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引き抜き 2.作戦会議

 2014年2月業界トップのA社から、当社の販売店を取り込む戦争を仕掛けられた。その対抗措置の顛末をシリーズでアップします。

 2.作戦会議

 その後、2月26日朝に業界トップA社の営業部長が、当社の子会社N商事社長を呼びだし、Y商事東京の販売は、当社製品からA社製品に切り替えることになった、と正式に話があった。わざわざ呼び出すなど、如何にも上から目線、面白くない事甚だしいが、ともかく、A社は特別商社作戦を宣告してきた。
 当社も黙って東部地区5000トンを占拠されるわけにはいかず、反抗作戦を考えねばならない。
 急遽同じ26日の午後、関係者で協議し、以下を決めた。
 
1 N商事の東京支店を開設して、5000トンを取り戻す。
2 場所はY商事東京支店の近隣にする。
3 可能なら主要な人員をY商事東京から引き抜く。
4 最初にY商事東京支店長のT氏に声をかける。
5 引き抜きの件はここの出席者以外、社内外厳秘とする。
 
 商品の特殊鉄管は、業界の技術標準にのっとっており、需要家(自治体)にとっては、業界3社のどこから購入しても同じものだ。だから販売にあたっては、営業マンの丁寧で素早い対応の積み重ねが大切。主要な営業マンを引き抜けば、受注もついてくるのではないか、との判断だ。逆に、営業マンの引き抜きが出来なければ、5000トンの取り戻しは難しい。
 冷静に考えれば、事実は小説のようにはいかないのだが、他に有効な作戦が思い浮かばないから仕方がない。やる以上は成功を信じて、Y社やA社が気づかないうちに、素早くかつ秘密裏に事を進めねばならない。
 Y商事東京支店は30人くらいの陣容だが、主要な営業の戦力は、支店長とその他3名程度だから、その全員に声をかけることにした。

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