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【第502回】海賊版対策の成果報告!これまでとこれからの取り組み(2022/08/03)【#山田太郎のさんちゃんねる】文字起こし風要約

出演者:

  • 山田 太郎 参議院議員・全国比例 公式サイト Twitter

  • 中島 博之(ゆうきまひろ) 弁護士・漫画原作者 Twitter

  • 小山 紘一 山田太郎さんの政策担当秘書・弁護士 Twitter

  • 萌生めぐみ めぐみ アシスタント・イラストレーター Twitter

今回のさんちゃんねるについて

めぐめぐ:
 みなさんこんばんは山田太郎のさんちゃんねるの時間です。この番組は、表現の自由をめぐる問題をはじめとして、さまざまな政治的な話題について、一緒に考えていこうという目的でお送りしております。

 本日は中島弁護士をゲストとしてお迎えし、海賊版対策の特集です、本日もよろしくお願いします。またハッシュタグ「#山田太郎のさんちゃんねる」を付けて感想等のツイートもよろしくお願いします。

山田さん:
 今日は海賊版対策ということで、何が問題でどういう対策をしてきて、どんな成果が出たのかということをまとめて、今日はもうフロントに立って現場でバリバリやっていただいている中山弁護士にも来ていただきました。
 ではまずニュースから。

ニュース 長時間SNS、動画視聴で学力低下?

山田さん:
 これは昨日の自民党の文科部会で、この調査内容の発表が実はありまして、自民党議員4・5名から総ツッコミをされたということです。

 この記事によると、文科省の担当者は「家庭でのスマホの適切な使い方についてルール作りが必要でなはないか」ということで、いつものごとくゲームとスマホ悪者説ということを展開していたようですけども、スマホとはうまく付き合っていかなきゃいけないのであって、当然勉強だってネットやスマホを使う、ゲームにもいろいろなものがあるということで、これでは因果関係もよくわからない。

 勉強がつまらないからゲームしていたんじゃないかとか、もう勉強とか学校の今の教え方の方が問題なんじゃないかと。

 相変わらずステレオタイプでもって、昔はマンガばかり読んでるとか、テレビばかり見てるとか、それが最近はスマホやゲームばかりしてると、そういうことを言い続けたってダメでしょうと、デジタル人材も足りないのだから、うまくそういうものを活用した方いいでしょ。

 そういうことも含めて総合的にも考えていかないと、今までのステレオタイプのような議論ではということで、文科省総ツッコミになりました。

小山さん:
 最も問題なのはゲームをしたから成績が悪かったのか、ではゲームをやめさせて、ゲーム時間を短くすれば成績が上がるんですかというところ。

 この辺は文科省は答えられませんということで、ゲーム時間が長かったから成績が悪かったということは、文科省としても言えないという回答でした。

 例えば中島先生は今回海賊版対策で来てもらっていますが、実はガチゲーマー、ワールドランカーにもなっているガチゲーマーなので。

中島さん:
 昔はXbox360のゲームのソフトで100万人級で3位をとっていたりもしましたが、今は弁護士になっておりますので、私は(ゲーム時間と学力の)因果関係はないと思っております。

小山さん:
 ゲームをやめたら成績が上がるのとは言えないはずなのに、とりあえずゲームをやめさせたい勢というのがやはりいるので、山田さんと赤松さんとでゲーム障害の勉強会をやっていますけれども、ゲームの問題は厚労省がやる病気みたいな話なのか、文科省がやる青少年の健全育成の問題なのか、消費者被害の問題なのか。

 文科省が今回やったのは病気かどうかというのは全く関係なく、ゲームをすると成績が下がるとか、場合によっては非行に走るとか、不登校になるのではないかという、よくわからない仮説による調査だと思っていまして、何のためにやっているのかいまいちわからない。

ニュース Googleなど海外IT13社、日本で法人登記申請

山田さん:
 これも実は私が自民党の知財調査会で提言した内容であり、私自身が前回の選挙で公約の1つとして、やはり海外のプラットフォーマーのしっかりとした規律を求めると、治外法権で何でもありというのはおかしいよねと。

