にじたろう

親子や子ども向けのアニメ、デザイン、イラストを制作している鎌倉在住クリエイターです。日…

にじたろう

親子や子ども向けのアニメ、デザイン、イラストを制作している鎌倉在住クリエイターです。日々思ったこと、気づいたことなどつぶやきます。クリエイターサイトはコチラ→ https://www.nijitaro.jp/

記事一覧

本物を見て知ること

僕は美術大学を講師をしていて、以前に15年以上担当していた授業の中でアンリ・マティスの切り絵作品「クレオールダンサー」を扱っていたことがある。その時学生に資料とし…

にじたろう
12日前
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未来に期待しないで今を生きる

つい最近、入選すると期待していた大きなコンペに落選して落ち込んだことがあった。入選したらこうなって🎵、ああなって🎶、、、と自分の理想の未来を勝手に思い描いていた…

にじたろう
1か月前
1

大学生の後ろ姿

母校である美術大学の非常勤講師をかれこれ20年くらい務めている。 始めた時は20代の終わり頃で、学生も20代だから歳の差はそんなに感じず、彼らはまあまあ歳の離れた後輩…

にじたろう
1か月前
2

無言の間の圧力

数年前から様々な「間」に興味がある。 絵画の中にある空白の「間」、音楽の中の無音による「間」など。 人の喋り方にも「間」が含まれている。 以前にお世話になっている…

にじたろう
1か月前
2

オッペンハイマーを観て思ったこと

クリストファー・ノーランの新作映画「オッペンハイマー」を観に行った。 オッペンハイマーは“原爆の父”と呼ばれる物理学者で、政府から頼まれた仕事で他の有能な科学者…

にじたろう
1か月前
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40年くらい使ってる机

僕は物持ちがいい、と最近気づいた。 ある時仲のいい後輩が僕の服装を見て「その服、ずっと前から着てますね」と言われ、そう言われればそうだなと思って家で10年以上前の…

にじたろう
1か月前
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無音による「間」の効果

毎週末にゲーム・オブ・スローンズを見ている。本当に面白くてハマっている。昨日やっとシーズン3・第9話「キャスタミアの雨」を見終えた。 (↓↓↓ 以下ネタバレあり …

にじたろう
1か月前
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距離を置くことの大切さ

僕はグラフィックデザイン、イラスト、アニメ制作のほぼ全ての工程をデジタルで行う。だから20代の頃から朝から晩まで常にモニターを見っぱなしだ。 イラストやグラフィッ…

にじたろう
1か月前
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子どもの原体験

5歳の時に自分で作った絵本を保育園の先生にプレゼントした。先生はその絵本を園の部屋に飾ってくれて、とても嬉しかったのを何となく覚えている。 それが僕の原体験だ。 …

にじたろう
2か月前
1

AIに仕事を奪われないように

動画生成AI「Sora」で作られたムービーを最近よく目にする。最初見た時に思った。 うわー、すごい!こんなリアルに簡単に作れちゃうの!? これから映像クリエイターの大…

にじたろう
2か月前
2

“ギャップ”はキャラクターの魅力

最近、今更ながら「ゲーム・オブ・スローンズ」を見出した。その登場人物の中に「ティリオン」という身長135cmくらいの背の低い俳優が演じているキャラクターがいる。大金…

にじたろう
2か月前
2

多言語環境にいる子ども

僕の弟はアメリカで結婚してペルー出身の奥さんと一緒にペンシルベニアの森の奥で3人の男の子を育てている。その甥っ子たちは長男が16歳、次男15歳、三男が14歳で現地の一…

にじたろう
2か月前
1

真実の情報って?

少し前の話だけど、アメリカのアカデミー賞の授賞式で受賞した白人俳優の態度がアジア人差別だと騒がれてニュースになっていた。僕が最初にそのニュース記事をネットで見た…

にじたろう
2か月前
1

子どもにアートアニメを!

最近「アートアニメーション」と呼ばれる種類の作品を頻繁に視聴している。アートアニメとはディズニーやピクサー、日本のマンガ原作のアニメなどの商業的エンターテインメ…

にじたろう
2か月前
1

子どもに現代アートって分かるかな?

