虹乃ノラン

主成分は猫。受賞作『銀盤のフラミンゴ』『ベイビーちゃん』が電子書籍にて発売中。ココア共…

虹乃ノラン

主成分は猫。受賞作『銀盤のフラミンゴ』『ベイビーちゃん』が電子書籍にて発売中。ココア共和国佳作、引きこもり文学賞入選、人生逆噴射文学賞審査員賞及び佳作、オルタニア文学賞審査員賞。名古屋市守山・志段味図書館で創作WSやったり、2025年なごや文学マルシェっぽいのやるかもな人。

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猫のしもべ、虹乃ノランの日々の活動支援に賛同していただける方を募集します。楓、暮、鈴の毎日の彩りと動物医療、そしてノランの生活に一輪の花を贈ってみませんか?

  • ノランの箱舟

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    初月無料

マガジン

  • 「あかりの燈るハロー」完結済み

    六年生になる茜は、五歳で母を亡くし吃音となった。思い出の早口言葉を歌い今日もひとり図書室へ向かう。特別な目で見られ、友達なんていない――吃音を母への愛の証と捉える茜は治療にも前向きになれないでいた。  ある日『ハローワールド』という件名のメールがパソコンに届く。差出人は朱里(あかり)。件名は謎のままだが二人はすぐに仲良くなった。話すことへの抵抗、思いを伝える怖さ――友だちとの付き合い方に悩みながらも、「もし、あたしが朱里だったら……」と少しずつ自分を見つめなおし、悩みながらも朱里に対する信頼を深めていく。 『ハローワールド』の謎、朱里にたずねるハローワールドはいつだって同じ。『そこはここよりもずっと離れた場所で、ものすごく近くにある場所。行きたくても行けない場所で、いつの間にかたどり着いてる場所』  そんな中、茜は父の部屋で一冊の絵本を見つける……。 (装画協力:ヤマウチタカノリ)

  • 「LoOp」完結済み

    《創作大賞2024》《恋愛小説部門》  高校卒業と同時に山梨から東京へ出てきた朔良と未依は共に暮らしていたが、堅実に働く未依に比べ、朔良は日銭を稼ぐように暮らしていた。将来の目標も定まらないままの暮らしに、未依は不満を覚えている。  ある日、朔良は雑貨屋LoOpで未依への誕生日プレゼントにメビウスのデザインを模した指輪を購入した。高額な品に未依は困惑したが、大切にしようとサイズ直しに店を訪れる。センスの良さに惹かれた未依が店をやりたいという朔良の夢を相談すると、オーナー波柴は起業セミナーへの参加を勧めた。(ミステリー小説部門) ◇目次 プロローグ 一章 サトザクラ(川瀬昇流) 二章 エドヒガン 三章 オオシマザクラ 四章 ソメイヨシノ

  • 名古屋市図書館イベント情報

  • 「ホテルエデン」連載中

    愛猫の「楓」を亡くし、泣き暮らす千里は暗闇のなか目覚めた。そこには黒髪の少女アケルと仮面の総支配人ケルビムがいた。そこはホテルエデンの東館。なぜそこにいるかもわからぬまま、ケルビムの頼みでアケルをオーナーの元へ届けるため本館を目指す……。(ホラー小説部門) ■目次 プロローグ 第一章「美しい変化」 第二章「大切な想い出」 第三章「遠慮」 第四章「調和」 虹の橋のたもと エピローグ

  • 「時間泥棒」連載中

    平和な僕らの町で、ある日、イエローバスが衝突するという事故が起こった。ライオン公園で撮った覚えのない五人の写真を見つけた千斗たちは、意味ありげに逃げる白猫を追いかけて商店街まで行くと、不思議な空間に迷いこんでしまう。 ■目次 第一章 動かない猫 第二章 ライオン公園のタイムカプセル 第三章 魚海町シーサイド商店街 第四章 黒野時計堂 第五章 短針マシュマロと消えた写真 第六章 スカーフェイスを折って 第七章 天川の行方不明事件 第八章 作戦開始!サイレンを挟み撃て! 第九章 『5…4…3…2…1…‼』 第十章 不法の器の代償 第十一章 ミチルのフラッシュ 第十二章 五人の写真

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note創作大賞2024に参加します。【作品タイトル一覧】

■はじめまして!はじめまして、の方もお世話になっておりますの方もこんにちは! 虹乃ノランと申します。自分のホームページもあるため、これまでnoteでの記事更新などを控えておりましたが、こちらにも少しずつ情報を掲載させていただきたいなと考えています。 ▢note創作大賞2024note創作大賞に参加してみることにしました! 部門(ジャンル)が限られているのでなかなか合致するものがないなあと思いつつも、まずは『幸せのコイン』を投稿。短めの長編になります。 ▢幸せのコイン 完結

