マガジンのカバー画像

詩集『言の森』 全作品

20
2012年刊行の詩集『言の森』収録の全作品です。上の作品から目次順となっています。
運営しているクリエイター

記事一覧

作品「雨の日」

雨の日 雨がふる 雨がふる 今日はいちにち 雨がふる 何もできない 雨の日は 何もしない…

西尾勝彦
4か月前
4

作品「木の中に入る」

木の中に入る 木の中に 入ったことがある やむにやまれずのことだった 中は気圧が低いので…

西尾勝彦
4か月前
7

作品「襟」

襟 新緑の頃 林の中で 散歩屋さんを発見した ゆったりとした斜面に 腰を下ろし 自分を忘れ…

西尾勝彦
4か月前
4

作品「春のふくらみ」

春のふくらみ いかるの 鳴き声は おだやかで のびやかな 春のふくらみ 澄みきった くちぶ…

西尾勝彦
4か月前
4

作品「そぼく」

そぼく いつからか 素朴に 暮らしていきたいと 思うようになりました 飾らず あるがまま…

西尾勝彦
4か月前
12

作品「言の森」

言の森 言の葉が くちびるや ゆびさきから 一枚いちまい 現れる その 小さな 言の葉は …

西尾勝彦
4か月前
8

作品「ボンヤリ」

ボンヤリ            歳をとるのも悪くない 三十六になって ようやく珈琲が飲めるようになった 喫茶店で独りボンヤリすることも覚えた 奈良、京都、大阪 そして東京に それぞれいい店を見つけた 歩き疲れてちょっと休憩 一杯の珈琲で 質の高い ボンヤリを得る それは 店の雰囲気と 珈琲の風味に 支えられ つくられている 店は少し狭いぐらいが良いし 珈琲は渋いめが好みだ いちいちうるさい客だが たいてい 黙ってボンヤリしている

作品「水田で目玉焼きを食べる」

水田で目玉焼きを食べる 京都の東 白川通りの喫茶店 中は店主の 数十年にわたる放任主義に…

西尾勝彦
3か月前
9

作品「進化」

進化 のんびりしている人は だいたい 上を向いている 流れてゆく雲を 眺めたりしている あ…

西尾勝彦
3か月前
5

作品「粥彦の句」

粥彦の句 夏亀や丘に登りて待ち伏せす 『言の森』(BOOKLO…

西尾勝彦
3か月前
2

作品「返事」

返事 シトシト社から メールが届いた  西尾粥彦様。こんにちは。  Webチームの柏木…

西尾勝彦
3か月前
7

作品「R君からの伝言」

R君からの伝言         三年前 R君から葉書をもらった 正確に書き写しておく …

西尾勝彦
3か月前
6

作品「ひきだし」

ひきだし  彼の職場の机のひきだしには、拳銃が一丁かくされている。かくされているとい…

西尾勝彦
3か月前
7

作品「意味論」

意味論 「意味に意味なんてないよ」 以前 誰かに言われた 言葉の意味なんて すべて 後付けされたもの それよりも 新たな意味を 生み出す行為をなせ 意味づけされないうちに 迅速に動け 意味から逃れる意味は きっと あるはずだ 『言の森』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)