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こんな「デジタルタトゥー」の捉え方があってもいい

インターネット(特にSNS)の繁栄と共に「デジタルタトゥー」なんて言葉が生まれてまして、ここ数年ですっかり定着した感があります。

基本的にはネガティブなワードとして使われることがほとんどかと思います。

一度ネット上に出た情報は二次、三次、四次、五次的に残り続けていくもので、ソース元が(当人)削除しようが結果的に検索エンジンだったりSNSからいつでも引っかかってしまうわけで、結果的にそれが自分にとって不利益な事柄だったら(例えば)就職がダメになるみたいな感じでその後の人生に多大な影響を及ぼすみたいな。

それを完全に消すことができない(本来の肌には戻れない)タトゥーに引っ掛けて「デジタルタトゥー」と称して久しいわけですが、今日は「こういう形でのデジタルタトゥー」はとても素敵というか大歓迎みたいなお話を書きたいなと。

その話に際して僕がずっと避難していた山王小学校で陣頭指揮を取ってくださっていた(このnoteでもすっかりお馴染みの)山崎さんが、ご自身の𝕏でシェアしてくださっていた動画をひとつ紹介させていただきたいと思います。


YouTuberの沖縄サムライさんが山王小学校に物資を届けてくださった時の模様のドキュメンタリー動画です(直接的な部分は38分過ぎから)。


※この日です


このポストが1月10日ということなので、早いものでもう1ヶ月以上も前のことになるわけですが、本当に今思い返しても絵に描いたような「嬉しい悲鳴」というやつで、本当にとんでもない量の物資を運んでくださいました。
(写真はほんのほんの一部なんですこれでも)

先ほど載せた動画の中で僕自身の声で言ってるのが入ってるんですが「このバタバタ感は初めてっす」っていうのは本音で、老若男女総動員でとにかく必死に運んだ記憶。

とにかく大変でしたが、それと同時に運び込みながら「これだけ来たら当面大丈夫だろう」って感じで肉体的疲労とは反比例して精神的にはかなり安堵した記憶があります。
(繰り返すますが肉体は"嬉しい悲鳴"です)

ここにポジティブな意味での「デジタルタトゥー」を感じたんですが、先ほどの動画を見た時に僕個人として「懐かしい」という感情がまず湧きました。

それは「風化」という部分とはちょっと一線を画している部分で、今回の震災ならびに被災して感じた諸々に関しては日々何ら薄まってはいないんですが、あの時間だけを切り取ったものを改めて映像で見ると「懐かしい」という感覚になったのは事実。

まだ同じ場所で避難所生活を続けられている方と、退所して大阪と行ったり来たりという時間に突入している僕とでは、もしかしたらギャップは生まれているかもしれませんが。

しかし、ただ「懐かしいな〜」とぼんやりした感情を抱いているわけではなくて、飲料水や食糧に関して「とりあえず今日、明日…あわよくば2日後くらいまでの分は大丈夫。でももしパタンと救援物資が途切れたらすぐですよ」っていう綱渡り感は否めなかった時期に、本当にすんごい量を運んできてくださった時に感じた安堵感とか。

みんなで手渡しリレーで運びまくっている時の腰の痛さとか、手のかじかみ具合とか、一緒に運んだ仲間の顔とか(誰よりもハッスルしてたあの父ちゃん元気かな)。

リレーの際に僕のひとつ後ろの子が、まだ学生の女の子だったから毎回毎回「重いよ!」とか「これは軽いよ!」とか、たまに「重い…と見せかけて軽い!」みたいな寒いボケをかましながら渡してたニッチな記憶とか。

この動画を見てたらそういうありとあらゆる描写や感情曲線や寒さとか疲労とか、そういう記憶が同時に一気にかなりリアルに思い起こされて、それがまたポジティブな感情として今現在の自分の肥料的役割も果たしてくれる。

「避難所生活」という大枠では忘れたり風化したりすることなんて絶対にないんだけども、ひとつひとつの事象を個別個別で鮮明に思い起こしたりというところまではさすがにないのは事実で、今回こうやって動画を見させていただいたことで改めて思い起こさせていただいたのは事実です。
(むしろ公開されてしばらく経ってるのに今まで見逃しててごめんなさい)

そしてこれこそ物資を届けてくださった沖縄サムライさんがYouTuberとして活動されていて、こうやって動画としてしっかりデジタル上に残してくださったからこそこうやって大切な時間を事細かに改めて思い返せることができる。

多分、脳裏の記憶だけだったらこういうひとつひとつの個体としての描写はどんどんおぼろげなものになっていく一途なんだろうと思います。

便所の落書きは消せば消えるし井戸端会議はその場だけのものだった時代を経て、ノリは同じでも全世界に半永久的に残るという時代に突入して久しい昨今。

この動画が立派なデジタルタトゥーとしてずっと残っていく限り、何年経ってもこうやって思い起こすことができて、都度都度またメンタルのプッシュアップ作用が生まれるわけですから(もちろんこの動画に限らず)、その側面から見たらデジタルタトゥー万歳ってなもんです(捉えよう)。

それで言うと、ミュージシャンなんて「音楽」っていうデジタルタトゥーを日々世の中に彫り続けているわけですから、今更っちゃ今更な話ですね。

かく言うこの文章も。

なんてことを思いましたって話でした。



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