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新規就農について知りたいという方へ。

はじめに


ここ2年ほど、「新規就農について知りたい、教えて欲しい、話を聞かせて欲しい」というお問い合わせをいただくことが増えました。

これから実際に新規就農したい方はもちろん、大学生の方で、これからの農業について危機感を持ち、卒論のテーマにされている方などからも毎年数件、ご連絡をいただきます。

初めの頃は、忙しい中でも時間を作り、律儀に一件ずつお会いしたり、電話したりでお応えしていましが、何人もの方とお話させていただく中で、

「どうやらみんな、知りたいことは大体同じなのではないか?」

と思ったことと、

私自身も仕事が忙しく、もうこれ以上、ボランティアではお応え出来そうにないな、と感じるようになりました。

ただ、
「新規就農について不安な気持ちを、少しでも誰かの経験を聞いて安心させたい」
というお気持ちも、痛いほどわかります。

なので、思いつく限り、皆さんが知りたいようなことを、ここに書きつけておこうと思います。
(さらに思いついたら追記していきます)

まず、前提として、私自身は就農してやっと5年間の「認定新規就農者」の期間が終わったところです。(2023年5月現在)
先日、今後の5年の営農計画を提出したので、これからは「認定農業者」になります。
(このような基本的な語句や、新規就農の制度については、もう皆さん知っている前提で書いていきますので、わからない部分はご自身で調べて下さい)

うちにお問い合わせいただく方々の知りたいことは、主に3種類あると感じています。

① 新規就農のリアルについて知りたい。
② 有機農業について知りたい。
③ Nishio Farmの仕事について知りたい。

ここでは主に、①について書いていきます。
とはいえ、私という一人の人のサンプルに過ぎないので、皆さんの役には全く立たないかもしれません。他の色々な事例もたくさん調べてから、ご自身の責任で、進んでいってください。

②については、たくさん勉強会があるので、まずそれに参加されるのが良いだろうと思います。都道府県が開催するような大掛かりな勉強会から、振興局などの開催するような視察を含む小規模の勉強会などもあります。また、色々な流派?の任意の勉強会もあるでしょう。
たくさんの有機農家さんも参加されていますし、交流会なども開催されているので、ぜひ参加してみて下さい。

私自身は、最初の頃こそ色々と参加していましたが、今はもう有機農業についての勉強会にはほとんど参加していません。
自身のスタイルは有機農業ですが、お手本にしているのは、同じ地域の農家さんたちです。
「有機」や「慣行」で栽培方法を分けるよりも、同じ土質であったり、同じ気候の中での栽培方法を教えてもらう方が、作物にとって良いと感じています。

また、③のNishio Farmの仕事についてですが、例えばこんなご質問を頂きます。

「年間の売上はいくらですか」
「お取引先はどちらですか。また、そのリーチの方法を教えてください」
「今後のNishio Farmのビジネス戦略について教えてください」
「HPの作り方を教えて欲しい」

等々。
これらについては、お答え出来ません。
そもそも、会ったばかりの人に話すようなことではないことと、自分にとっても知的財産であることから無償提供の枠を超えていること。また、関係者など多方面にご迷惑をおかけする可能性があることが理由です。
仕事に関しては、アウトプットされているものが現在の全てです。今後の仕事に関しても、一般のお客様と同じように、楽しみにしていただけたらと思います。


これから書くことは、あくまで私の経験であり、私の捉え方です。
「こんな感じもあるのか」という感じで、読んでいただけたらと思います。

また、記事に関しての更なるご質問、ご意見などは受け付けておりません。
この記事に関して「お話を聞かせて欲しい」もご遠慮下さい。
そもそも、「もうお話しなくて良いように」この文章を書くのです。

では、質問返答集を始めます。

1 今の就農地を選んだ理由は何ですか?

新規就農では、一般的には研修先が必要になります。

私の希望した研修先の農家さんが、上富良野町に住んでいた、というのが、上富良野町に移住した最大唯一の理由です。
うちの研修先の農家さんは、当時で30年以上有機農業をされていた方で、富良野地域では全く知られていないのですが、東京や関西などの超お洒落高級スーパーなどで、生産者さんの名前付きで販売されています。
その方のところへ研修に入りたかったので、その居住地の上富良野町が候補地でした。しかしなかなかすぐに上手くいかず、5年ほど、道内のあちこちや、本州まで就農地を探す旅を続けました。

