今のお年寄りと、50年後のお年寄りの身体は全然違うかもしれない



急激な医療技術や衛生面の改善、収入の増加によって、人類の取り巻く環境がここ100年で劇的に変わっています。
昔はありふれた病気が今はほとんど見かけなくなるケースもあります。
昔の病気を経験している身体と我々の身体は、年齢が同じでも、違ったものであるかもしれないということです。


今は減少している病気の一つにリウマチ熱があります。

A群β型溶連菌(という細菌の一種)感染症に対する免疫の異常反応と考えられていて、子供が主になりますが、先進国では減少しています。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/乳児および小児における様々な細菌感染症/リウマチ熱

低栄養,過密環境,社会経済的地位の低さが素因となるとのこと。

発症すると、心炎(心内膜炎、心膜炎、心筋炎全部になりうる)、関節炎、中枢神経症状、皮疹(輪状紅斑っていう特徴的なもの)、皮下結節、腎炎といった多彩な症状が出てきます。

という感染症の合併症としては派手なんですが、やはりあまりみないです。

でも、あ、この人は昔かかったことあるな、と気づく時があります。

心臓の4つの部屋の2つ、心房の内膜に石灰化(カルシウムが沈着すること)が起きている場合です。さらに、大体は、僧帽弁や大動脈弁の石灰化や置換術(弁がうまく働かないから人工の弁に置き換える手術)をされている場合が多いです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcvs/46/5/46_231/_pdf
このサイトで報告されている例は、血栓(心臓内にできた血の塊が石灰化した)によるものじゃねと書いてありますが、知識として触れられています。

80−90代の患者さんでは結構目にするんですよ。

80−90年前といったら、死因の第一位は結核、平均寿命はまだ40代でした。
人類の歴史から言っても、これだけ短い間に、かかる病気や寿命が変わったのは、劇的と言わざるを得ないでしょう。

60ー70代と、80−90代では、世代間で、疾患分布や既往がガラリと違うから、年齢的に予想できない可能性もあります。
戦争もありましたし。
となると、50年後の80−90代も人物像が、異なる可能性がありますよね。