横浜トリエンナーレに行って久しぶりに現代アート作品を見てきた。普段は印象派とかクラシックな絵画の展示を見る事が多いけど、そればかりだと頭の中も「クラシック」にな…

にじたろう
2か月前
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ピカソvs子どもの絵

画家のピカソは「子供のような絵」を描くことを目指したと言われています。そして晩年に「ようやく子どものような絵が描けるようになった」と語っていたそうです。 僕は以…

にじたろう
2か月前
5
	本物を見て知ること

本物を見て知ること

僕は美術大学を講師をしていて、以前に15年以上担当していた授業の中でアンリ・マティスの切り絵作品「クレオールダンサー」を扱っていたことがある。その時学生に資料として配布していたのは僕の上司にあたる教授が用意してくれた画像データで、おそらくマティスの画集のページをスキャンしたものか何かで、授業開始当初からずっと使用していた。

僕は恥ずかしながら、今までずっと本物の「クレオールダンサー」がどういうも

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未来に期待しないで今を生きる

未来に期待しないで今を生きる

つい最近、入選すると期待していた大きなコンペに落選して落ち込んだことがあった。入選したらこうなって🎵、ああなって🎶、、、と自分の理想の未来を勝手に思い描いていたが、

落選の瞬間に築き上げた理想の城はあっさり崩れ去った。

物事や人に理想を期待して裏切られて落ち込むことはよくある。物事の結果はきっとこうなるはずだとか、人がきっとこうしてくれるだろうとか想像して、その通りではない結果に終わって一

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大学生の後ろ姿

大学生の後ろ姿

母校である美術大学の非常勤講師をかれこれ20年くらい務めている。
始めた時は20代の終わり頃で、学生も20代だから歳の差はそんなに感じず、彼らはまあまあ歳の離れた後輩達という感じだった。

先日新しい授業が始まった。これまでは2年生を担当していたが、入学したての1年生に教えることになった。1年生に接するのは初めてなのでとても新鮮な気持ちだ。

年齢を考えると、1年生だと18〜20歳くらいなので僕と

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無言の間の圧力

無言の間の圧力

数年前から様々な「間」に興味がある。
絵画の中にある空白の「間」、音楽の中の無音による「間」など。
人の喋り方にも「間」が含まれている。

以前にお世話になっている実業家の方とそのスタッフの方達と一緒に旅行に行った時のこと。実業家の方は複数の会社を経営して大きなイベントの企画運営などもやっている才能ある方なので、一緒に過ごしていればいろいろと学べるのではと思っていた。

実業家の方の運転する車で移

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オッペンハイマーを観て思ったこと

オッペンハイマーを観て思ったこと

クリストファー・ノーランの新作映画「オッペンハイマー」を観に行った。
オッペンハイマーは“原爆の父”と呼ばれる物理学者で、政府から頼まれた仕事で他の有能な科学者達を仲間に引き入れて皆で一緒に原爆を開発する。

オッペンハイマーは天才科学者だけど、女性にだらしなく、憎いと思った人が食べようとしていたりんごに毒を仕込むなどの奇行も多い。

最初は良かれと思って原爆開発に参加し、完成した原爆が日本に落と

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40年くらい使ってる机

40年くらい使ってる机

僕は物持ちがいい、と最近気づいた。
ある時仲のいい後輩が僕の服装を見て「その服、ずっと前から着てますね」と言われ、そう言われればそうだなと思って家で10年以上前の写真を見たら同じ服を着ていた。

基本的に家の中で仕事をしているし、インドア派なので服を着て外出する機会が少ないこともあるが、服に毛玉ができると取り除いたり、クツも汚れたら磨くなどモノを大切にしている方かもしれない。

最近自分でもこれは

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無音による「間」の効果

無音による「間」の効果

毎週末にゲーム・オブ・スローンズを見ている。本当に面白くてハマっている。昨日やっとシーズン3・第9話「キャスタミアの雨」を見終えた。
(↓↓↓ 以下ネタバレあり ↓↓↓)

この回の最後が衝撃的だった!
おそらく大多数の視聴者が共感できるメインキャストで正義側の一族の数人(僕も思い入れが深かった)が裏切りによってあっという間に殺されてしまうのだ。場面はその一族側の仲間の結婚式。飲んで歌って騒いでの

