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【社長インタビュー】経営者が学び続けるワケ

皆さん、こんにちは。日本ニューノーズルのnoteを担当している製造部の田中正之です。普段は技術から採用まで幅広い業務を担当しています。

日本ニューノーズルは、主にプラスチックなどの素材を加工する射出成形機の部品を製造している会社です。以下の3つを事業の柱としています。

①部品を生産・販売する製造事業
②サービスパーツを生産・販売するサービス事業
③現在進行中の新規事業の3本柱で事業

毎月更新しているnoteでは、弊社の理念や仕事内容を掘り下げてお伝えしています。今回は弊社代表の望月へのインタビュー。なぜ経営者に学びが必要なのか、どのように学びを経営につなげているのかなど、社長の言葉から弊社の特徴を知っていただけると思います。



<日本ニューノーズル代表の望月>

■社長業をしながら大学院で学んだワケ

―社長は2017年に早稲田大学大学院の経営管理研究科(MBA)へ入学し、2年後に卒業しています。経営者として日々の仕事がある中、なぜ大学院で学ぼうと考えたのでしょうか?
プロフェッショナルは「理論」と「実践」、この両輪を身に付ける必要があると考えています。中小企業は特に、実践は上手くできても、経営を理論や法則として説明できる経営者は、少ないと感じます。
早稲田大学の大学院に入学した時、すでに私は約20年社長業をしており、自分なりに経営の理論も勉強していました。大学院で学ぶ目的は、自分自身の理論と実践が正しいのか答え合わせをすることにありました。それから、会社の財産となる人を育てる際、自分が実践するだけではなく、よりわかりやすく説明するためには、理論を示すことが大切だと感じていました。

―経営における理論と実践について、もう少し詳しく教えてください。
理論は目的までの道筋、実践は目的の実現と捉えてください。会社経営の目的はお金を生み出すことになります。理論では目的地まで、どんな道筋がベストなのか考えます。最も時間をかけずに着きたい時もあれば、のんびり安全に行きたい時や渋滞の可能性があっても最短距離を通りたい時など様々です。経営者には、その道筋を選んだ理由を説明するスキルが必要になります。経営理論を使うと、わかりやすく説明することができます。

■経営に活きる学び 全ての基本は「人」

―理論を学ぶことで実践の場となる経営には、どのように活きてくるのでしょうか?
最も活きるのは資金調達の時です。素晴らしいビジネスプランがあっても資金がなければ実現できないので、資金調達は経営者にとって一番大事な仕事です。資金を得るには私たちの計画の賛同者を増やさなければなりません。例えば、相手に「1万円預けていただければ来月2万円にしてお返しします」と言った時、1万円を出す人、10万円も出す人、100円しか出さない人と反応は異なります。金額の違いは信用の差であり、必要な資金の額が大きくなるほど信用を得るハードルは高くなります。この時に重要になるのが、相手を納得させる根拠です。投資に見合う事業を展開できることを理路整然と説明できなければ、資金調達はできません。

―学びを通じて、これまでの考え方に変化は生まれましたか?
自分が重視してきた考え方を、より大切にしようと感じました。私は経営には組織行動やリーダーシップ、人材マネジメントやマーケティングなど、基本となる8つの専門知識が必要で、教科書通りに事業を展開していくことが成功確率を最も高くすると思っています。大学院で学んだことで、その専門知識に加えて、やっぱり「人」が大切だと改めて感じました。8つの基本を実践するのは人ですし、AIを操るのも人です。従業員それぞれの得意分野を活かして、人を大切にすることが全てのベースにあると考えています。

