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そして続いていく音楽

LAMP IN TERRENというバンドが好き。
確か「緑閃光」という曲をきっかけに知ったけど逆にそれしか知らなくて、
その後だいぶ経ってから他の曲を聴いて魅力を知った。
それから私は落ち着きたい時とか、寝る前に聞いたりすることが多かった。

そんなLAMP IN TERRENはもう活動していない。
メンバーの脱退を機に活動を終えてしまったので、新しい曲が生まれないことをすごく悲しく思ったし、既存の曲を大事に大事に聴いて生きていこうと思っていた。

が、そのLAMP IN TERRENのメンバーが再集結して、新たなメンバーも加えて「Enfants(アンファン)」というバンドを組んだ。
私はあまりに情報弱者なので気づくのが遅れてしまったのだけど、ちょうどこの間EPを配信リリースしていたので聴いてみた。

いい。すごくいい。歌詞は松本さんの良さが出て、無骨で、でも優しくて、一緒に歩いてくれる。声も同じ。
でも、新しいバンドっていう感じもしっかりする。サウンドもいい意味でシンプルで楽器のよさがめちゃくちゃ出ている。余計なものがないという印象。

「Play」は「どうせ暇つぶしのような人生」「吐いて捨てるような日々」とハードに投げながら、明確に背中を押すようなメッセージはないけど聴いた後なんかスッキリするな、という後味。どうせならハッピーに、どうせなら今に焦点を当てて、進んでいく日常にスパイスをくれるような歌詞。私はこれを初めて聴いた時めちゃくちゃ色々と燻っていたので、 すごく刺さった。

「HYS」はベースラインがかっこいい。歪んだ音に松本さんの呟くような発声が乗って、サビの開放感を際立てているような気がする。
生きづらさとかコンプレックスとか、そこに土足で切り込んできつつもそこに争いたい気持ちとか、自分の中の自分に問いかけるような歌詞で。でも所詮自分で打破していく強さみたいなところを確立していくしかない、そこのもどかしさを表現しているようにもかんじた。

「Drive Living Dead」は前の2曲と違ってベースの重さというよりドラムの疾走感、間奏のギターの爽やかさが印象的。
歌詞は「愛してた事も全部塗りつぶす前にさよならを言わなくちゃ」が好き。
対人でも、好きなものでも、みんなそう。大好きでも、それが全部無かったことになったり、マイナスになってしまう時が来たりする。その前に離れるというのは、実はすごく大事な決断だと思う。
私はこの曲の歌詞にLAMP IN TERRENというバンドを重ねた。
日々は続く、名残もあるけど次に進んでいくために必要な別れ、これしかないけどここではないどこかで、というような。断片的だし全然ちがうかもしれないけど。
後ろ髪をひかれるところもあるかもしれないけど、「今を選んできたんだ」という歌詞が、バンドも、人も、進んでいくものたちに共通している思いなのかも。

「Autopilot」はアコースティックギターの上にキラキラと重なったギターが印象的。ぽつりぽつりと歌う松本さんの姿、めちゃくちゃ想像できるな。
私はこのアルバムの中でこの曲が一番好き。
「全自動で時は進む おわりに向かうまで」
自分を守るために何もしなくても、動かなくても、時は進んでいく。「大人」と呼ばれる人に、全自動でなっていく。それはみんなに平等。
でも、その時の中で何をするかは全員に委ねられていて、人は機械ではないから自動では動けない。だから難しい。
私はこの曲を聴いた時、自分の中のまっさらな気持ちについて考えてみた。
子供の頃、何になりたかったんだっけ。
仕事をしてお金を稼いで、何をして生きていたいんだっけ。
そんなことを考えるきっかけになった。

松本さんの歌詞は、続いていく日々というのが根底にあるように思う。
その中でもがいたり、寄り添ったり、大切なものに思いを馳せたり。
Enfantsというバンドを通してこれから歌詞も、サウンドもまた生まれていくことが楽しみだし、いつかライブも見てみたいな。

長くなってしまった。
最後にMV貼って終わり。


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