 例えば後で海賊版の話も出てくるし、誹謗中傷の問題なんかもそうなんだけれども、実はこれまで消費税を外国企業はネットの出版物に対しては払っていなかったという問題から、いろいろ何でこんなに海外に対して我々は弱いんだと。

 デジタルにおいて我が国は主権がないじゃないかと、ずっと訴えてきて、やっとここまで来たというところでありまして、なかなか動かなかった法務省が本腰を入れ始めたというのは、非常に感慨深げだと思っております。

中島さん:
 これまでは住所・氏名等を外国企業から開示してもらうには、まず訴訟を起こさないといけない。その訴状の送達までに約半年かかってしまうとか、非常に裁判開始まで時間がかかるところが、国内の登記がされると、国内に送ればいいということなので、裁判開始まで相当迅速に、期間が短縮されることが見込まれると思います。

小山さん:
 ただこの100万円以下の過料というのはGAFAにとっては、別に刑事罰でもないですし、払って終わりだったら払いますというスタンスの会社もあったし、それにも応じない会社が何社があったということなので、性善説に立つのもちょっと限界がある。

 実際に法務省がこれまで動いてこなかったというのもおかしいと、何で2005年の会社法改正後ずっとやってこなかったんだということを問題視してもいいくらい、動かなかった問題だとも思っていますので、本当に大変でしたけれども、今は動いていただいているので、成り行きを見守りたいと思っております。

ニュース 漫画村に19億円の損害賠償請求、出版社が民事訴訟

中島さん:
 被害額3,000億円とも言われていましたサイトですから、これだけの損害賠償請求をするというのは、妥当なことなのかなと思いますし、今後の抑止力にも期待したい事例だと思います。

小山さん:
 こういうことをやるのは、被害の回復は当然狙いとしてはあると思うんですけれども、将来の損害の防止という観点から非常に大事だと思っていまして、損害を与えた側としては、ちょっとした軽い気持ちなのかもしれませんけれども、法律上これぐらいの損害額の算定ができてしまうということを、皆さんちょっと重く受けとめていただきたい、こういった事件を通じて、決して海賊版の運営とかに携わったりしないようにしていただければと思います。

ニュース CODA、海賊版サイトについて報告会

山田さん:
 CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)さんの報告会というのは毎年やっているんですけれども、毎回大変有意義というか、これをしっかりやることによって、我々政治家成も努力して海賊版対策の強化をこれまで進めてきたということで、今回も主要メンバーによる報告会がありました。

 やはりコンテンツがどんどんデジタルに移ってきて、海賊版対策をやっていかないとコンテンツ業界が成り立たない時代に入ってきた。本物よりも大量に出ちゃったりしますので、これまでと違ってコンテンツを根こそぎ殺してしまうような状況下になってきたので、考え方を変えていかないと対応できないんだろうな、という時代に入ってきたというのはすごく感じます。

小山さん:
 これは山田さんが知財事務調査会の小委員会事務局長を務めた、2021年から始まったもので、山田さんが予算取りにも関わったので、予算をとるからにはちゃんと報告をするという意味合いも含めてやっているのと、去年も今年もファスト映画の摘発などに相当御尽力された中島先生などもスピーカーとして来ていただいています。

 やはり予算をとってやっている事業が、何も報告がありませんというのは、それはそれでちょっと問題があるかもしれませんし、しっかりと皆さんに海賊版はこんなに被害があって、その被害の回復・防止のためにこんなことをやっていますというのが、国会の参議院会館で2年連続行われていまして、山田さんが小委員会でずっと言ってきた国際執行の強化というところに相当力を入れてもらっています。

 漫画村みたいに、とにかく何でもサイトに載せちゃうみたいな話になってきたら、1社で対応するというのも限界がありますし、被害が拡大する一方なので、法的な裏づけを持ったCODAのようなところで、しっかりと連携をとってもらって国際執行を進めましょうと、知財調査会の提言などに盛り込んだのが、こういう形で今動き出しているというのは、非常にいい傾向で、成果としても誇らしいものかなと思っています。

