人間は抵抗する生物か?
『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』の著者として知られているラウル・ヒルバーグは、1992年に『加害者・犠牲者・傍観者』を出版した。1961年に初版が出た『絶滅』においてヒルバーグは、国民社会主義による大量虐殺がどのように進行していたかを、一つ一つの出来事を丹念に追いながら解明したためにこの分野の研究においてゆるぎない地位を確立した。それに対して『加害者・犠牲者・傍観者』は、題名から察せられるように「出来事よりも人々に焦点を当てた著書」だった。
66歳になっていたヒルバーグにと