    • 「あかりの燈るハロー」第三十一話(最終話)

      Extraordinary♭   ポロン♭   《  to the world... 》  ううん、今日も一番好きだよ!  でも明日はもっと好きになるの!  だから毎日が一番になるの!  明日は今日よりもっと好き!   (おわり) dedication   ――あなたへ。   《了》 ◀前話 一覧 #創作大賞2024 #ミステリー小説部門

      • 「あかりの燈るハロー」第三十話

        epilogue…[八月六日――]    『ハローワールド』  サウスシャインの森に住むマーモットの子ウッディーと、こぐまのマイニーモーはとても仲良し。  今日もふたりは泥だらけになりながら、森の中をかけまわります。  からだは小さいけれど、頭の回転がはやいウッディー。  おっとり屋だけれど、力持ちのマイニーモー。  かれらはおたがいを尊敬し、そして信頼しあっていました。  ある日ふたりが森で遊んでいると、森では見かけたことのない、人間の女の子が立っています。 「こんに

        • 「あかりの燈るハロー」第二十九話

          # to the world… (2)  明後日から夏休み! セミのフルコーラスをBGMにしながら夕ご飯を食べていると、お父さんがいった。 「お母さんの妹の、早苗おばさんに新しい赤ちゃんができてね、もうすぐ出産なので入院するんだ」 「さなっ…さなえ、えー…おばさん? って…えーととながっながの、長野……のっ?」 「そうだよ。茜をびっくりさせたいと思って、内緒にしてたんだけど、夏休みの間、五歳になる日夏茉ちゃんを預かることになったんだよ! お父さんずっと、会わせたかったんだ。

        • 固定された記事

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        • 「あかりの燈るハロー」完結済み
          31本
        • 「LoOp」完結済み
          7本
        • 名古屋市図書館イベント情報
          3本
        • 「ホテルエデン」連載中
          2本
        • 「時間泥棒」連載中
          12本
        • 「鳥かごのハイディ」連載中
          7本

        メンバーシップ

        • 「ベイビーちゃん」をメンバーシップに掲載しました

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        • 5月19日夜、「月は孤独に散歩する。」が朗読されます。

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        • 「王の城」を掲載しました。

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        メンバー特典記事

          「銀盤のフラミンゴ」ランディ版スペシャルエピローグ

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

           ディレクターズカット版のランディ側エピローグです。製品版とはボリュームが三倍、さらにランディの過去が一部明かされています。読了後にぜひ合わせてお読みください。     side epilogue*Randy~ special edition ~

          有料
          100〜
          割引あり

          「銀盤のフラミンゴ」ランディ版スペシャルエピローグ

          「ベイビーちゃん」

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

          紀州文芸振興協会 第一回Kino-Kuni文学賞 コエヌマカズユキ審査員賞受賞作品 ベイビーちゃん(全文)  アメリカのミズーリ州にある古ぼけた田舎町。のんびりと時間は流れ、単調でなんの変化もない、そんな僕たちの住むこの町が、一度だけアメリカ中の注目を浴びたことがある。それは、マリールーがファッションモデルの夢破れ、NYから生まれ故郷のこの町に帰ってきた翌年の夏のことだ。  僕たちは、町の外れにある大きな湖のある公園でいつも時間を潰していた。リアムは体がでかく、態度もでかい

          有料
          150〜
          割引あり

          「ベイビーちゃん」

          「王の城」

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

           あるところに大変古いお城がありました。最後はいつだれが王様であったのか、召し使いは何人いたのかわからないほどに古いお城でした。  そのお城を覆い隠すようにして、とても深い森がありました。木のような蔦のような渦巻きの風のような深淵の森がありました。森は深くはありましたが、命にあふれていました。光をうけて朝は輝き、夜は命の音が静かに響く、そんなような森でした。

          「王の城」

          「パーテルノステル」

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

           もこちゃんのいた部屋に入った新しい女の子は黒髪の綺麗な子だった。いかにも清楚で、生まれてこの方ヘアカラーさえしたことないんじゃないかっていう、瞳の大きいナチュラルなまつげの子。  肌がほんのり白くって、幼女みたいに頬がうっすらとピンクだった。そのくせ細い二の腕に不釣り合いなふっくらとした胸もとがなんだかアンバランスで、これは当たりだと思った反面、こんな子がどうしてこんないかがわしい物件に、と俺は心配になる。部屋に備えつきの赤いテカテカしたカラーボックスがいかにも似合わない。

