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仲人の仕事 親の勘違い

知り合いから結婚相手を探している息子を助けてほしいと言われたので一度会ってほしいと言われました。

神戸の山手、閑静な住宅街に4階建ての建物。バブルの時によく見たしつらえの贅沢な一軒家だそうです。

その1階で宝石店。二階に48歳の息子さんと80歳の母親が住んでいるそうです。そちらの条件をいろいろ聞きましたが、実際お会いして…。ということになり、桜も満開の並木道をくぐってその館に着きました。

何とも上品なお母さまが、二階の玄関ドアから顔を出されました。
リビングに通されて一通り挨拶をすませました。あれ!息子さんは?
今日のお約束はご存じだと。

尋ねると「さっきまでいたんですが、さてどこに行ったのか?のんびりしてるんです。」とあっさり言われました。

もう待ってましたとばかり、話が始まりました。
「どんな人でもいいから見つけてほしい。息子は本当に優しくて、私を病院に連れて行ってくれたり買い物にも行ってくれます。
私の財布がポンと置いたままでもお金を抜くこともなく、頼んだ買い物のお釣りも一円単位まで返してくれます。」???

「この二階に二人が住んで、私は三階。介護の世話する人にも来てもらって二人の世話にはなりません。建てたこの家だけは手放すな!と主人の遺言。なので私がいなくなっても守ってほしい。」

「生活費は私がすべて出します。息子には毎月10万円ずつ小遣いとして渡しています。二人になったら20万円。」

「こんなにいい条件なのだからすぐに決まると思っていたのに、本人はあまりその気がないようで…。でも私も年を取って家のことが気になって…。」

「買い物はコープさんが配達してくれるのでお嫁さんは仕事を続けるならどうぞ続けてください。一つだけ決まらないのは身長は高いのですが、ものすごく太ってます。写真は恥ずかしいしこの条件で会ってみようと思われたら嬉しい。」

「本当に優しい子なんです。」と何度も何度も言われます。

最後に「息子さんのお写真と履歴書。独身証明書に年収証明書が要ります。」と言うと「年収?書くとすれば0円ですが、昔景気の良い時は…。」

「まずは息子さんと二人でお会いしたいです。」と言うと「口出ししないので私も。」と母親は心配顔で言われました。

性格のいい子だからと仲人から言って会えるようにしてください。
優しい言葉使いや物腰ですが、ず~と違和感を感じながらの2時間でした。

知り合いは何とも言えない表情でどちらにも気を使いながらの帰路となりました。

次の日電話が母親からありました。
「どうしても写真は嫌だ!」と言ってます。
何とも昭和にタイムスリップしたような数時間でした。
ともかく息子さん、本心を聞かせて!

優しいということは大切ですが、いろんな気遣いは時として自分の意思を殺してしまいます。母と息子。大なり小なりありますが…。こんな親子が多いのも現実です。

今日もいい日にしましょう!


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