ガメンノムコウデ ~#2000字のホラー~
なんとなく予感がしていた。
その気持ちを消したくて、あえて言ってみたのだ。
そう、軽いノリだった、はずなのに。
10年前に、わたしは地元を飛び出した。
親にも告げずに会社をやめて、退屈な毎日にサヨナラしたのだ。
最低限の着替えと、広い世界への憧れを小さなバッグに詰めて、長いレールの先にある、人が溢れたこの街に来た。まだ22歳だった。
就職してすぐに、付き合い始めたひとは、ひと回り年上の、いつも笑っている人だった。
楽しくて笑っているのか、笑ってしまう癖がある人だったの