          「パーテルノステル」

          「月は孤独に散歩する」

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

          月は孤独に散歩する。 「アタシは月です。  はじめまして。  いつもひとりでさんぽしています。  もしよかったら、アタシとおともだちになってください。」  こんなハガキがある日ぼくのもとに届いた……。      ☽  ぼくは三年前に会社を辞めて、カレー屋のフランチャイズを目指して、銀行に借金して店を建てた。  コンビニでもラーメン屋でもよかったけれど、アフターフォローがしっかりしているという噂の、地方ではあるが売り上げの高いカレーチェーン店を選んだ。  トレーニングを

          「月は孤独に散歩する」

          「鱗粉」人生逆噴射文学賞 佳作

          「ノランの箱舟」に参加すると最後まで読めます

           夜の蝶だなんてよく言った。  所詮蛾だ。よくて蛾だ。派手な蛾だ。 「会話が巧いね」なんていうセリフ。銀座ホステスが指南本を出す。一流の心理学者かとでもいうような。蝶はきれいで、蛾は汚い。同じ羽があって、ぱたぱた飛ぶのに、なんで汚いんだろうなあ?  店は、だいたい汚い。でも照明と酒でそんなの全然わかりはしない。フロアなんて、舐めれたもんじゃない。煙草の煙っていうか、もう粉が、焼きついた喉にひっついて咽ぶ。苦しそうにすると、いやらしい客は悦ぶ。そんな顔をさせてみたいねと。死んで

          有料
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          割引あり

          「鱗粉」人生逆噴射文学賞 佳作

        記事

          「あかりの燈るハロー」第二十八話

          第十四章# to the world… (1) [終業式前日――] 「おーし! みんな、こないだの国語の小テスト返すぞー。後で何人かに六年生としての心構えについて発表してもらうからな。水嶋、これ、黒板に書いてくれるか? 夏休みに入ったら、最初の登校日にペア活動の一環としてファシリテーションをやります。ヘリウムリングっていうフラフープのようなものをだな、みんなで人差し指で持ち上げるんだが、せっかくだから先にこういうのをやってもらった」 「わかりました」  かなえが席を立ち、

          「あかりの燈るハロー」第二十八話

          「あかりの燈るハロー」第二十七話

          アカネ・ゴー・ラウンド(2)  お母さんは自転車の後ろにあたしを乗せて、軽快にペダルを漕ぎ、魔法の呪文を口ずさむ。 「♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド?」 「♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド?」  繰り返し愉しげに唄う自転車は、お母さんとあたしを乗せて夕暮れの街の中を進む。 「ハウマッチ♪ ウッドチャック♪ ウッドチャック♪ ウッドチャック♪」  あたしもリズムに合わせて、魔法

          「あかりの燈るハロー」第二十七話

          「あかりの燈るハロー」第二十六話

          第十三章アカネ・ゴー・ラウンド (1)  お母さんとの思い出がぐるぐると廻る。にぎやかなデパートの人混みに、夏に向けて心おどるような店内の音楽が戻ってくる。  どうしてひとりで天国へ行ってしまったんだろう? あたしはこんなにもお母さんのことを必要としてるのに、どうしてそばにいてくれないの?  お母さんを思い出すときは、いつだって思い出の中でだけ。いつだって思い返すことができる気がするのに、お母さんの指でつねられたほっぺたの感覚は、思い出せない。お母さんの笑顔をよく覚えている

          「あかりの燈るハロー」第二十六話

          「あかりの燈るハロー」第二十五話

          お父さんの恋人 (2)  時刻は多分六時過ぎくらい。一刻もはやく家から出ないと、お父さんが仕事から帰ってきてしまうと思ったからだ。行くあてなんてないけど、今はお父さんの顔なんて見たくない。あたしはとりあえず、自宅や役所を避けて国道沿いの道を歩き続けた。  赤く染まり始める空を見ながら、まとわりつく湿った暑さと、いつまでたっても鳴きやまないセミの声にあたしは苛立っている。本当は、そんなことが理由じゃないけど、そんな理由でもつけない限り、あたしは不安で押しつぶされそうだった。

          「あかりの燈るハロー」第二十五話

          「あかりの燈るハロー」第二十三話

          あたしがやりました。 (2)  先生のお説教が延々と続く。古賀くんも大和もまるで上の空。ぼーっと天井をながめては、「おい! お前ら聞いているのか⁉」なんて、先生の喝が飛んでくる。  かなえは先生が口を開くたびに食ってかかり、正当性を主張するものだから、安西先生のお説教は蛇行運転する車みたいに、ぐねぐねと話がそれてばかりだった。頭の回転が早いかなえに口げんかで勝てる子なんていない。かなえの猛口撃に、安西先生はたじたじ。だから先生の怒りに反して、わたし緊張はゆるみっぱなしだった