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距離を置くことの大切さ

距離を置くことの大切さ

僕はグラフィックデザイン、イラスト、アニメ制作のほぼ全ての工程をデジタルで行う。だから20代の頃から朝から晩まで常にモニターを見っぱなしだ。

イラストやグラフィックデザインなど静止画を制作している時は、モニターの中で画像を拡大して細部を作り込んだり、縮小して全体のバランスを確認したりを繰り返す。

作業をしていると徐々に、自分がモニターから離れて眺めてみるなどし始める。そして離れて見つつ、首を9

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子どもの原体験

子どもの原体験

5歳の時に自分で作った絵本を保育園の先生にプレゼントした。先生はその絵本を園の部屋に飾ってくれて、とても嬉しかったのを何となく覚えている。

それが僕の原体験だ。

20代の頃、この先の人生をどう生きていこうかなど考えていた時にこの体験を心の拠り所にしてクリエイター活動を始めた。

「作品を作って誰かを喜ばせること」

いろんな思考に囚われていない5歳の自分こそが本来の自分で、その自分が自らの衝動

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AIに仕事を奪われないように

AIに仕事を奪われないように

動画生成AI「Sora」で作られたムービーを最近よく目にする。最初見た時に思った。

うわー、すごい!こんなリアルに簡単に作れちゃうの!?

これから映像クリエイターの大勢が仕事を失っていくかもしれない。

僕が大学生の頃にAppleのPCをクリエイター達が使い出した頃を思い出した。僕はグラフィック制作などの行程の全てをPCで始めた最初の世代だ。デザイン業務などでは、それまで手仕事でやっていた労働

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“ギャップ”はキャラクターの魅力

“ギャップ”はキャラクターの魅力

最近、今更ながら「ゲーム・オブ・スローンズ」を見出した。その登場人物の中に「ティリオン」という身長135cmくらいの背の低い俳優が演じているキャラクターがいる。大金持ちの貴族だけど、一族からは蔑み嫌われていて、毎晩のように娼婦と酒を飲んで遊んでばかり。典型的な放蕩息子といった感じ。

そのティリオンが物語が進むに連れて、他人に対する思いやりがあり、知性も高く、愛する女性に対して弱くナイーブな面を見

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多言語環境にいる子ども

多言語環境にいる子ども

僕の弟はアメリカで結婚してペルー出身の奥さんと一緒にペンシルベニアの森の奥で3人の男の子を育てている。その甥っ子たちは長男が16歳、次男15歳、三男が14歳で現地の一般の学校に通っている。その彼らの学校の成績がとても優秀らしく、長男が先日学年1位になり、下の2人もかなり成績が良い。と言って甥っ子自慢をするつもりではなく、その理由を書きたい。

僕自身は3人兄弟で、弟2人は勉強は嫌いで僕も真面目で成

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真実の情報って?

真実の情報って?

少し前の話だけど、アメリカのアカデミー賞の授賞式で受賞した白人俳優の態度がアジア人差別だと騒がれてニュースになっていた。僕が最初にそのニュース記事をネットで見た時、見出しに「アジア人差別」とあって、次に実際の映像を見たので本当に差別しているように見えてしまった。でも、何も知らない状態で映像を見ていたら同じ見え方になっていただろうか?

気になったので、すぐに他のサイトを調べてみたら受賞式の後にその

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子どもにアートアニメを!

子どもにアートアニメを!

最近「アートアニメーション」と呼ばれる種類の作品を頻繁に視聴している。アートアニメとはディズニーやピクサー、日本のマンガ原作のアニメなどの商業的エンターテインメント作品とは違い、もっと作家性や芸術性の高い作品のことだ。

僕はエンターテインメント作品も大好きだけど、アートアニメにはそれとは違った独特の魅力があり、芸術的な価値や深いメッセージ性のある作品も多いので勉強を兼ねて積極的に見るようにしてい

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子どもに現代アートって分かるかな?

子どもに現代アートって分かるかな?

横浜トリエンナーレに行って久しぶりに現代アート作品を見てきた。普段は印象派とかクラシックな絵画の展示を見る事が多いけど、そればかりだと頭の中も「クラシック」になっちゃいそうなので、なるべく新しいものも見るようにしている。

会場に入って迎えるのは奇妙で一見訳の分からない作品ばかり。クラシックな作品は見た目がわかりやすく、「きれい」「幻想的」「しぶい」などの印象が頭にすぐ思い浮かぶけど、現代アートは

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ピカソvs子どもの絵

ピカソvs子どもの絵

画家のピカソは「子供のような絵」を描くことを目指したと言われています。そして晩年に「ようやく子どものような絵が描けるようになった」と語っていたそうです。
僕は以前にスペインのピカソ美術館を訪れ、彼の晩年の自画像を見たことがあります。

その絵は自由奔放な線と色使いで構成され、確かに子供が描いたような絵でした。でもぱっと見の好き嫌いで言うと、僕は普通の子どもの絵の方がワイルドで魅力的だなあ、と感じま

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