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ちょっと嬉しかった話

ほぼ千文字です。



事の発端は朝6時のことでした。

電車から降りようとした時、
電車とホームの間の隙間に
ワイヤレスイヤホンのケースを
落としてしまいました。

その時間は
駅員さんが一人しかいないし
私も部活の時間が近づいてきて急いでいたので
取ることができませんでした。

不幸は続きます。
部活場所に行くため自転車に乗っていたら

「チャリン」


私の大事な携帯についていたキーホルダーが
落ちてしまいました。
必死に探しましたが、
なかなか見つからず、
部活の集合時間も迫っていたので
泣く泣くその場を離れました。

部活場所では
みんなが楽しそうに話していました。
その中私は落ち込んでいました。
キーホルダーを無くしたからだけではないです

私はその時
部活を辞めることを考えていました。
部活の活動内容も面白いし
先輩も仲間も優しいです。


しかし、
私の家は学校からとても遠いので
朝7時から始まる朝練のために
四時半に起きなければなりません。
しかも週3回

朝練の後は
授業中も眠いし
疲れも溜まっています。

夜早く寝ても
朝練後仮眠しても
疲れは溜まっていくばかり。
勉学にも支障が出てきて
かれこれ一ヶ月以上

限界に近づいていました。

練習後、
同級生に部活を辞めることを話しました
みんな
「やめてほしくないけれど、
意見を尊重する」
といっていました。

みんな少し寂しそうでした。

部活後
無くしたキーホルダーをまた探しました。
何度も何度も探しましたが
見つかりませんでした。
交番に聞いても
見つかりませんでした。

お昼、
部活の友達から
「お昼一緒に食べようよ」
という連絡が来ました。

本当は一緒に食べたかったけれど、
部活を辞めるつもりで
何だか気まずく
諦めました

お昼休みが終わり授業に行く時
部活の友達に会いました。
何だか気まずいです。

話はもちろん部活を辞める話のこと
その場を作り笑顔でやり過ごしました。
気まずいの一言です。


帰り。
再び駅に戻りました。
駅員さんに
あのイヤホンケースを取ってもらうよう
お願いしました。

駅員さんは
吸盤をつけたマジックハンドを持って
優しく私のイヤホンケースを取ってくれました。

イヤホンケースが私の手元に戻った時
涙がブワッと出ました。

ケースが戻ったことだけではないです。
今日起こったいろんな不幸
不幸の連続が断ち切れ
浄化されていったようだからです。

そんな私をよそに
駅員さんはスタスタと
持ち場に戻っていきました

「部活、やめるの考え直そうかな?」

「明日交番にキーホルダー届いているか聞こうかな?」

一つ大きな不幸が克服されたとき
私の気持ちはとても晴れ晴れとしていました。


ーおしまいー


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