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第10回:【インタビュー】なぜプロが、このドキュメンタリーを撮りたいと思ったのか


3月30日、31日の2日間、映像プロデューサーの佐々木 渉さん映像作家の藤代 雄一朗さんと一緒に、新留地区で第一回目のドキュメンタリー撮影を行いました。

実は、佐々木さんは17年前に新留小学校が131年の幕を閉じる際のドキュメンタリーを撮影された方です。お二人には、新留小学校開校に向けての様子や、実際に生徒が入学してからの様子の撮影もしていただく予定です。

今回は、お2人に、小学校設立のプロジェクトに参画を決めたきっかけや想いについて、共同代表の古川瑞樹がインタビューしました。

瑞樹:佐々木さんは17年前、MaxellのCM制作にも携わっていたと伺っているのですが、その新留小学校が新たに復活すると聞いた時、どんなことを思いましたか?

佐々木さん:17年前のMaxellの案件は、今まで自分がやってきた中で1番思い出深いというか。なんとなくあれからずっと”いい思い出”として自分の中にあって、今でも当時の卒業生の3人とか先生とかとも年賀状程度のやりとりを続けていて。最初に古川さんからお話をいただいたときは、「あ、またあそこに行けるんだ。」と。もう一度新留小学校に行く口実ができた感じがして、単純に嬉しかったです。やっぱり17年前のあの仕事は素晴らしい経験だったんだなと思いつつ、それが新たにまた変わっていく過程に自分が携われることが楽しみです。この活動自体はなんていうか、今の日本にとっても意義があるようなことだと感じています。

地域の皆さんに筍をたくさんいただきました!

瑞樹:藤代さんはなぜこのプロジェクトに参画することを決めてくださったのですか?

藤代さん:自分は、新留小学校のことを前からすごく強く認識していた訳ではないんですが、あのMaxellのCMは当時見てた記憶があって。

あとは、最近誰かから、「好きだと思うから見てみてほしい」と言われたCMの一つがあのCMだったので。

佐々木さんから連絡もらったときは、「あの小学校のことか!」と、すぐ分かりました。単純に新留小学校が再開していく様子っていうのはすごく見てみたいなと思って。「やりたいです。」とすぐに返事した感じです。

個人的にも、人口減少の話を自治体の方から相談されて映像を作るとか、そんなお仕事をする機会も多くあったので、関心はすごくあって。そういう意味合いでも、プロジェクトが進んでいく様子をみてみたいなって思って。何が起こるんだろう、っていう興味で、今日も鹿児島に来ました。

瑞樹:なんか、こんな小学校ができれば面白いな、とか、こんなことが起こっていけばワクワクするなっていうこと、何かありますか?

藤代さん:今日、新留地区の人たちと話してたような、盆踊りとか運動会を地域の人たちも交えてやるっていうのは、すごく大事なんだろうなって思ったんですよね。町の活気という意味でも。
どうしても人が減っていったから小学校も休校しないといけなくなったんだろうし、色んな催し物とかもなくなっていっちゃったんだどうけど、それを一つづつ復活させて、活気を取り戻していくことで、「なんかあそこ面白いことやってるな」ってみんなが思って新しい人が入ってきたりとか。

そんなことが実現できればすごく面白いなと思います。


瑞樹:確かに。単に小学校を作るのではなくて、新留の地域の良さみたいなところも知ってもらえるきっかけになるといいですよね。

佐々木さん:今日、新留の人たちが小学校に集まって話している様子とか見ていても、地域=家族っていうか、何年も跨いでいる卒業生だけど、みんなの距離感が近いっていうか。

瑞樹:親戚の集まりくらいの雰囲気でしたね(笑)

佐々木さん:都会とか行くと、親戚の集まりでもなかなかあそこまでフランクな雰囲気にはならないですよね(笑)
あの小さな地域だからこその、ある種特殊な部分なのかなとも思います。今後移住してくる生徒やその家族にとっても、地域が安心できる居場所になればいいですよね。

藤代さん:地域の人たちと会話したり、行事をしたりすることって、小学生の生徒にとってもすごくいい学びになりそうですよね。楽しみ。

瑞樹:最後に、今後映像制作をしていく中で、こんな絵が撮れたらいいなとか、楽しみだなってことはありますか?

藤代さん:僕は新留小学校に行ったのは今回が初めてだったんですけど、校舎の中とかはすごく綺麗に残っていたけど、やっぱり花壇には草が生えてるし、遊具は錆びてて、17年っていう時の流れをすごく感じたんですよね。そこに新しくまた子供たちが入っていって、新しい植物が生えてっていう様子を、昨日今日だけでもすごく想像してしまったんですよね。その様子を早く見てみたいし、映像に残したいなと。

瑞樹:佐々木さんは?

佐々木さん:教育って、農業みたいなものだと思っていて、土を耕して、種を蒔いて。晴れだけではダメで、時々雨も必要だろうし。長いスパンで進んでいくプロジェクトの様子を撮りたいです。

藤代さん:教育っていうものの一種の特徴だと思うんですけど、皆さんが何年も何十年も先の未来を見据えながら話をしている様子が僕からすると新鮮で。プロジェクト自体の時間軸がめちゃくちゃ長いじゃないですか。子供たちが入ってきて、6年間過ごして卒業して、その中で地域が変わっていって。映像の仕事をやっていると一つ一つの仕事が二、三ヶ月スパンなので。

佐々木さん:割とパッと作って、はい次!みたいなことが多いから(笑)

藤代さん:常にそうやって仕事してきたから、皆さんのやっていることを目の当たりにして、既に衝撃を受けてます。

佐々木さん:そうですね。本当にそういう瞬間って、映像では切り取れなくって、小さなことを積み重ねていくしかないんだろうなって思います。

藤代さん:だから私たちもご一緒させていただきながら、色々勉強していきたいです。

瑞樹:ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


クラウドファンディングはこちらから↓


第1回:「ふつうの学校」作ります。設立趣意のようなもの
第2回:「小学校」の概念を見つめ直してみる
第3回:食とことば とは
第4回:ランチルームとライブラリーの可能性
第5回:学び場を軸にした幸福度の高い地域デザイン〜保育園編〜
第6回:学び場を軸にした幸福度の高い地域デザイン〜小学校編〜
第7回:「ふつう」という言葉のこそばゆい感 〜これであなたもふつう通!〜
第8回:ご存知ですか、教育基本法?
第9回:小学校とは地域にとってどういう役割の装置か?
第10回:【インタビュー】なぜ、このドキュメンタリーを撮るのか【今回の記事】
第11回:「これが教育の未来だ」というコンセプトを手放してみてもいいのかもしれない
第12回 まちづくりは人づくりから
第13回:ことばによって世界の解像度を高めよ 〜国語の先生との対話から〜
第14回:第14回:早期外国語教育は必要か?
第15回:第15回:子どもたちの「やりたい!」を実現できる学校を、地域とともに創る
第16回:学校をめぐる地の巨人たちのお話〜イリイチ、ピアジェ、ヴィゴツキーなど
第17回:コンヴィヴィアリティ、イリイチの脱学校から
第18回:これまでのプロジェクト「森山ビレッジ」
第19回:現役中学生たちの、理想の小学校
第20回:理事紹介1・このプロジェクトにかける思い


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