そもそも自治体についてですが、富良野地域は、上富良野町、中富良野町、富良野市、南富良野町と、4つの自治体がくっついています。旅行に来た方は、広がる平野の全てが「富良野」だと思われるのではないかと思いますが、実は細かく分かれており、その自治体によって、新規就農のシステムや受け入れ体制、雰囲気が全く違います。

私が就農地を探している時、上富良野町は新規就農者を受け入れていませんでした。
一方で、そのお隣の中富良野町では、役場の皆さんも農家の方々もとってもウェルカムな雰囲気だったので、就農地を探し始めて3年ほどの時、もう中富良野町に決めようと思って、子どもたちの小学校や保育園まで見学に行っていました。
(ちなみに富良野市も新規就農者ウェルカムですが、トマトかメロンでの就農のみで、有機農業はダメ、という制限があります)

しかしその後、ひょんなことから今住んでいる家や土地が手に入ることになり、今の研修先の農家さんにも研修受け入れのオッケーを貰うことも出来、色々な方のお世話になりながら役場の方々とやり取りし、上富良野町に久し振りの新規就農者として入ることになりました。

就農までの準備期間がとても長かった(6年ほど)のでヤキモキすることもありましたが、その期間に今のお取引先に出会えたり、資金も準備出来たり、色々な素敵な出会いもあったので、結果としては良かったと思っています。


2 就農して(移住して)、想像と違ったことはありますか?

前述のように、中富良野町のことは熱心に調べていましたが、突然に上富良野町に移住することが決まったので、あまり予備知識なく移住することになりました。

皆さん、新規就農についてのウェブ記事や、農水省の記事など色々読まれて、不安を感じたりしている部分もあるのかなと思うのですが、私もそうでした。
しかし、その記事に載っているような不安なこと(例えば地域に馴染めなくて孤立するとか、役場と対立するとか)というのは、ほとんど起こらかなかった(または私が気づかなかった)ように思います。

理由は色々あるのかと思うのですが、農村の高齢化が進み、既存のコミュニティの存続も危うい状況なので、ちょっと前(10~20年前)の新規就農の記事の状況(既存の住民の勢力が強く、新規の人が入りにくい)とはまた違う雰囲気だったからなのかなと思います。

想像よりも良かったことはたくさんあります。

まず、友達や、尊敬できる先輩たちが、たくさん出来ました。
富良野は農業者と都会の女性との婚活イベントを積極的に行っている地域で、農家の奥さんは都会から来た方が多く、色々なキャリアを持った女性たちが農業を行っています。その方々と早くから知り合えたことで、最初から先進的な農業経営に触れることが出来ました。

また、北海道では女性農業者の大きなネットワークが2つあり(「links」と「きたひとネット」)、そこにも早くから所属したことで、一気に農業者の先輩が増えました。

農業を始めて、農業繋がりの女性の友達が出来ることを想像していなかったので、これはとてもとても楽しく嬉しいことでした。

他にもたくさんの想像以上の楽しいことがあるのですが、それは日頃のSNSなどにも書いていますし、ここでは割愛します。

3 自治体によって受け入れが違うなら、どうしたら良いでしょう?

まず、ご自身のやりたい農業の形をある程度決めて、色々な自治体に問い合わせてみるしかないと思います。
私も、道内のかなりの数の自治体に連絡しました。

上富良野町であれば、農業振興班という部署が、新規就農のお世話を含め、農業全般を担っています。気になる方は、そこに普通に電話やメールで問い合わせしてみたら良いと思います。

北海道上富良野町公式(行政)ホームページ|農業振興班 (town.kamifurano.hokkaido.jp)

自治体によって、対応の温度差はとても激しいです。

1にあったように、私が就農前の上富良野町は、超絶塩対応でした。
農地は空いていない、新規就農者は夜逃げする(?)、辛いことばかりなのだから子供のためにやめた方が良い、等々、こんこんと説得されました。
(今はたぶん、もっと温かくなっています!)

逆に、「今すぐ見に来なよ!ぜひ来てよ!」みたいなノリノリの自治体もあります。

どちらの方が良いかは、なんとも言えません。
確かに、上富良野町は脅し過ぎな部分はあれど、一理ありな部分もあります。農業に限りませんが、新しく事業を始めるということは、決して安泰な道とは言い難いです。
また、ノリノリで新規就農して、やはり失敗することもあると思います。

自治体の対応に一喜一憂せず、事例を担当者からたくさん聞いて、じっくり考えて決めていくのが良いのではないかと思います。

4 初期投資の資金はどうしましたか?

