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“ギャップ”はキャラクターの魅力

最近、今更ながら「ゲーム・オブ・スローンズ」を見出した。その登場人物の中に「ティリオン」という身長135cmくらいの背の低い俳優が演じているキャラクターがいる。大金持ちの貴族だけど、一族からは蔑み嫌われていて、毎晩のように娼婦と酒を飲んで遊んでばかり。典型的な放蕩息子といった感じ。

そのティリオンが物語が進むに連れて、他人に対する思いやりがあり、知性も高く、愛する女性に対して弱くナイーブな面を見せるなど、人間臭くて魅力的に見えてくる。

序盤ではどうしようもないキャラクターに見えていたのに、徐々に良い面が描き出されるとどんどん魅力的に見えてくる。

これがギャップの魅力だ。


物語でも実生活の中でも、初めて出会う人で第一印象の悪い人は良い人よりもお得な気がする。最初が悪い印象だと、その後付き合ううちにちょっとした良い面を発見しただけで大きくプラスの印象に加算され、最初が良い印象だと、相手のちょっと嫌な面を発見しただけでマイナス印象へと大きく減点されやすいと感じる。

以前にラジオ番組であるタレントが、暴力団にいたけど改心して神父になった人物が注目を集めている話題に対して、最初からずっと神父をやっている人のほうがずっと偉いじゃん、と言っていた。確かに後者の方が真面目で立派だ。でももしこの2人が自伝を出版したら、前者の話の方が魅力的に感じられてしまう。

「思いやり深い人だけど暴力的で怖い面がある」
「暴力的で怖い人だけど思いやり深い面がある」
上の文は同人物を表しているけど、文の順序を変えるだけで結構印象は違う。

最初にマイナス印象のほうが、その後プラス印象に転じやすい。


「体重100kgから一気に痩せてきれいになった」
「コワモテでいかつい体格の格闘家だけど小動物が大好き」
など、その人の人生や人間性にギャップがあればあるほど魅力につながる。

ギャップは深ければ深いほど魅力。


僕自身は周りの人から聞く分だと第一印象は良いほうだ。
「真面目」「優しそう」と言われることが多い。
若い頃に、僕ももっとギャップがあったほうが女性からモテるかなと思い、顔にキズの一つや二つあったらいいかなとか、声を意識的に低くしてダークな感じを演出しようかなとかアホなことを考えたこともあった。

ギャップの魅力を演出するのは難しく、性格や人生から滲み出てくるものだ。


僕の場合はアニメ作品を作っているので、登場人物にギャップを持たせることができる。怖そうだけど優しい主人公、優しそうだけど本当は悪い敵役など、ギャップのあるキャラクターは、物語を面白くする重要な要素だ。

実生活の中でいろんな人と付き合い、積極的に出会いの場に顔を出して人を観察すれば、物語に使えるキャラクターのインスピレーションを得られると思う。

僕も含めてクリエイターは人付き合いが苦手な人も多いと思う。でもキャラクター創作のためだと思って人付き合いすると結構楽しめると思うのだ。


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