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言葉に頼らずに「愛してる」以上の愛してるを伝えられるかどうか

発売から数日経ちますが、毎日のルーティンの中に『Gift』の発送という時間が連日組み込まれていてとても幸せを感じています。
有難うございます。

その『Gift』という作品は、ライナーノーツという存在も特筆したいところではあるものの核はやはり二曲のインストゥルメンタルです。

今日はこの「インストゥルメンタル」ってやつについての僕の矜持的なものをいっちょ書いてみます。
(ちなみに英語ではinstrumentalと書きます)

多分、今までも何度か似たような事を書いた事があるのは重々承知ですが、大切なことは何度だって言おう精神で堂々と書こうと思います。


というわけでインストゥルメンタル。
「インスト」なんて言い方をよくします。
日本語では「器楽」という言い方がありますが(対義語は声楽)、まあ「インスト」って言い方が一般的かと思います。

平たく言うと「歌のない音楽」ってやつです。

ですがカラオケとは違います。
(歌抜きと歌がないは話が全然変わってくるので)

今回の『Gift』という作品はそんなインストゥルメンタル(ピアノソロ)で成り立っています。

SNS越しに頂く感想なんかでも「インストだからこそ〜」みたいなお声をちょこちょこ頂けてて、実母からは「言葉以上に言葉を感じた」的な感想をいただけたりして、その表現を踏まえたうえでなかなかに嬉しい感想でした(やるやん)。

今回、ピアノ一本で音楽を作りましたので当然インストになるわけですが、元来僕はインスト好きの人間だったりします。

特に専門学生の頃から卒業後数年間くらいは偏屈なほどにインストに傾倒してたものでして、インストバンドばっかり聴き漁ってましたし在学中もインストバンドを2つもやってましたし、卒業してからも別でインストバンドを2つ掛け持ちしたりしてて、とにかくインスト三昧だったわけです。

在学中の頃は周りがみんな当然のように歌がある中でインストバンドで立ち向かってたりしたものです(学内オーディションとかあったんですよ)。

それは当然インスト好きっていうのもありましたが、単純に他がみんな歌がある中でインストがあったら目立つわけで、それだけでちょっと浮けるし同時に注目のアドバンテージを得れるっていう"狙い"的な側面もありました。
(結果的に学内オーディションには勝ちました)

しかしながら歌詞(言葉)の力というのはそれはそれは凄いものでして、世を見渡せば歌の力が絶大なのは言うまでもありません。

好きなアーティストは?バンドは?と聞かれたら誰もが何かしらお答えできるでしょうけど、好きなインストバンドは?と聞かれても、趣向的にインストを聴いてる人じゃない限りなかなか浮かばないかと思います。

インストは売れない。インストはウケない。
これが一般的に下されている基本的な評価であることは間違いない。
(歴代ヒットチャートのインスト率を考えたら)

そんな中、自分が持っている矜持、求めているロマンは「言葉がなくとも伝わる」という部分だったりするのかもしれません。

言葉というのは受け手の感情の琴線を思い思いに揺らすことができると思うんですが、どちらかというとインストというのは技術面がフィーチャーされがちな気がします。

「愛してるよ」って言葉が乗ったメロディーが飛んできた時に、技術面とかもそりゃあるかもですが(歌がうまいとか声がいいとか)やっぱりその「愛してる」という言葉の持つ意味(文脈も含めて)に人は心打たれたりすると思います。

その点、言葉を持たず音符を駆け巡る"演奏"というやつは「凄い」とか「上手」とか「カッコいい」という受け止め方はされど、その醸し出される音符の波から「愛してる」という感情がダイレクトに心に突き刺さってくるかと言われると、なかなかそうもいかないのは当然かと。

ただ、その時分から僕は「言葉に勝ちたい」って思いながら鳴らしてた気がします。今改めて思い返すと。

今回作った2曲にもそれぞれ自分の中での世界観やストーリーがしっかりあって、ひとつひとつの瞬間に「言葉で言い表すならこう」っていうものが詰まりに詰まっています。

それを言葉の力を頼らずにピアノでどこまで伝わるのか。
ここにロマンを追い求めているのかもなんでございます。ずっと。

既に『Gift』を手に取ってくれてる人、曲を聴いてくれてる人ならもうご存知かと思いますが、どちらもとってもシンプルな曲になってます。

なんか「テクニック」みたいな要素はほとんどありませんし、そんなアカデミックな思考も大して盛り込んでいません。
(別にそもそも技巧派でもないからっていうのもありますが)

ピアノインストゥルメンタルで僕が追い求めているのは、愛してると言葉で発さずに愛してるが伝わるっていうロマンであって、言葉がないはずなのにそれぞれの脳内で何かしらの言葉に変換されて琴線に触れるという世界であります。

僕がインストゥルメンタルにときめく部分。

愛してるという言葉以上に愛してるを伝えられるかどうか。

…なるほど。
それが「言葉以上の言葉」というやつか。

そう思ったらなかなかイカつい感想をくれたんだなあの人。

というわけでそんな僕の自分勝手なロマンが詰まった『Gift』という一枚が絶賛発売中ですので、どうぞよろしくお願いします。




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