山田さん:
 マンガ・アニメ・ゲームが大切だと、コンテンツ大国としてやっていくのであれば、その背景にある知財、あるいは著作権は保護されて大事にされなければ成り立たないんですよ。

 だから海賊版を放置してどうでもいいということであれば、マンガ・アニメ・ゲームをはじめとしたコンテンツは死んでしまいますので、まさにこれ自身が表現そのものの根幹のところを守る活動なのであるということです。

 逆に言うと二次創作だとかパロディーの問題があるから、一見するとぶつかる、多少お目こぼししたって良いだろみたいな、海賊版を少し流し見して買うかどうか考えられる、そういう気持ちを持っている人はすごく多いと思うんですけれども、ただ本当にコンテンツを大事にしようと思うのであれば、ここをしっかり退治しておかないと、本当に無くなっちゃうんですよ。

 例えば漫画なんかも、最近は紙よりもデジタルで出てくる、赤松さんがよく言うんだけれども、新人作家なんかはデジタルでしか出せないから、そこで海賊版が出てくると、結局その芽を潰してしまうという事態になってきているんだということを、皆さんにも認識してもらいながら、我々も対策をしていきたいと思っています。

中島さん:
 山田さんの提言にあるように、官民連携した取り締まりっていうのが非常に求められています。警察に丸投げしても日本国内だけの問題ではありませんので、国際的な戦略が求められておりまして、ファスト映画の摘発なんかはおそらく初めて、日本の裁判所で米国のサピーナ(侵害者情報開示命令)が刑事裁判の証拠になって、有罪認定された事例だと思います。

 こういった事例を重ねて、コンテンツをコピーしてお金を儲けるやつは許さんということで、抑止力にしていくことが、日本のコンテンツを守るということだと思いますし、またそれを国外に向けても発信して、海外からそういう損害があったとしても、ちゃんと突き止めて追い詰めますよということで、もっと日本のコンテンツを守るということをに官民連携してできればと思います。

特集 海賊版対策の成果報告!これまでとこれからの取り組み

山田さん:
 いろいろ具体的なニュースで何をやっているかということは紹介してきたんですが、全体の海賊版の規模であったり、それを退治していくためにどんなことをして、どんな効果を出したのかということをまとめていきたいと思っています。

小山さん:
 これはちょっと最新のデータではないんですけれども、出版広報センターのホームページにも出ております、漫画村全盛期あたりの調査です。平成25年で古いですけれども、1兆円を超すという試算もありますし、漫画村単体で3,200億円くらいはあるのではないかという試算がでています。

 はるか夢の址も731億円ということで、海賊版の被害というのは算定が難しいんですけれども、著作権法上の推定規定を使えば、これぐらいの額になって裁判上認められる可能性は十分にある額です。

山田さん:
 これはね、ちょっと大げさに言ってるんじゃないのと、ちょっとくらいコピーしてもいいんじゃないのとか、そういう人もいると思うんですけど、どうですか。

中島さん:
 著作権法の推定規定では結局再生回数だったり、ダウンロード回数をもとに例えば×200円とか、そういった算定額になると、数億円数十億円という規模の賠償請求が来る可能性がありますので、本当に重いことなんだと受けとめて、ちょっとぐらい自分だけだったらバレないというような気持ちは持たないでいただきたいなと思います。

山田さん:
 これは犯罪だということと、これだけのお金がコンテンツ業界にきちっと産業界に収入として入ってくれば、もっと日本のコンテンツ文化も潤っていくし、すごく豊かになっていくと思うんですね。

 そういう意味でしっかり海賊版をなくして、そして海賊版をなくすというのは、やはり見る側も責任があるわけだから、そこの意識も変えていかないといけない、泥棒なんだよとこれは。

小山さん:
 かつては、使い勝手がいいのが海賊版しかないみたいな話だったんですけれども、ここ数年各出版社などがかなり努力をされて、(正規版)マンガのアプリが相当発展してきていますので、サブスクモデルもありますし、買い切りもありますけれども、広告モデルもあって、無料で見れるマンガというのも増えてきていますので、それを使って見るように。

