色眼鏡
妊娠するとやたらに妊婦さんが目に入り、子供が産まれると赤ちゃんを抱いた人やベビーカーが目に入るようになった。
そして出産し子育てがひと段落しても、妊婦さんや赤ちゃんを連れた人に気づくことは変わらない。
それは妊娠や子連れの大変さを経験したからだと思う。
優先席が寝ている人やスマホを見る人だらけだと気がついたのは、自分がヘルプマークを身につけるようになってから。
それまでは優先席近くに行くこともそこに座る人を意識することもなかったと思う。
退院後、ヘルプマークをつけて外出し、嫌な言葉を投げかけられたりして障害者という色眼鏡で見られていることを感じる。
けれど思う。
もしかして自分が障害者という立場になって色眼鏡を外しただけかもしれない。
もちろん眼鏡の色の濃淡はあると思う。
差別意識の高い人はものすごく濃い色の眼鏡をかけているのかもしれない。
でも、自分も意識していなかったという時点で、何がしかの色の眼鏡をかけていた気がする。
経験することで、妊婦さんや子連れの人、障害者の気持ちがわかるようになり、自分が無意識にかけていた色眼鏡が外れて視界がクリアになったのかもしれない。
ここまで考えて怖いなと思った。
今、自分は気がついていないどんな色の眼鏡をかけているのだろうか?
世の中に自分の知らない色眼鏡がどれだけあるのだろうか?
高次脳機能障害の知識がなければ、高次脳機能障害に対する色眼鏡には気がつけない。
気づいた上で外すかどうかは別問題としても。
だから世の中にどんな色眼鏡があるのか、まず知識を得たいと思う。
そういうアンテナを常に張っておきたいと思う。
そして経験しなくても色眼鏡をかけていることに気づけたら、ちゃんと外せる柔軟な人間でありたいと思う。