小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が…

小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が断然美味しくなって、気持も俄然あがってくる! そんな発酵する考えをキーワードに、いろんな人に会う旅に出かけます!

最近の記事

仏像から見る日本酒

仏像を拝みに行くため、発酵さぎょうは、10月21日(月)から24日(木)までお休みします。 『日本酒造りは、大木から仏像を彫る行為に似ていると思う事がある。 米を磨きあげ、魂を吹き込みながら多様で繊細な表現の芸術に仕立て上げる。』 さて 【仏像と銅像が喧嘩をしたら、どっちが勝つでしょう】という、なぞなぞがあります。 皆さんは、どっちだと考えられますか?よく考えると答えに窮する深い問いなのです。

    • 復権!おやじくささ

      『おやじくさい』 ボクの子供の頃、この言葉は今よりずっとずっと良い意味で使われていた。 ボクは今、その『おやじ達の元気がない』と思っている。 若者達から『あんなにいい感じでお酒が愉しめるのなら、おやじになるのもまんざらじゃないな』 そう思ってくれるような風格とユーモア。 『おやじくささ』をファブリーズで消すのではなく! これから本当の意味での格好の良い『おやじくささ』をバンバン振り撒いて欲しい! そして日本酒を心から愉しむ『圧倒的な、復権!おやじスタイル』を見せ

      • 忘れ得ぬ日本酒の日

        生涯忘れ得ぬ日本酒の日となった。 ボクは5年前の今日、2度目の癌で瀕死寸前だった。 そして今、確かに『一番大切なものだけを積み込んだ小さな舟を浮かべることができている』 5年前、癌病棟で綴ったブログを読み返して号泣しています。↓ 【僕の舟がもう沈まないために。】 24時15分。今こうしている間にも、この病棟には断続的に『うめき声』が反響する。 どこか遠くの山奥で、傷ついた動物達がひっそりと身を潜める特別な場所のようだ。 手術から3日目の夜に見た夢。 父が転んで

        • 日本酒の日まであと3日

          日本酒の日まであと3日。 当日10月1日は15時くらいから ボクと芦澤くんが厳選した日本酒6種類(+北の錦)を『どて煮』『豚汁』と愉しんで頂く予定です。 そしてイベントテーマは 〈もう君を【離さない】日本酒から〉 【久しく日本酒から離れている人】から【あえて離れてしまっている人】はもちろんのこと 【親離れした若い世代】や、あいにく【肉離れ中の方】も大歓迎です。 ちなみに【子離れ出来ない親御さん】も歓迎しますし 【まだ乳離れ出来ていなくても成人の方】なら歓迎します。

        仏像から見る日本酒

          日本酒の日の覚悟

          日本酒の日まで残り1週間。ついに、それをなすべき時が迫っている。  (発酵さぎょう)はY字路の交差点にある。 それぞれの道、二手に分かれて全ての通行人にお声かけし、なめらかにイベント誘導する。 重要なのは通行人それぞれの特徴を素早く見抜き、巧みなアプローチで気を引く事だ。 例えば老舗江戸前寿司の大将がY字路を通ったとする場合 【イクラかアジわいを含めながらもヒラメきを大切に、なおかつイソイソと】お声かけする。 あと、両生類の専門家が通ったとしたら【おもむろにヒキカエ

          日本酒の日の覚悟

          明治時代のレール

          ボクが小林酒造の酒蔵群で真っ先にイメージするものの一つ。 それが【夕張鉄道とトロッコのレール】のコンビネーションです。 写真は今回解体されている下屋部分。 ここにも明治時代製造のカンブリアスチール社とカーネギー社の鉄道レールが使われています。 そして地面の石炭を酒蔵内に搬入するトロッコのレールが当時を偲ばせます。 そのコントラストは、小林家前の下屋にも残されているので観光の折には是非ご覧ください。 あと補足として『親の敷いたレールに乗って走ってきたボク』も極たまに

          明治時代のレール

          【お〜ぃ】について

          『お〜ぃ お茶』 ボクはその絶妙すぎるネーミングについて考えていた。   『おい、お茶』では論外。 『おっ、おいっ お茶』でも威厳に乏しく腰が座らない。 『大〜井』なら競馬場だし 『ほーい!んちゃ!』なら、それは【Dr.スランプアラレちゃん】である。 この『〜(にょろにょろ)』と小さな『ぃ』のコンビネーションの妙。 『お〜ぃ お茶』こそが、昭和最後の痕跡、最後の息吹、そして最後の男のレジスタンスなのかも知れない。

          【お〜ぃ】について

          清酒の木箱とヨーヨーブーム

          まもなく解体される倉庫の中。ボクは清酒の木箱を前に遠い記憶の中にいた。 それはまだ、ボクの兄がヨーヨーで【犬の散歩】とか【ブランコ】とかをやっていた頃の話だ。 70年代、日本酒需要がピークを超えてもまだ小林酒造は焼酎、味醂含め約4千石を生産していた。 そしてボクは毎日、野外にうず高く積み上げられた清酒の木箱で近所の子供達と基地や迷路を作って遊んでいた。 夕暮れ、家に戻ると兄がヨーヨーで【蕎麦(をたぐる)】とか【犬の噛みつき】など新技を次々に習得していて、ボクはそれを見

