鈴木邦弘

イラストレーター、絵本作家、介護福祉士。東京新聞『見えない放射能を描く』→https:…

鈴木邦弘

イラストレーター、絵本作家、介護福祉士。東京新聞『見えない放射能を描く』→https://note.com/niq/m/mad4aa8cf1bdc 絵本『いぬとふるさと』→https://www.junposha.com/book/b557170.html

マガジン

  • 福島のいま

    『福島のいま』として、これまで双葉郡を取材して撮影した写真を公開していきます。 公の報道では、「こんなところが復興しました」というニュースが中心で、未だ復興できていない場所は完全に後回しです。震災から13年を経て、東京五輪も終わりコロナ禍も明け(本当は明けてない)、「福島はもう復興したんでしょ?」と話す人もいます。政治家は時と場合によって「復興した」「復興半ば」と使い分けます。現地に足を運ぶジャーナリスト、アーティストは今や希少な存在となっています。 現地を500km以上歩いたおそらく日本唯一の絵描きとして、拙い写真ではありますが、僕なりの目線で見たものをこちらにまとめていこうと思います。 カンパ、サポート大歓迎です。

  • 絵本

    これまでに制作した絵本です

  • イラストレーション

    これまでに制作した作品です。

  • こまち写真集

    愛犬こまちの写真集 こまちプロフィール https://note.mu/niq/n/nd305ca4d61f1 #柴犬

  • カツヲ写真集

    2ヶ月の男の子を保護しました。里親さんはもう決まってますが、それまでの僅かな間をたくさん収めたいと思います。

最近の記事

  • 固定された記事

先日投稿した富岡町大菅大平、川田のホットスポットの件について、富岡町役場に電話およびメール。場所の確認が出来たので、環境省とともに測定、そしてフォローアップ除染に取り掛かるとのこと。進捗状況はメールにて連絡あり。よかった。 https://note.com/niq/n/n7acb960f1466

    • 5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-5 『盆流し』

       富岡町小良ヶ浜赤坂。赤坂神社の手前で、自宅の片付けに来ているお爺さんに出会った。 「おう、写真撮りに来てんか」 「はい、原発事故後の双葉郡の絵本を描いていて…そのために通ってます」  「おう、絵本描いてんのか、そらええことだ。そこ(道)はいいけっど、こっち(家)はまだ帰還困難区域だな(笑)」 「やっぱり自由に通れるようになってよかったですか」 「ふふ、まあそらそうだけど…まだ(自宅の避難指示解除まで)3年くらいはかかんじゃねえかなあ。それに、誰も戻って来ねえよ」

      • 「被曝」という観点を無視して何が「福島の復興」だろう?  希望に溢れている? 「こんなに線量が高いと聞いてなかった」  移住者の率直な声にちゃんと向き合った上で書いてる?  未除染の場所で家庭菜園を始めた移住者に何かあったら?  自己責任?  無責任が集まって、果たしてその先は?

        • 5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-4 『“帰還”困難区域です』

           2023年11月30日、「富岡町の小良ヶ浜地区の避難指示が解除」という報道がありました。しかし実際は、6つの墓地や公民館といった拠点と、そこに至る道が解除されただけでした。時事通信に掲載されたそのネット記事に添付されていた図の中で、「帰宅困難区域」という表現がありました。これはよくある間違いで、実際は「帰還困難区域」です。「帰宅」ではなく「帰還」。  一般の人がそうした間違いをするのは止むを得ないのですが、報道機関がなんて間違いをと思っていたら、今回歩いてみてなるほどと思

        • 固定された記事

        先日投稿した富岡町大菅大平、川田のホットスポットの件について、富岡町役場に電話およびメール。場所の確認が出来たので、環境省とともに測定、そしてフォローアップ除染に取り掛かるとのこと。進捗状況はメールにて連絡あり。よかった。 https://note.com/niq/n/n7acb960f1466

        • 5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-5 『盆流し』

        • 「被曝」という観点を無視して何が「福島の復興」だろう?  希望に溢れている? 「こんなに線量が高いと聞いてなかった」  移住者の率直な声にちゃんと向き合った上で書いてる?  未除染の場所で家庭菜園を始めた移住者に何かあったら?  自己責任?  無責任が集まって、果たしてその先は?

