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家庭菜園は農家のたしなみ?

8月後半、「つがる」の収穫真っ只中のりんご農家です。午前中に畑をまわって、収穫できそうなものは収穫しあとは選果。色づきの具合と出荷のノルマとを比べてみたところ、午後はちょっと時間が空く。そうだ!畑をしよう!と思い立つ。畑すなわち家庭菜園です。

農家とは言っても当園はりんご専業、りんご以外のことは全くわからない。そうは言ってもご近所さんを見回すと、果樹の周りで自家用の作物を作っている方々ばかり。まめに草取りをしてきれいに管理して……。どうしてそんなに手がまわるの?そして見事なのを作れるの?と疑問だらけ。

りんご農家、家庭菜園を枯らし続ける黒歴史

我が家も庭にスペースがあって、それこそ家庭菜園にうってつけなのだけれど……草を育てているだけで。子どもたちが毎日ネコジャラシを採っては保育園に持っていっております。
以前にちょろっと夏野菜をやってみたことはあるものの、中途半端にしか世話が続かず出来はイマイチ。最近はとにかく畑(農園のりんごたち)に時間を割きたいので潔く諦める!子育ても忙しいし!草を見ても動じない!を決め込んでおりました。うん、やることやらないことを決める断捨離って実に大事。
……で、時折庭先で会うご近所のおじさんに、りんごが忙しいし子どもたちも小さいのだからしょうがないよ、となぐさめてもらう。(そしてお裾分けをいただく。)
夏草は成長が早いのであっという間に伸びて「空き地」感がただよい、そうなってはじめてビーバーを振る。除草剤は撒きたくないからなのだけど、ビーバーを振り回す庭ってどんなだよ?!とちょっとだけツッコミを入れる。草伸びすぎて子どもたちも庭で遊びづらいレベル。

でも、やっぱり諦めきれない何かがあって時々悪あがきするんです。
ビーバーで草を刈ったあとに管理機をかける。畝を作って堆肥をいれて土を整えて2週間ほど、植え付け。当たり前だけれど、作物をつくるのは瞬間的なイベントではないので、持続的に世話をし続けなければいけない。いっつもこれがネックなんです。草をとって土をあらく整えるところまでできても植え付けの準備までいかない。植えてもその後の管理(追肥とか草取りとか)ができない。

そこで今回はこう決めました!
どこまでできるかな〜続くかな〜できなかったときはそできなかったとき♪という半ば諦めというかふざけたような気持ちで、そして子どもたちがもう少し大きくなったらきっと余裕もできましょうという心のゆとりを持って、でも千里の道も1歩から、もう少し歳を重ねた時に、さらりと自家用の野菜ぐらい育てられるオトナでありたいという野望もちょっとは持ち合わせて。
失敗しても、途中で放り出しても気負わずとりあえずやってみよう。

土いじりってエネルギーを感じる……

今日のパートナーはこちら。ヤンマーのYK650MR。

農家でよかった……と思うのは、思い立てば普通に道具や機械があること。私がこれをりんご畑でつかったことは実はないのだけれど、購入するときに女性も使うので!という条件で選んでいる。おかげで使いやすい。
せっせと汗水垂らしていたところ、りんご畑から立ち寄った夫(当園の園長です)に、トラクターなら数分で終わるよ?と言われる。
若干ショックを受けつつ、ああ合理性って大事だなぁということは認めつつ、でもその数分を捻出できない現実がここにはあって……とまぁ黙々と作業を進めながら考えるわけです。

りんごの作業と違って、「ああ畑仕事しているな〜」という手応えがあるのが不思議。土埃が舞うからか?ある程度力作業だからか?なんだか大地を踏み締めている感覚がしっかりあるというかなんというか……。

目指すは半農半X?

さて、管理機はかけてみたものの、数年放置していた(りんごの苗畑として活用していたけれど)ので草の根がなかなか手強い。さらに深くある程度根を取らないといけないかもな……。けれど時間的に今日はここまで。

最大の課題はここから。持続的にこの土と向き合い続けられるかどうか?
そう、なので最初の決意どおり、気負わず期待せずを心がけながら、けれどもちょっとした隙間時間で向き合い続けるよう、とにかく畑(家庭菜園)に出ることが大事。

個人的には農業と農的なもの、農ある暮らしは全く別物だと考えていて、この認識は年々強くなってきております。りんごは「農的」というよりもなんというか……。りんごを商品として生産している感覚、どちらかというと工場的なもしくは職人技術的な、そもそも仕事としてそのジャンルが農業というだけだよねという感覚。だから農家だって農的暮らしに憧れていたりする。
半農半Xって言葉があるけれど、私の場合はXがりんご農家なわけです。

なんだか「土いじり」してなんとも言えないリフレッシュ感があるなら、そしてそれが暮らしに繋がっている満足感があるなら、ぼちぼちそちらに舵を切っていきたいな(仕事優先ではあるけれど)……そんなことを思った1日でした。

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