家と農地の一部は自己資金で購入し、残りの農地や、納屋の改修費などは、公庫の融資などを借りています。

とはいえ、家はほとんど倉庫のような、タダ同然の建物をリノベーションしているし、土地も北海道の農業のわりにはとても小さく(2.5ha)、ハウスも最初は無かったので、新規就農の中でも、かなり少ない資金で始めた方なのではないかと思います。

経営開始型の補助金(2023年から内容が変わってしまいましたが)を貰った分を、毎年のように機械の購入や加工所建設などの設備投資に回し、最後の2年分の補助金はほとんど手を付けずに、返済のためによけてあります(これで当初借りた分を完済できる予定です)。

初期の投資額に関しては、どんな農業でスタートするかで大きく変わってきますし、投資額が少なければ規模拡大も遅いわけで、何が正解かはわかりません。

私のこの小さなやり方は、単に私自身の小心者の性格が大きく反映された内容だと思います。
大胆に投資して規模拡大している新規就農の方々を、遠くから眩しく眺めつつ、今日も小さな畑で頑張ります。

5 農業の勉強はどのようにしましたか?

富良野には、富良野緑峰高校農業特別専攻科という、普通の公立の高校の中に、社会人向けの農業コースがあります。

農業特別専攻科~北海道富良野緑峰高等学校 (hokkaido-c.ed.jp)

通う人たちは主に、新規就農者、後継者、農家と結婚した女性(または男性)たちです。
2年間のコースで、農繁期は除いた時期の通学になっています。

私は就農して2~3年目(2019~2020年)の2年間に、ここに通いました。
農業経営、農業簿記、土壌学、肥料や農薬、農業機械、富良野地域の農作物全般についてなど、幅広く学ぶことが出来ました。

うちの農業は有機JAS認証を取得したオーガニックの農業で、研修先の農家さんも30年以上有機農業だった方なので、最初は有機農業しか知りませんでした。ですが、研修期間から数年経って、一般的な農業も勉強した方が良いのではないかと思い直し、すでに経営を開始していた時期でしたが、無理やり時間を作って通学しました。

結果、とても良かったです。

勘や経験ではない、作物の特性を理解しての栽培方法は、年数の少ない私にはとても必要な知識でした。
プログラムには視察もたくさん用意されており、一人ではなかなか行くことの出来ない農家さんの視察であったり、道外の農家さんへの泊まり込みの研修などで、世界もぐっと広がりました。

また、一緒に勉強した年齢も経歴も多種多様なクラスメイトたちとの時間は、人生の宝物です。
今もわからないことがあれば先生に連絡しますし、そこから専門家を紹介してもらうことも多いです。

高校のコースは珍しいですが、農業大学校は全国にあるので、そちらも良いのかもしれません。

6 有機で農業をして、他の一般農家さんとのトラブルはありませんか?

私たちが移住する前から、研修先の農家さん含め、数件の有機農家が30年ほどいらっしゃる地域なので、周りの方々も有機農家に「慣れている」という雰囲気でした。

また、周りの農家さんたちはうちの10~20倍の土地を持つ農家さんばかりで、大規模畑作ですし、畑と畑の間の畔も本州と比較するととても広く、気になりにくいとは思います(これは本州だとまた雰囲気違うのだろうなと思います。畑の面積が小さく、隣接する畑だったりすると、草や虫や病気など、とても気になると思います。)

ただ、だからといって何をやっても大丈夫というわけではもちろんないと思います。
私も草は刈りますし(追い付かない時が多いですが)、周りに影響の少ない、病気が出にくい作物を選んで育てています。

有機農業が一番正しい、とは全く思っていないので、そこは既存の方々に配慮してやっていくのが良いと思っています。

7 子育てとの両立はどうやっていますか?

全く出来ていません。

いつもバタバタしているし、とにかく目の前のことを回していくことでいっぱいで、何とかならないかと、常に頭を抱えています。

子育ては思った以上に時間や労力がかかり、仕事が全く進まなくなることもしばしばですし、「もっと時間があったらなぁ」といつも思っています。
ただ、一方で子育てはとても楽しく、自分にとっては「人生に起こった良かったことナンバーワン」なので、大事にしたいとも心から思っています。

移住した年には長女が小学1年生で、次女が生まれたばかりでした。
7年経った今、長女は中学2年生になり、次女は小学1年生になりました。

2人が大きくなるにつれて、世話しなければならないことは減り、少しずつ楽になっているように思います。

富良野地域にはファミリーサポートという仕組みがあり、登録すれば、他の会員さんに子どもを預かってもらえます。子どもが小さい頃、どうしても遠方に仕事で行く場合や、夜の会議の時など、よくお世話になりました。

就農して3年目の年、子どものことで色々と大変なことが重なって、本当はもっと色々やりたかった仕事を、一旦諦めた時期がありました。
新規就農者としてもっと頑張らなくてはならないし、事業として広げていくべき時期なのだけれど、家族を中心にして、あえてスピードを落とすしかないと諦めました。

そこから3年経った今、仕事に集中出来る時期がやっと来た!という感じがしています。

こういう悩みは農業に限らず、働く親の共通の悩みなのかなと思うので、情報交換や意見交換は、異業種でも積極的にやっていきたいなと思っています。

8 就農してからピンチはありましたか?

