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1 耳の人 耳の 耳たぶの 長い人だ 歩くたびに たぷたぷと 耳が ゆれる その人が 足をとめ…
2 あわい 耳の人は 森の はじまり と おわり そのあわいに 暮らしている 聞こえてくるのは…
3 春眠 耳の人は 眠っている 軽く いびきを かいている その 小さな家に 春雨のふるふる …
4 路地 私が 耳の人と出会ったのは ひっそりとした 路地奥の喫茶店だった 休日の昼下がり …
5 無題 ハルニレの木陰 夏の日の 懐かしい手紙 『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじ…
6 帰宅 小鳥も眠る 朝まだき 耳の人は 家を出る そして 午後三時過ぎには 帰ってくる そ…
7 ひとりごと 耳の人は 独り言が 多い 風がやんだ 気がする 猫は 起きているふりをする 今日は 雲の中だね 僕は 誰でもないよ …… 『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)
8 影書店 耳の人を誘って 影書店へ 行ったことがある その店は 広くもなく 狭くもなく 新…
9 どんぐり 耳の人の考察によると 大いなるものは まるい 例えば 月 太陽 どんぐり(?) …
10 月光 闇に浮かんだ 満月が 耳の人を 眺めている じんわり 月の光は ほのかに温かい 『…
11 失敗 いつものように 路地奥の喫茶店で 話をしていた 詩人の草野心平さんは 「火の…
12 暮らし 耳の人は 飼い猫も あきれるぐらい のどかに暮らしていた すずめの あたたかさを…
13 訪問 耳の人の家を訪れた日のことは よく憶えている 彼に書いてもらった地図は まるで頼…
14 白い菊 座布団に腰を下ろすと 珈琲ではなく さっそく お酒が出てきた 風流なその人は うつわに 白い菊を浮かべてくれた 我々は カンパイ と 祝杯のようなものを挙げ つつと呑みほした 『耳の人』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)