学旅行の下見や引率の

          【心の職員室・新聞綴り】402

          【心の職員室・新聞綴り】401

          <禁止予防へ 国語や算数も屋外で>という見出しの記事が朝日新聞教育面で。台湾の小学校の話です。休み時間にプラスして1日120分屋外活動をすれば近視の発症が抑えられるというのです。わざわざ校舎を建て替えて公邸に出やすくしたと聞くとさらに驚きます。 この学校では、休み時間には教室の照明を消して児童が外に出るよう促し、保護者にも説明会を開き、読書やゲームなどを30分行ったら10分は休ませるといいようです。近視は10歳以下で発症すると強度近視に至る、となると本気で考えたほうがよさそ

          【心の職員室・新聞綴り】401

          【心の職員室・新聞綴り】400

          公教育の内と外、とでも言えばいいのでしょうか。 読売新聞は「あすへの考」は、古沢由紀子編集委員が、簡素化が進んでいる内申書の見直し問題を取り上げていました。 たとえば埼玉県は2007年の高校入試から、部活動や生徒会活動の欄をなくし、9教科の成績評定を基本にするという。ただし全員対象の面接を導入し、中学生は中学生活で力を入れたことなどを「自己評価資料」にまとめて臨むそうです。 世の中の変化として、働き方改革や部活の地域移行もあります。文科省は細かいことを示していないので、都

          【心の職員室・新聞綴り】400

          【心の職員室・新聞綴り】399

          読売新聞の「The 論点」は<宿題って必要?>。賛否両論を並べる欄ですが、データとして、東大・ベネッセの調査で、ここ数年、小学校から高校まで、宿題にかける時間が減っていることに驚きました。 スマートグラス不正の受験生は、別の大学でも問題を撮影したとありました。決済アプリ数千円の報酬というのもすぐ足がつくでしょうし、そもそも早大の創造理工学部と商学部を受験していることも謎です。 神戸の教師間暴力問題(2019年)。カレーを食べさせる映像は何度もテレビで見せられましたが、この

          【心の職員室・新聞綴り】399