 使い勝手がいいから海賊版みたいな話になっちゃうと、広告収入も入らなくて、せっかく無料で正規版が見られる取り組みをしてくださっているのに、出版社の方々の努力が水の泡になっちゃうというか、収益化が難しいので無料でマンガアプリで見せるのやめますみたいな話になっちゃうので、海賊版で誰が得をして、最終的にどう自分たちに損害が及ぶのかというのを、ちょっと深刻に考えて、無料で見れるマンガアプリ、正規版でいっぱいありますので、海賊版に行く前に皆さん、そっちを探す努力をしていただければと思っております。

小山さん:
 ファスト映画の被害、こちらはCODAの調べで、かなり早目に対策をしたんですけれども、その段階でも55のアカウント(YouTube等)、投稿されていた映画は2,100を超えて、総再生回数4億7,700万回以上、これは推定規定を使うと956億円相当ぐらいの被害が出ていると。

山田さん:
 海賊版被害をグラフで見ますと、2020年4月ぐらいからずっと伸びてきていまして、これはやはり新型コロナの影響、巣ごもり需要で、家でネットでいろんなものを見るという中で、海賊版を見ていたというのも多かったのではないかと。

 ただ最後のところの山を見てほしいんですけれども、漫画村や漫画BANKの閉鎖とか、いろいろなサイトへ対策が打たれて、海賊版対策の効果が出てきたのではないかと。

中島さん:
 巣ごもり需要ということで、インターネットのアクセスが増えて、一時期4億アクセスと、漫画村最盛期の4倍ももひどい状況になりました。

 ただ出版社連合と顧問弁護団でいろいろと、水面下で活動してその成果もあって、海賊版サイトが閉鎖されたり、運営者が摘発されたりして、今はだいぶマシになったんですが、それでもまだ2億アクセスありますし、まだまだ予断を許さず、引き続き海賊版対策をしていかないと、また被害が拡大してしまうおそれもありますので、引き続き気を引き締めてやっていこうと思っています。

海賊版対策の実績

山田さん:
 ということでどんなことをやってきて、どこに効果があったのかという施策と、その実績を見ていきたいと思います。

山田さん:
 1つは2020年の著作権法改正、これは私が2019年に自民党に移ってきたときに、例のスクショ・ダウンロード違法化というのが大騒ぎになりまして、赤松さんと一緒にひっくり返して止めたのはいいんですけど、では海賊版対策をどうするんだということで、責任を持って1年かけて著作権法の改正をしっかりやりました。

山田さん:
 もう何度も紹介しましたけど、坂井さんが作ったと言われている十段階段、最大限表現の自由に配慮しつつも、明らかに海賊版というものに関しては違法として取り締まる、侵害コンテンツのダウンロード違法化。

 次にこれも公約していた発信者情報開示制度の見直し。これは海賊版対策と誹謗中傷対策の施策になったんだけれども、もともと誹謗中傷問題以前から、海賊版サイトの運営者特定のためとして、発信者情報開示制度の見直しがスタートしています。

 省令改正で開示情報の中に電話番号を入れるということと、裁判も二重になっていた、プロバイダーにIPアドレスをもらって、それから氏名だ住所という二段階になっていたのを、1回で済むようにプロバイダー責任制限法の改正をやったということで、実行力を持つような施策の見直しをやりました。

中島さん:
 特にリーチサイト規制が導入されて以降、おそらく国内で運営されている漫画のリーチサイトはなくなりましたし、電話番号を含めた発信者情報開示は、日本のコンテンツが侵害されているのに、外国手続しか使えないもどかしさがありましたが、例えば本人確認で電話番号が使われている外国会社のサービスに対して、電話番号が開示されて国内で手続できるようになったのは、すごく権利者側としては心強いものになったのではないかと思います。

山田さん:
 もう1つは外国会社の登記の徹底ということで、デジタルにおいて日本は主権がないんじゃないかというような、GAFA等のプラットフォーマー等への裁判手続でも、海外送達で時間がかかっているといった問題、外国企業も登記されていれば、国内送達ができて裁判がしやすくなる、これがやっと最近、法務省等を含めて動き出した。

