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詩集『耳の人』 全作品

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なにも起こらない物語のような連作詩です。
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記事一覧

作品「1 耳の人」

1 耳の人 耳の 耳たぶの 長い人だ 歩くたびに たぷたぷと 耳が ゆれる その人が 足をとめ…

西尾勝彦
2か月前
12

作品「2 あわい」

2 あわい 耳の人は 森の はじまり と おわり そのあわいに 暮らしている 聞こえてくるのは…

西尾勝彦
2か月前
2

作品「3 春眠」

3 春眠 耳の人は 眠っている 軽く いびきを かいている その 小さな家に 春雨のふるふる …

西尾勝彦
2か月前
7

作品「4 路地」

4 路地 私が 耳の人と出会ったのは ひっそりとした 路地奥の喫茶店だった 休日の昼下がり …

西尾勝彦
2か月前
3

作品「5 無題」

5 無題 ハルニレの木陰 夏の日の 懐かしい手紙 『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじ…

西尾勝彦
2か月前
3

作品「6 帰宅」

6 帰宅 小鳥も眠る 朝まだき 耳の人は 家を出る そして 午後三時過ぎには 帰ってくる そ…

西尾勝彦
2か月前
2

作品「7 ひとりごと」

7 ひとりごと 耳の人は 独り言が 多い  風がやんだ  気がする  猫は  起きているふりをする  今日は  雲の中だね  僕は  誰でもないよ  …… 『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)

作品「8 影書店」

8 影書店 耳の人を誘って 影書店へ 行ったことがある その店は 広くもなく 狭くもなく 新…

西尾勝彦
2か月前
3

作品「9 どんぐり」

9 どんぐり 耳の人の考察によると 大いなるものは まるい 例えば 月 太陽 どんぐり(?) …

西尾勝彦
2か月前
6

作品「10 月光」

10 月光 闇に浮かんだ 満月が 耳の人を 眺めている じんわり 月の光は ほのかに温かい 『…

西尾勝彦
2か月前
5

作品「11 失敗」

11 失敗 いつものように 路地奥の喫茶店で 話をしていた  詩人の草野心平さんは  「火の…

西尾勝彦
2か月前
4

作品「12 暮らし」

12 暮らし 耳の人は 飼い猫も あきれるぐらい のどかに暮らしていた すずめの あたたかさを…

西尾勝彦
2か月前
6

作品「13 訪問」

13 訪問 耳の人の家を訪れた日のことは よく憶えている 彼に書いてもらった地図は まるで頼…

西尾勝彦
2か月前
6

作品「14 白い菊」

14 白い菊 座布団に腰を下ろすと 珈琲ではなく さっそく お酒が出てきた 風流なその人は うつわに 白い菊を浮かべてくれた 我々は  カンパイ と 祝杯のようなものを挙げ つつと呑みほした   『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)