          「あかりの燈るハロー」第二十三話

          「あかりの燈るハロー」第二十四話

          第十二章お父さんの恋人 (1)  がらんとする家の中に入る。お母さんの笑顔にただいまのキスをし、自分の部屋にあがる。今日はいろんなことが起こりすぎて、とても半日とは思えないほどみんなであれこれやっていた気分だ。  実際に先生にお説教を受けてたから半日じゃないけど……。小学校生活の中で、たった半日で二回も職員室に呼び出されたのも初だ。  お父さんが聞いたらなんていうかな?  部屋に入ってパソコンを開くと、メールが一件届いていた。朝学校に出かける前に朱里に送ったメールの返信だ

          「あかりの燈るハロー」第二十四話

          「あかりの燈るハロー」第二十二話

          第十一章あたしがやりました。 (1)  Re.ハローワールド 『朱里、おはよう!  今日から短縮授業。はやく帰ってこれるよ!  そして今日からは、あたし思いっきり失敗するつもり!  帰ってきて元気がなかったら、またはげましてね!』  朝のメールを送るとパソコンを閉じ、手さげかばんを持ってリビングにおりる。お父さんは、今日もフライパン片手にトーストを焼く。わたわたしているのもいつもと同じ。 「おはよ、おう、お…お父さん!」 「おはよう、茜。朱里ちゃんへのメールはすんだのかい

          「あかりの燈るハロー」第二十二話

          「あかりの燈るハロー」第二十一話

          第十章未来永劫チクワ  ありがとう朱里!  あたしはもう失敗することをおそれないよ。  メールを送りパソコンを閉じようとすると、帰宅を告げるお父さんの声が玄関から聞こえた。 「ただいまー、茜ぇーいるかい? お父さん今日は疲れたよぉ」  あたしは立ちあがり、部屋を出て階段をかけおりる。 「お! おおお、お父さん! おかえりなさい!」 「おや? 茜、今日はとても元気だね。さては学校でなにかいいことあったな?」  勢いよく飛び出してきたあたしを見て、お父さんはネクタイを外しなが

          「あかりの燈るハロー」第二十一話

          「月は孤独に散歩する。」を朗読していただきました。

          【5月19日(日)19:30から】  Xのスペース機能を用いた朗読をしておられる、朗読遊戯カタリネコさんに「月は孤独に散歩する。」を朗読していただきました。  アーカイブがひと月ほど視聴可能なので、よろしければ本編とともにお聞きください!  よろしくおねがいします。 ▢本編 「月は孤独に散歩する。」note ▢#カタネコ  ➤アーカイブ

          「月は孤独に散歩する。」を朗読していただきました。

          志段味図書館ワークショップ無事終了!

           図らずも、文フリ東京と重なってしまった今回の創作ワークショップでしたが、遠方から参加の方を何名も迎え無事に終了することができました。  今回も、下は中学生!、上は永遠の中学生!という半世紀ほどにも幅のある顔ぶれで開催できました小説関連創作イベント。4月のはじめから椎間板ヘルニア疑いによる左下肢の坐骨神経痛により歩行困難、座位不可能という状態で挑んだ虹乃でしたがなんとかやりとげました! これもひとえにみなさまのあたたかい前向きな気持ちと応援のおかげです、まずはそのことに最大

          志段味図書館ワークショップ無事終了!

          「あかりの燈るハロー」第二十話

          ハウマッチ 木、木、木……。 (2)  ポロン♭ 『おかえり、茜!  友だちのことで悩んでいるの?  あたしが思うに、友だちってきっと鏡のようなものだと思うわ。』  五分がやけに長く感じた。待っていた時間に比例して、期待が高まってたのかもしれない。メールの文面がそっけなく感じられてすごくさみしい気持ちになる。  だけど鏡ってどういう意味だろう。同じ姿が映るってこと?  それとも逆の姿が映るってこと?  Re.ハローワールド 『鏡? なんでそう思うの?』  ポロン♭

          「あかりの燈るハロー」第二十話

          「あかりの燈るハロー」第十九話

          第九章 ハウマッチ 木、木、木……。 (1)  昼休みをひとり図書室で過ごす。いくら本を開いても、内容なんて頭に入ってこない。目に飛びこんでくる文字の羅列が、頭の中をむなしく走りまわるだけ。  楽しくもなければ面白くもおかしくもない。本棚に本を戻すと、なにをするでもなく、ただ椅子に座り続けていた。  ハハ、ハウマ…ッチウッドウッド、ウ…ウッダダ、ウッドチャクク…チャクチャックイフ、フフ…ファウッドチャ…ッククッドチャックウッドウッド……  お母さんに教えてもらった早口

          「あかりの燈るハロー」第十九話