 最近だとBAN(アカウント停止)されちゃう問題とかも、何でBANされたのか聞いても何も答えてくれないとか、プラットフォーマーというのは幅広く、カード会社なんかにも適用していけば、何で切られちゃったのかとか、今何が問題かというと、表現の自由を守っていこうと思っても、海外のデジタルが絡んでいると、もう全く手が出せないといった問題。

山田さん:
 これの元になったのが、2020年1月ですから、2019年7月にバッジをつけて1月には提言書をまとめて、これは萩生田当時文科大臣とか、いろいろなところへ持っていきました。

 著作権や海賊版サイト・リーチサイトの問題や国際振興やサイバー警察局につながるような議論をしたりとか、研究目的に関するものについては逆にもうちょっと権利の制限規定を少し幅広く見た方がいいんじゃないかとか、いろいろな話を盛り込みました。

小山さん:
 このリンクの提供行為というのは、これまでは基本的には著作権の侵害にはなりませんでした。

 すずらん写真のリツイート事件みたいに、リンク提供行為も著作者人格権の侵害にはなるという最高裁判例が出てきちゃったので微妙なところではあるんですけれども、リンクの提供だけだったら、著作権法に触れないということでしたが、海賊版サイトに繋がるようなリンクを貼りまくっている人に罰則がないのはさすがに問題でしょうと。

小山さん:
 これは何度も言いますが、本当に純粋な海賊版みたいなものをダウンロードしなければ、基本的に該当しないという規定にしました。あくまで海賊版対策のための著作権法改正だということです。

小山さん:
 これは山田さんが小委員会で2020年5月13日に出している、発信者情報開示の問題点(海賊版対策に関して)というところで、総務省に対して電話番号を追加してください(一番上の黄色のところ)と、ここから半年以内に電話番号が追加されています。

中島さん:
 これまで氏名、住所、メールアドレス等しか開示できなかったんですが、メールアドレスだと例えばフリーメール、氏名住所に関しては本人確認がないと嘘の住所が出てきて、結局侵害者を特定できないということが多々ありました。

 ただ電話番号は今、いろいろなサイトで本人確認の手段として使われていて、そこに送られてきたコードを入力しないとそのサービス使えませんみたいなこともありますから、唯一本人確認された侵害者にたどり着ける情報が電話番号ということも少なくありませんので、そういう意味ではすごく大きい。

小山さん:
 それ以外にも2番目の黄色の真ん中ぐらい、損害賠償や差し止め請求の前提ですと、発信者情報開示はそれで完結する制度ではないので、もっと仮処分や訴訟の迅速化・簡素化をお願いしますということで、新しい手続をつくりましょうと。

 3番目は海外のプロバイダーが非協力的な場合に日本法の実効性がない。プロバイダーが海外事業者の場合に、この法律に我々は適用されませんと言ってくる事業者もいますし、いや日本の裁判を起こされても我々には管轄が及ばないはずですと言って、裁判にそもそも出てこないとか、そういう例がある。

 だったら日本においてサービスを提供する海外のプロバイダーについて、外国会社の登記の徹底をさせることによって、そんな言い訳ができないようにしましょうということで、ようやく去年の年末から動き始めたというところです。

山田さん:
 これは保守派の人たちはもっと怒っていいと思うんですよね。だって日本の主権を侵害されてるようなもんじゃない、治外法権かと、このデジタル時代に。

小山さん:
 ただ山田事業所も1事務所だけで全部やるのは無理なので、いろいろな人から話を聞いて、例えば知財調査会の小委員会を開いてヒアリングして、自分たちで勉強して官僚も呼んで結構大変だったんですけど、漏れもないように一応やってきたつもりなんですけれども、最近そうでもない拙速な議論というところをやられちゃうケースもあるので、我々としてはあまり関係者からちゃんと話も聞かないで、法律をつくって大変な目に遭うのはやめようということで、最近痛感していますけど、中島先生初め、御協力いただいた方々に改めて感謝と、その結果がこれです。