          清酒の木箱とヨーヨーブーム

          さよなら休憩室、さよならセシルチョコ

          酒蔵ムード満点の佇まいだった『女子休憩室』が取り壊しになる。 幼稚園時代の定刻の午後3時。  ボクが真っ先に向かうのがこの『女子休憩室』だった。 その目的はテーブル中央の盆に盛られた菓子。 ちなみに【実家の菓子盆】には チーズおかき うずまきかりんとう きなこねじり 一口マグロ 寒天ゼリー カリカリ梅 など、比較的年寄りじみた茶菓子を中心に構成されており 一方で【女子休憩室の菓子盆】には サクマ いちごみるく 味覚糖 純露 不二家 ソフトエクレア 森永 ハイソフト

          さよなら休憩室、さよならセシルチョコ

          旧蒸留塔の解体

          今、取り壊されている建造物の中で唯一の廃墟である【旧焼酎蒸留塔】 栗山町でも特に目立つ鉄骨造の高層建造物である。 臆病で無口だった小学生の僕にとって、この廃墟は格好の一人遊びの場所であり隠れ家でもあった。 言葉にできないボクの色々な想いが、ここに溶け込んでいるのだ。 今、まさに取り壊される廃墟の中で【この場所で一人、遊んでいた子供のボク】をそっと呼び出してみる。 そして【言葉にできなかったボクの想い】を静かに感じてみる。 その【言葉にならない言葉】が、ずっとここか

          旧蒸留塔の解体

          懐かしい酒蔵の風景

          明日(30日)から小林酒造の蔵倉庫群の解体が始まる。 ボクは『発酵さぎょう 9月2日までお休みさせていただきます』 と、店頭に書き残す。 子供の時分からの遊び場であり、職場としても慣れ親しんだ建造物。 その最期を目に焼き付けておきたかったのだ。 行きの航空機の客席でボクは酒蔵の想い出に耽り、酷く感傷的な気持でいた。 落ち着く為にCAに【コーンスープ】のサービスを依頼するも【コンソメスープ】しか用意がないという。 ボクは苛立ってCAに噛み付く。まるで飢えたキツネのよ

          懐かしい酒蔵の風景

          日本酒と和蝋燭

          古い和蝋燭とろうそく立てを買って『稲』の前に飾る。 ボクはしばらく和蝋燭の『炎のゆらぎ』を見ていた。 すると意識が変性する様な危うく妙な感覚に襲われる。 背中に嫌な冷気を感じる。『やだな、やだなー』と思わず早口で呟く。 きっと幽霊が夏に多く現れるのは人を『ひんやり』させるからだろう。 ボクは『怖いよ、こわいよー』を連発していた。 その後、何かに取り憑かれたように『やだな、やだなー、怖いよ、怖いよー』と独り叫び続けた。 そしてついに! ボクの背後で髭を付けた女の幽

          日本酒と和蝋燭

          遊び心と風流

          うだるような暑さ。脳みそが海老みそ以上、蟹みそ以下に溶ける。 僕はたまらず店用に最新のサーキュレーターを買った。 その最新式の風量が凄い。 最大風量にセットすると、眉毛が根こそぎ抜け飛ぶ勢いだ。 僕はこのサーキュレーターの風と江戸風鈴を組み合わせて客席の後ろにセットする。 文明の『クール』と風鈴の『風流』を融合させたという訳だ。 日本の『風流』は全て『遊び心』から派生する。 風鈴の音色が涼しいような気がする。この『のような気がする心持ち』こそが遊び心であり風流への

          遊び心と風流

          お燗酒で通す高揚感

          蒸し暑い日が続く。 いよいよ『お燗酒』を提供し続ける事に高揚感が強まる。 痩せ我慢、強がり、意固地もあるし、不安もあるが 『お燗酒』を美味しく体験してもらう知恵を絞り続ける事にワクワクできればいい。 結局、そう慰めてくれるのは昨日までの自分なのだ。 そうだ、そうそう! 夏にお燗酒を提供する時 せめて『ひやっ』とする話をするだけでも随分と違うかも知れない。 例えば熱狂的な阪神ファンのお客様が来店されたら 『ひや』を、さりげなく会話にねじ込むようにする。例えば。。。

          お燗酒で通す高揚感

          お燗としょうのう舟

          皆さんにとって、物心ついた幼少期に一番にハマったオモチャはなんですか? ボクは断然『しょうのう舟』です。 ボクは『しょうのう舟』こそが最高の暑気払いの一つ。 そして最高のお燗酒のあての鑑賞物、そうなると考えました。 発酵さぎょう 本日から営業再開します。 本日29日、30日は『北海道のお土産と、懐かしのしょうのう舟』 是非、遊びに来てくださいね♪

          お燗としょうのう舟

          夢野久作とは別問題の294

          今、病院で夢野久作の(10秒で読める)超短編小説を思い出す。  ボクは初めての手術の時『せめてあと1、2年の命を』と思い  2回目の手術の時も『せめてあと2、3年』と思い  今、診断結果の待ち時間に『願わくばあと5、6年』などと思っている。  この作品は、受け取る人の状況によって甚だ解釈が違うように思う。  診断結果次第で深層心理にもブラックユーモアにもなるから、人の心はおっそろしい。  【医者と病人】 夢野久作  死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、

          夢野久作とは別問題の294