        • 5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-4 『“帰還”困難区域です』

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        • 2020年8月双葉町取材
          6本

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          双葉の会

           先週土曜、5月18日は第三回「双葉の会」でした。  この「双葉の会」は、双葉町から埼玉県加須市に避難中の鵜沼久江さんが、コロナ禍で中断していた双葉町からの避難者の集まりを再開させたいと、鵜沼さんを中心に何人かの有志が集まって始めたものです。  今年1月に第一回双葉の会を開催。そのときは、双葉町の人たちを追ったドキュメンタリー『原発の町を追われて・10年』(監督・堀切さとみ)の上映会と、僕の絵本の読み聞かせ、また、普段からボランティアで読み聞かせをしている方が、数冊の絵本

          双葉の会

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-3 『超ホットスポット』

           富岡町大菅の大平地区、川田地区は常に0.6μSv/h以上あり、すっかり更地だけとなった夜ノ森駅前の倍くらいの線量だが、中でも2ヶ所、8.14と7.48μSv/hなんてホットスポットを見つけてしまい、かなり衝撃的だった。すぐ傍では稲作が行われており、ちょっとどうなのと思う。  役場に通報して除染を促そうか検討中。  ここはどちらも避難指示解除された場所。有名な夜ノ森の桜並木からは200mしか離れてない。環境濃縮や泥あげ、様々な理由が浮かぶが、それにしても高すぎる。

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-3 『超ホットスポット』

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-2 『六国で5人と出会う』

           5月11日の六国歩きでは、チャリンコ3人と出会った。一番最初、Tシャツとサンダルでママチャリに乗ったおじさんに追い越されたときは、そのスタイルがあまりに衝撃的で、声をあげて笑ってしまった。  「なぁにやってんだよ!」  その後、長者原に入ってすぐの六国脇の家に一時帰宅してた人とばったり。  「お兄さん、どこから来たの?」  「埼玉です。解体ですか?」  「いや、解体はしねえ。何だ、わざわざ写真撮りに来たんか」  「はい、もう32回目で…」  「何だ、32回も来

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-2 『六国で5人と出会う』

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-1 『放射性物質は移動し、再汚染する』

           2022年10月に六国の帰還困難区域を歩いてもいいことになり、僕が初めて双葉町の高万迫交差点から大熊町の東大和久交差点まで歩いたのは2023年1月。  そのときに感じたのは、空間線量は平均的に高いものの、歩いてもいいというだけあって、中央台交差点など特に高い場所を除けば、概ね3.8μSv/h以下に収まっているという印象だった。最低限の除染はされている、と。  それから今まで4回六国の帰還困難区域を歩いているが、4.0μSv/h以上のホットスポットが増えている印象がある。

          5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-1 『放射性物質は移動し、再汚染する』

          明日からまた、一泊二日で福島に行きます。32回目の取材。明日は双葉の漬物工場を見てから六国を抜け大野駅まで、明後日は富岡の小良ヶ浜をじっくり歩いて来ようと思います。地に足のついた徒歩取材、これで延べ500kmを超えます。暑くなりそうですが、しっかり水分補給して頑張ります。

          明日からまた、一泊二日で福島に行きます。32回目の取材。明日は双葉の漬物工場を見てから六国を抜け大野駅まで、明後日は富岡の小良ヶ浜をじっくり歩いて来ようと思います。地に足のついた徒歩取材、これで延べ500kmを超えます。暑くなりそうですが、しっかり水分補給して頑張ります。