小山さん:
 NHKの報道で登記義務を守らない外国会社7社、義務違反で地裁に通知と、法務省が登記を行わない外国会社に対して過料を課すべきだとして、裁判所に通知するのは初めてで、今まで何をやっていたんだという話でもあるんですけど、ようやく動きました。

 国内登記をしていない外国会社に対しては、それを外国語に翻訳して海外に送達しますので、6ヶ月くらいから下手をすると1年ぐらいかかるケースもあるということで、裁判を起こすにも本当に時間かかりますし、手間もかかり過ぎる。

 米グーグルや米マイクロソフトが、法務省の再三の要請に応じる形で、ようやく登記を済ませたという感じです。

山田さん:
 知財調査会って別に海賊版対策ばっかりやっていたわけじゃなくて、いろいろなコンテンツが流通して、つくった人のところにきちっとお金が行くようにしようじゃないか、そういったものを整備するプラットフォームをつくろうじゃないかという議論を実はしていました。

山田さん:
 コンテンツの利活用としてはデジタル著作権というような、著作権法の考え方を変えていかないと、もう成り立たないよねということで、それらの議論をスタートさせました。

 まだ全然中身についてはこれからなんですけれども、権利者の権利データベースというのをつくっていかないと、誰のだかわからない、でもどうしても使いたいので海賊版を使ってしまうということにもなってしまうので、権利がとにかく複雑だということで、どうやってそれをうまく処理するか。

 逆にJASRAC問題のようなことが起こってもいけない、分配だったりだとかで、不透明性があってはいけないということで、その辺も議論しています。

 あとは図書館のデジタル化、絶版に関してはもうちょっと利活用できるようにするとか、あるいはアーカイブというか、過去の知財をきちっと管理して、それをまた使えるようにするとか、結構幅広く、海賊版対策だけじゃなくて、やはり一番重要なのは、せっかく誰かがつくったコンテンツが利活用されて、ちゃんと権利者にもお金が回るような仕組みをつくらなきゃいけないよねということを実はかなり言っています。

小山さん:
 2022年は山田さんは政府の方にいましたので、直接何か動かしたということはないんですけれども、事務局長などと相談して、やはり海賊版対策が非常に重要だというアドバイスなどをしていました。

海賊版対策の成果

山田さん:
 海賊版対策の成果(官民連携)ということで、ファスト映画に対する刑事訴訟・民事訴訟というのが行われ、漫画BANKの閉鎖・摘発、そしてリーチサイトの摘発。

中島さん:
 漫画BANKは漫画村以降3年ぶりの摘発で、なおかつ日本向けの漫画サイトの国外摘発は史上初なんです。

山田さん:
 漫画BANKは中国が動いたんだけれども、中国というとやりたい放題で著作権もへったくれもないみたいな、権利意識なんか全然ないというような部分もあったと思いますけれども、このあたりはどうなんですか。

中島さん:
 日本の漫画も翻訳されて、中国ではビジネスとして販売されていたりしていますので、昔と比べると実は著作権は守ろうという意識の高まりもありまして、そういった背景があってCODAの北京事務所も開設しておりますので、現地での働きかけが大きかったのかなと思います。

小山さん:
 CODAはずっとインターネット上の海賊版ではなく、違法DVDの時代からずっとやっていたので、実はCODAと中国は結構太いパイプがありそうな認識なんですけれども、どちらかというと今はベトナムの方が問題で、CODAがベトナムへの対処は難しいというので、それこそ政治的なアプローチが必要で、いろいろな関係者が動いて対策中ですので、成果として挙げられる日が1日でも早く来るように、引き続きやりたいと思っております。

 海賊版対策は法の改正が行われて、その法に基づいて今次々とその執行が行われているという段階ですけれども、まだまだ0にはなっていませんので、日本のコンテンツに手を出したらまずいんだなという世界共通の認識ができるぐらいまで持っていく必要があるのかなと個人的には思っています。