ピンチだらけすぎて、もうどれが通常運転なのかわからないほどです。

2016年に移住した年に、大きな台風が来て、いきなり畑が崩れました。
2018年に経営開始しましたが、もちろん初年度なんて新しいことばかりで何も上手くいきません。
ちょっとはスムーズに動けるようになってきたかな?と思ったら、
2019年末から雲行きがあやしくなり、2020年からコロナ渦に。
お取引先が何軒か廃業されることもありました。
また2021年は大干ばつで、2か月ほど雨が降らず、作物はカラカラに。
2022年末まではずっとコロナ渦だったので、天候不順に加えて、もうずっと世の中の動きに振り回されてきた感じです。

何か起こるたびにバタバタと大騒ぎしながら対処して、ふーっと息をついたら、また次のことが起こり、の繰り返しです。

そしてさらに、その忙しい真っただ中で、子どもが突然に「習い事したい」とか言い出すのです。えー、こんな忙しいのにー!

でももちろん「無理」とは言えないし言いたくないので、「OK!!」って涙目で答えます。

週に3回、コロナ渦で、とある習い事に通っていた時期が1番しんどかったです。
片道30分。しかも、田舎で交通機関がないので、送迎が必須です。
子どもとパソコンなど自分の仕事道具を車に積み込み、レッツゴーです。
コロナ渦は教室内に保護者が入れなかったので、駐車場で待っている間、ひたすらパソコン仕事をしていました。

本当は畑でやらなくちゃいけない仕事がたくさんあるのだけれど、今はこれしか出来ないしな、と思って、とにかくパソコンで出来ることをやっていました(その成果がオンラインショップやHPです)。

その後、子どもは別の事に興味が移り、その習い事は卒業することになったのですが、今後もきっとまた、「えー!?」っていうことが起こるのだろうなと思いながら暮らしています。

トラブルは大変なのですが、でも一方でやはり得るものもたくさんあります。
トラブル回避のために得られたスキルや、強い精神力、思いがけない出会いや人の優しさなど、後から考えたら、「大変だったけど、あれで良かったのかも」と思えることが多いです。
今後も「ぜひトラブルに出会いたい」とは思わないですが、「なんとか頑張るか」とは思っています。

9 農協との付き合いはどうしていますか?

これは有機農業をやりたい方からよく聞かれることです。

多分、有機農業をされてきた先輩農業者さんたちに、「農協が嫌い、農協と仲悪い」みたいな話をたくさん聞かされたのかなと思います。

うちは農協への出荷はありませんが、資材の購入や融資に関しては超絶お世話になっており、今現在は、農協無しで営農は厳しいと思っています。
特に資材の購入は、大半を農協にお願いしています。
種、マルチ、肥料など、個別に業者から購入するよりもずっと安価に購入できますし、どんなものも頼んだら頑張って探してきてくれます。

また、融資は公庫からですが、農協に間に入ってもらっています。この融資がスムーズにいくために、農協にお世話になっています。

そもそも、上富良野町では新規就農者をサポートするためのチームがあります。(他の自治体も同じ仕組みなのかわかりません)
役場の農業振興班の方々。農協の営農課の方、金融課の方。農業普及センターの方。地域の農業委員の方々。
年に2度、その方々は私たちのために会議室に集まり、うちの経営が大丈夫なのかどうなのか、会議を行います。(認定新規就農者のためのものなので、5年間、2023年で終了します)
もちろん私たちも参加します。
最初に提出した5年計画から大幅にずれていないかどうか、作物の収量はどうか、お金は大丈夫か、などなど。
5年計画と、毎年の確定申告書、さらにはうちの通帳のコピーまで(!)、洗いざらい、集まったメンバーで眺めます。
とても胸の痛い、シュールな時間です。