          【2023年12月、小良ヶ浜取材その3 旧帰還困難区域ゲート〜赤坂神社】

          「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  小良ヶ浜地区は、富岡町でも唯一残った帰還困難区域だ。その中でも小良ヶ浜深谷地区にはこれまでに何度も訪れているが、大量の放射性廃棄物を詰めたフレコンバッグの仮置場になっていたビジュアル的なインパクトも勿論だが、その汚染もかなり酷いものがあった。僕がこれまで訪れていたのは小良ヶ浜でも最も南に位置する場所で、富岡駅からは直線距離で2km

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          Netflixで配信された、『THE DAYS』について。

           Netflixで配信された、『THE DAYS』について、僕なりに見て感じたことを書きます。  正直、最終回まで見るのが辛いドラマでした。内容が辛いのではなく、演出がクサくてしらけるのと、台詞が説明的で、火サスのような2時間ドラマを見ているような気持ちになったからです。  再臨界を恐れた首相官邸が海水注入を止めさせようとしたことになっているし、ダメな首相官邸と現場の間に挟まれた可哀想な東電本店という扱いになっているし、首相がアメリカに対して1Fから80km圏外への避難指

          Netflixで配信された、『THE DAYS』について。

          福島県浜通りの福島第一原発周辺、双葉や大熊の帰還困難区域やその周辺の記録はnote内に多数あれど、放射線量について何かを書いてる人を見ることは殆どない。烏賀陽氏やまさのさん、僕など、極めて少数だ。まるでわずか13年で放射能が消えてなくなったかのようだ。避難指示解除=安全だとでも?

          福島県浜通りの福島第一原発周辺、双葉や大熊の帰還困難区域やその周辺の記録はnote内に多数あれど、放射線量について何かを書いてる人を見ることは殆どない。烏賀陽氏やまさのさん、僕など、極めて少数だ。まるでわずか13年で放射能が消えてなくなったかのようだ。避難指示解除=安全だとでも?

          2024年3月13日、個展『13YEARS AFTER』(銀座、ゆう画廊)会場にて。

          2024年3月13日、個展『13YEARS AFTER』(銀座、ゆう画廊)会場にて。

          【2023年12月、小良ヶ浜取材その2 夜ノ森駅〜ケーズデンキ】

          「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  2023年12月3日、朝5時の目覚ましで起きて、いわき駅6時9分発の常磐線で夜ノ森駅まで。この時期の朝6時はまだ暗い。夜ノ森駅までの移動中、富岡駅のあたりで日の出を迎える。かつては2Fの排気筒を写真に収めていたが、今はもう見慣れて撮影することもなくなった。  7時前に夜ノ森駅に着いて、目的である小良ヶ浜まで最短のルートを進む。何

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          【2023年12月、小良ヶ浜取材その2 夜ノ森駅〜ケーズデンキ…

          【2023年12月、小良ヶ浜取材その1 富岡駅〜小良ヶ浜】

          「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜  2023年11月30日に富岡町小良ヶ浜地区の避難指示が解除されると報道があった。かつて何度か訪れており、そのエリアの空間線量率が高いことは知っていた。あんなに線量が高いところを、解除出来るのか? しかし報道をよく見てみたところ、その地区の6つの拠点(公民館や墓地)と、そこに至る数本の道路が解除されるだけだと知った。未だ人が住むことは出来ない。

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          【2023年12月、小良ヶ浜取材その1 富岡駅〜小良ヶ浜】

          富岡町小良ヶ浜の境界で

           2023年12月3日、富岡町小良ヶ浜松葉原。ここで1匹の柴犬を連れた男性と出会う。震災前、今は亡き先住犬と海釣りに来た思い出の場所へ行けるかと思い楢葉町から来たという。藪に阻まれ進むことが出来ず、「これで復興なんて」とこぼした。  「避難指示解除されても、アパートばかり建って、住むのは原発やゼネコンの作業員ばかり」  穏やかな表情だが、そこには静かな怒りが込められていた。カメラを抱えて夜ノ森から歩いてきた僕を見て「この現状を発信して伝えて下さい」と声をかけてくれた。勇気

          富岡町小良ヶ浜の境界で