建築に惹かれる理由がわかった
大人になってから、建築を見るのが好きになった。
何か鮮烈なきっかけがあったわけではなく、あるときから旅先で教会や洋館を見に行くようになっていた。
建築の何に惹かれているんだろう。美しいものを見るなら、美術館の絵画鑑賞にも同等の楽しみを見出していてもおかしくはないはずなのに…少し考えて、どうも私が建築好きな理由が三つあるらしいと気づく。
一つめは、建築は私の「なぜこうなっているんだろう?」という疑問に対して明確な答えがあること。
建築物そのものや、内部の装飾にいたるひとつひとつまで、何かしらの意図や意味があって作られている。
例えば、横浜の古い洋館の横に小さな和風家屋がくっついているのは、まだ和式の家がスタンダードだった時代に、その家で洋式しか知らずに育った娘たちが嫁ぎ先で苦労しないようにという意図があってのものだとか、
昭和初期に建てられた洋風建築の階段の段差が低いのは、当時はまだ着物で暮らす人が多く、階段を上がる際に躓かないようにだとか、
カトリックの教会が豪華絢爛かつ壮麗で、プロテスタントの教会が質素なのにはちゃんと意味があることとか(カトリックが興った時代、読み書きのできないひとびとに神の偉大さを知らしめるには煌びやかな建築でもって伝えるのが一番だったのだ)
絵なども色のひとつをとっても画家の意図があるはずだけれど、そこにあるのは正解ではなく解釈なことが多い。
そこに込められたただしい意味を、時代を超えて伝えてくれるから建築が好きだ。
二つめの理由は、ひとの美へのこだわりが見てとれるから。家などは本来雨風をしのげたらいいのに、綺麗なガラスをとりつけてみたり、四角い窓枠を苦心してアーチ型にしたりする。こだわりとは本来面倒くさいもので、そういうめんどうなものの追求の結果としてできあがる美しい建築が好きだ。
三つめは単純で、私は大きいものが好きだから。小さなカンバスに描かれた絵よりも、大きな建築により惹かれる。
おまけ:好きな建築たち
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