<所属していたゼミの長谷川博和教授(右)と卒業記念の撮影>

■経営者とアスリートの共通点

―経営者にとって学びが大切な理由が分かりました。週3、4回キャンパスに通い、在籍していたのは最難関のゼミだったそうですね。なぜ、独学ではなく、あえて厳しい道を選んだのでしょうか?
年齢を重ねると体力の衰えを感じると思います。毎年同じ過ごし方をしていると、現状維持さえ難しくなります。運動したり、食事に気を付けたりして、1年前と同じように動けるようになりますよね。企業経営も一緒です。同じことを続けているだけでは衰えていきます。新しい学びが必要になります。経済学や心理学と違い、経営学は30年前の理論は今の時代で役に立ちません。変化が激しい世界で勝ち残るには、最先端の知識が不可欠です。

独学ではなく大学院に通った理由は、その道の超一流に学ぶのが最も効果が高いからです。仕事はスポーツ選手でいえば競技に当たります。コーチのいないトップアスリートは、ほとんどいないはずです。トレーニング、データ分析、食事など各分野の専門家の力を借りて、トップレベルを維持しています。独学で成功している選手は天才か奇跡か、どちらかだと思います。プロフェッショナルには一流のコーチが必要なわけです。私にとっては、経営の基本を超一流の専門家から学ぶことが重要でした。

<大学院での学びは想像を超える厳しさだったそうです>

■譲れなかった立地 本社移転で活きた理論

―今までに経営者として最も理論が必要だった場面を教えてください。
2017年の本社移転です。清水港に近い清水区八千代町から、現在の葵区竜南に工場を移しました。本格的に計画を進めた期間だけでも5年以上かかり、構想自体はもっと前から練っていました。静岡市の場合、この規模の工場は大半が中心市街地から距離のある山の方にあります。ところが、私たちの工場があるのは市街地まで車で10分ほどの住宅街です。最初は計画に協力してくれる人はいませんでした。そこで、根拠を示して、この場所への移転にこだわる理由を説明しました。少しずつ賛同、協力してくれる方が増えて、最終的に移転が実現しました。経営者として資金調達のためのプレゼンテーションの力が問われた仕事でした。私たちのプランの成功確率がいかに高いか、根拠を示して説明する時に、経営理論が役に立ちました。

―なぜ、そこまで立地にこだわったのでしょうか?
優秀な人材を獲得するためです。それ以外の理由はないというくらい譲れない部分でした。仕事自体に魅力があっても、勤務場所へのアクセスが悪いという理由で優秀な人材を逃す可能性があります。人材を獲得できれば生産量を増やせますし、事業を継続できる確率も高くなります。先ほど「人を大切にすることが全てのベース」というお話をしましたが、行き着くところは「人」だと思っています。

<経営者が学び続ける必要性を語る社長>

■近年の流行リスキリングの考え方

―最近は従業員のリスキリング(業務に役立つ技術や知識の学び直し)をサポートする企業が増えています。従業員の学びについて、どのように考えていますか?
企業が学費を補助することはとてもよいことだと思います。しかし当社は今、その制度はありません。従業員がこれからの時代、求められるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを学ぶことを企業がサポートするのは、人を集める手段としては有効かもしれません。ただ、自分のお金や時間を使わなければ、知的好奇心を満たすことはできますが、学びの実践が、お金を産み出すことは難しいかもしれません。私としては、本気で学んだ従業員のスキルや知識を発揮できる場をつくることが、本人が喜びを感じる機会であり、経営者の役割だと考えています。

以上、弊社代表の望月へのインタビューでした。経営戦略についての考え方をもっと知りたい方は、社長がパネリストとして参加した早稲田大学国際ファミリービジネス総合研究所のディスカッションの動画をご覧ください。設備投資の判断となる条件などを議論しています。

https://www.youtube.com/watch?v=iPsjejnfQWQ&t=1695s

次回のnoteも楽しみにしていてください。
1つお知らせです。11月17日から3日間、静岡市内にあるモノづくりの企業24社による「ファクハク 静岡工場博覧会2023」が開催されます。普段は公開していない工場を見学できるイベントで、弊社も参加します。(前日までの予約が必須です)ぜひ、ご来場ください。

<ファクハク 静岡工場博覧会2023>

■会社HP
http://nihon-new-nozzle.co.jp/


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