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『15歳からの社会保障 人生のピンチに備えて知っておこう!』 横山 北斗

 こちらもTwitterで見かけて手にしました。
 具体的にどのようなケースがどんなルートを辿って支援に辿り着くことができるのか具体的に事例を挙げて描かれている。
 
 私が自覚している欠点として、いくつかの情報から具体的に状況を想像するのが苦手ということがある。こういう保障があるとか、こういう困りごとがあるとか、部署があるとか、具体的ケースを抜いた一つ一つの情報だけを組み合わせて具体的な図が浮かべられないのだ。
 日常生活なら、周囲の動きを見ながら後出しする(いくつかの具体例を元に考える)ことで修正していくことができるけれど、小説を書くなど資料から一人で組み立てないといけないとなるとそうは行かない。
 事例を集めれば例えばこういう場合ならと派生させていくことはできるのだけれど。
 ということでケースから制度を見るという実際に即した流れで読める本に飛びついてしまった。
 ケースひとつひとつは淡々と描かれているのだが、怒りを感じ思わず拳を握りたくなったり、思いを馳せると胸が痛くなったりするようなものばかりだ。

 現実に直面していない人も手に取ってみてくれるといいなと思う。自分ではない相手を知る、特に距離がある相手のことに想いを馳せてみることは、相手のためだけではなく自分自身を広げることにもなるから。

 社会の認識を変えていく、必要としている場所に力が届くようにする方法を考えるというのは、自分と気持ちを重ねられるものにだけ目を向けていては達成できない。全く違う誰かを自分の尺度で測って決めつける(思考停止する)ことなく見つめ理解しようと努めることが必要だ。
 まとはずれな政策や、独りよがりな親切(自分の気持ち)の押し付けで困っている人を追い詰めないためにも。

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