でもそんな時間にも良いことが一つあって、農協の金融の方がすでに計画も実績も知っているので、融資をすぐ受けられる、ということです。(もちろんその規模に見合った金額です)
実際には受けなかったのですが、あまりに現金で投資をしすぎた時に、金融の方が「そういう時は現金ではなくて、融資の方が良いですよ。言ってくれたらすぐ貸したのに」とアドバイスしてくれました。
キャッシュの大切さをそこから色々と勉強したので、同じような状況(少し大きく投資するとき)の時には、たぶん融資をお願いするのではないかと思います。

世の中には「農協は搾取してくる悪の組織」説が多いので、私もそんなイメージを最初は少し持っていましたが、(出荷がないからそちらの方面はわかりませんが)全部が全部そんなことはもちろんなく、なくてはならない組織だと思います。
そして、うちは農協に出荷がないので作物の部会には入れないですが、農協女性部の中の委員をやったり、農協の総代をやったり、ちょっとは関わるようにしています。そうすると、富良野地域の農家さんたちと知り合えて単純に楽しいですし、富良野農協の全体がぼんやりと見えて、世の中の動きがわかって面白いです。

10 今考えて、もっとこうしたら良かった、ということはありますか?

後悔していることではないのですが、もっと調べておいたら良かったなと思うことはあります。

【移住先のインフラが、10年先にどうなっているかをもっと調べておけば良かった】

です。
例えば、病院、学校、保育園、公共交通機関。
このようなものが、富良野地域ではどんどん無くなっています。
人口も、どんどん減っており、どんどん高齢化しています。
私が引っ越してきてからの7年間で、小児科は2つあったものが1つになり、近隣の小学校も閉校が進んでいます。
一つしかない産婦人科も常に人不足で、より良質なサービスを求める人は、1時間以上かかる、富良野よりは都会の病院まで行きます。
この先に出産や子育てを考えている方に、今の地域を超お勧め出来るかと言われると、色々なリスクもあると言わざるを得ないです。
また、子どもが塾に通おうと思っても、例えば札幌や東京のようなレベルの塾などはありません。
富良野の話だけではないですが、自然の中で在宅ワークをしようと移住してきた方が、子どもの教育や趣味(スポーツなど)で行き詰まり、やはり都会へ帰っていくというのを、ここ数年で何件も見ています。
オンラインも普及していますが、リアルで同じような趣味を持つ人と会ったり話したりということは、人口が少ない分、やはり難しいことも多いと感じますし、子どもには特にリアルの体験をさせたいと思う方も多いのだと思います。

個人差もあると思うのですが、ご自身の暮らしや仕事の求めているレベルのインフラが、はたして10年後、またそれ以降もその地域で続いているのか?ということは、引っ越し先を決めるにあたって、調べて損はないと思っています。


11 その他いろいろ

その他、

「最初の売り先はどうしましたか?見つけられません」とか、
「どうしても役場の人が話をわかってくれません!」とか、
「農園を広く認知してもらうためにはどうすれば良いですか?!」
などなど、

もはや私の範囲を圧倒的に超えているご質問をいただくのですが、
私は専門家でも何でもないので、ご自身で考えていただくしかないと思うのです。
農業に関するセミナー、勉強会などはたくさん開催されていますし、オンラインの講座も多くなったので、どんどん参加されたら良いと思います。

また、「今、経営は上手くいっていますか?」というご質問もいただくのですが、そもそも、その質問は大丈夫なのか・・?といつも思います。
経営が上手くいっていたとしても、上手くいってなかったとしても。
いきなり初対面の人に、失礼じゃないですか?
「聞きたい気持ち」と、「モラルの範囲で聞いて良いこと」は、分けて考えた方が良いのではないかと思うのです。
そういうコミュニケーションの基本が、仕事の信頼にも反映されると思うのです。
そして、例えそれを聞けたところで、何にもならないのです。
ご自身の仕事は、ご自身で向き合うしかありません。

色々と周りの人のことが気になってしまうと思うのですが、どうぞ、ご自身のやりたいことを追求されてください!


おわりに

とりとめもなく色々と書いてしまいましたが、だいたい毎回聞かれるようなことをまとめてみました。

最後にお伝えしたいことは、

どんな人の経験も、結局はその人のパーソナリティに多大な影響を受けた、その人固有の経験であるということを忘れないで欲しいということです。

同じ時期に、同じ場所に移住したとしても、きっと同じような経験にはならないのではないかと思うのです。(もっと良い経験をされる方もたくさんいらっしゃるはず!)

あくまでさらっと読んでいただき、ご自身の進みたい方向へ、向かって行って欲しいと思います。

私もまだまだ頑張ります!一緒に頑張っていきましょう。

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