ファスト映画

中島さん:
 この方たちは組織的に著作権侵害をしていて、しかも権利侵害申告をしてきた映画会社は選ばず、わざと何も言って来なさそうな映画作品を選んで投稿していたという事情もありますので、各社、CODAと連携して、ここまで出来たことはすごく大きな意義があると思います。

 執行猶予にはなっていますが、さらに映画文化を破壊するような行為をしたら、次は重い罪になるかもしれませんよということも判決文に書いていただいたというのは、すごくありがたいことだと思いました。

山田さん:
 これは単にちょろっとコピーしたんじゃなくて、組織的に儲けようとしたんだから泥棒ですよね。それで被害額の話はよく出るんだけれども、一方でこの人たちはどれぐらい儲けてたんですか。

中島さん:
 半年でだいたい少なくても700万円です。

小山さん:
 ただ難しいのは、この人たちが儲けている額以上に、YouTube(Google)側も儲けているはずなんです。YouTube側の利益も加味すると、被害はもっと大きいはずで、この辺どう考えるのかちょっと難しいところですが、この3人に入ったお金以上に被害があるはずなんですね。

小山さん:
 さっきのは刑事責任、こちらは民事損害賠償について今訴訟提起中ですけれども、損害賠償額20億円の中から5億円を請求ということです。

中島さん:
 著作権侵害は刑事事件でも1,000万以下の罰金、あるいは10年以下の懲役と非常に重いものですけど、民事的にもすごく重くて、こういう損害賠償請求をされる可能性があるということを認識して、インターネットで誰でも投稿できる時代になりましたので、投稿前によく考えていただきたいと思うような事件ですね。

山田さん:
 ちょっと話題になりましたのは、ナレーターをしただけなのに、そのナレーターにも責任があるということで、問われた方の話。

中島さん:
 この方も周りの人がやっているから大丈夫だと思ったとか、主犯格の人から弁護士に聞いたけど違法じゃないと言われて、そのまま信じて加担してしまったとおっしゃっているんですけど、自分の行為が違法かどうかというのは、自分が責任を持ってしっかり判断していただかないと、こういう1,000万円以上の損害賠償請求されたりとか、非常に重い結果になります。

小山さん:
 自分の手元に入ったお金と相手に与えた損害は、イコールにはならないことが多い。手元に入ったのが10万円でも、賠償金が1,000万円以上になったりする。加害者サイドに立てば10万円しかもらってないという話なんですが、被害者サイドに立てば損害額は大きくなります。

ゆうきまひろ(中島博之弁護士)単行本第1~3巻発売中!

中島さん:
 私が原作を務めている漫画で『弁護士亜蘭陸法は漫画家になりたい』毎週金曜日マンガワンというマンガアプリにて週刊連載しております。こちらの作品については、著作権者になってしまえば、代理人弁護士としてではなく、直接海賊版サイトと、著作権者本人として闘えると思って作った作品でもありますので、お手にとっていただけると嬉しいです。

今日のまとめ

小山さん:
 そんな感じで海賊版対策をかなり時間と労力をかけて取り組んできましたけれども。

山田さん:
 もしやっていなければ、たぶんどうしようもない状態だった可能性もあって、よく言うんですけれども、1国会議員でもちゃんと動けば世の中を変えられる、もちろん1人で出来ることは限界があるけれども、そこを専門としてしっかりやればできる部分がたくさんあるし、こういう活動はマンガ・アニメ・ゲームを含めたコンテンツ産業をしっかり支える基盤にもなるんだということがわかれば、大変ありがたいです。

中島さん:
 大変な思いをして作られたコンテンツをそのままコピーしてお金を儲ける犯罪は絶対許せませんので、海賊版サイトとは今後も毅然と闘います。

小山さん:
 くれぐれも軽々しく著作物を勝手に、他人のものをアップロードしないように、本当に重罪ですので。

山田さん:
 ということで、今日はどうもありがとうございました。



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虹杜コメント:
 今回の文字起こしは以上です。今回もたくさん要約・カットした部分がありますので、しっかり内容を知りたい方は是非動画の方をご確認下さい。

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