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「君主論」2.加虐行為は一気に

 マキャヴェリ「君主論」中の名言と自分の思うところ、その2です。
 
(2)加虐行為は一気にやってしまわなくてはいけない。
 ・・・・ある国を奪い取るとき、征服者は当然なすべき加虐行為を、決然と一気呵成に行うがよい。その後でやり方を変え、恩義をほどこして民心を掌握せよ。いっぽう、恩義はよりよく人に味わってもらうよう、小出しにしなければならない。
 
 国を会社と、民心を社員と置き変えて読むと、時と場合にもよるが、一面の真理をとらえている。
 
 会社が苦しい時、リストラをするのは経営者の常とう手段だ。もちろん、やりたくはないだろうが、どうせやるなら一度だけ、思い切って過大にやる方がいい。状況が悪くなる都度、小出しにすると、そのたびに社員が意気消沈して社内が暗くなる。
 
 又、業績不振会社の経営者が変わった時によくやるのが、過去のつけを全て表に出し、その年度の決算を大赤字にして、翌年度以降に持ち越さない方法だ。業績不振の大企業を立て直した名経営者と言われる人は、例外なく、この手法を取っている。日産にゴーンが就任した時に、この方法でメディアの喝采を浴びた。
 
 私事で恐縮だが、新潟から東京の上場企業のトップに就任した時、まさにこれを実行した。販売の見込みのない巨額の製品在庫を抱えていたので、就任後直ちに全て廃却し、直後の決算は大赤字になった。株主や銀行には評判悪かったが、これは全て前の社長の責任だと公言し、損失を次年度以降に繰り越さなかった。
 
 いっぽう、恩義、すなわち昇給、昇格、福利厚生などの諸々は、ある程度継続的に小出しにした方が、社員の満足度が継続する。人は、よしにつけ悪しきにつけ、過去の事は時間とともに印象が薄れて慣れてしまうのだ。

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