噂のゲ謎を観てきた。

めちゃくちゃザックリした感想垂れ流し。



噂に聞くほど陰鬱さや怖さは無かったな、という印象。
グロさはまあまああるから、苦手な人は苦手の可能性があるが、私は全く平気だった。アニメ表現のグロ耐性が高い人は全く問題ないと思う。
期待しすぎると肩透かしを食らうかも、とは聞いていたものの、期待していたのだろう、多少物足りなさはあったが、良かったと思う。
期待値が高めでも遺憾無く発揮したのは戦闘シーンだと思う。戦闘シーン好きな人は見たら楽しいと思う。

全体的に面白いというかよく出来た映画だなという印象がある。
ちょっとづつ色んな要素をつまみ食いさせつつ上手く纏めてあるなと感じる。
色んな要素のつまみ食いって?となると思うのだが、これは私の個人の印象で言うと、
ホラー要素、バディもの要素、ミステリー要素、因習村要素、妖怪もの要素、人情もの要素、和風ファンタジー要素、バトルもの要素、
あたりを満遍なくつまみ食いさせてくれる。
ただ、これの中で複数を普段からガッツリ食べ慣れてる人にとっては物足りない、というのも頷ける。

で、本当にまとめ方が上手い。
序盤は説明がほとんどないが、要所要所できちんとそれぞれのキャラの行動目的や関係性が提示されるので、モヤモヤしないなと思う。
唯一あるとしたら、最後の方の水木の変化がもう少し深掘りというか、丁寧に描写されていたら自然だったように思うのだが、もしかしたら多少駆け足になったのかもしれない。

とはいえ、特筆して気になるという所はそこぐらいなので、これだけの要素を本当に上手くまとめてるんだなあ、という感想になる。
あ、最後の〆方はまあ綺麗にまとめようとしたぜ感はあったなと思う。

豚骨ラーメン背脂マシマシを期待したらあっさり塩ラーメンだった、という差はあれど、塩ラーメンは美味しかったのである。

さてここからネタバレを含みつつ私の興奮ポイントを話していきたい。

もうバトルシーン良かった。本当にめっちゃ良かった。
有名なアニメーターさんが描かれたと聞き及んでいたので期待値はそもそも高めだったわけだが、もう本当にめちゃくちゃ良かった。
カッコイイ。凄い。イケてる。
戦闘シーンだけ円盤になっても私は買うな、と思った。
動きがダイナミックでアニメならではの動きや演出でありながら、とっっってもリアリティのある動きをたくさんするんですよ。
重力も感じられる。
それにゲゲ郎の下駄の動き、何かしらのこだわりを感じました。あんなにカッコイイのか下駄!!!
あの下駄食らって死にたいから裏気道衆になりたいまであるね。間近で見たい。
戦闘シーン最高でした本当に。

そんで次、長田と乙米。
ゲゲ郎が妻だけは助けて欲しいと頭を下げるが受け入れて貰えず、ボコられ連れ去られ……水木が振り返ったシーンだったかな、そこで乙米に対して跪く長田の絵が入ったのだが、あれ凄い。
あの一瞬で二人の関係性を提示するの凄くて思わず唸った。
龍賀一族の女たちの闇も同時に垣間見た瞬間でもあり、今回描写された龍賀一族の女たちの中で乙米だけが唯一恵まれていたのだなとも思った。
龍賀一族の女たちは皆、嫌な役割を背負わされてきたのだなというのが分かる。

そんで最後の方で長田が乙米さんと咄嗟に呼んだのも、仇をうったのも、乙米への情の深さが描かれていて切なくなった。

何気にしっかり描写されていた長田。
長田に狂わされているSNSの人間たちって多分これのせいだろうな、と思った。

他にも沙代ちゃんのことや時ちゃんのことも色々言いたいことがあるが、それより他に言いたいことがあって。

救いがない、と言われていたけど、そうでもないのでは、というのが所感。

確かに誰も幸せになれていない感じなので、幸せをもって救いとするなら鬼太郎が産まれたことと目玉のおやじとして側にあれたことかなと思うのだが。

意外と救われているなと思ったのには訳があって、まず、「M」の製造過程でのたくさんの死人のようなもの達、永遠に続く苦しみからは解放されている。
他にも、長田は乙米を助けられなかったが、仇はしっかり討ったこと。
ゲゲ郎が最愛の奥さんと、生きて再会出来たこと。これ特に死んでてもおかしくなかったからね。
ゲゲ郎が、先が見てみたいと子供と友の事を考えられたこと。
というかこれ今回の事でゲゲ郎は凄いんですよ、こんな地獄の中で、奥さんに生きて再会する、奥さんとの子供を得る、何より人間の相棒であり友を得て、ご先祖さまたちの助力も、強いアイテムも得てる。
執念で目玉のおやじになって息子の成長を今も見届け今も温泉に浸かってるので、ゲゲ郎何気に凄いことになっている。
そんで次、水木は地位や富名声を得て踏み潰されないように生きたいと言っていたが、最終的にもっと大事な物を掴んで生還するという強さを見せつけている。凄い。
更に次、龍賀時貞はしっかり永遠の罰に苦しみ続けている。ちゃんと罰せられてる!凄いぞ!罰せられないで死ぬのかと思ったら、なかなかしっかり罰を受ける形に落ち着いてて良かった。
そんで狂骨たちもゲゲ郎の献身と、その後の鬼太郎たちの働きによってちゃんと消滅させられているし、なにより狂骨になってしまった時ちゃんも、ちゃんと最後は解放されたようだったので本当に良かったと思う。

というわけで、死屍累々で村は滅びたが、悪は潰えたし永遠の苦しみから救われるべきもの達は救われていたなと感じました。

私はてっきり救いがないっていうあちこちからの前評判から、ゲゲ郎も水木も死ぬのかと思ってました。敵にはめられて互いを疑ったりするのかと思ったし、そこを付け入られて罠に落とされどっちかが死に後を託し、敵を倒すと同時にもう片方も死ぬ、因習村も容赦なく滅びるくらいあるのだろうな、と思っていた。
見始めも、ぶっちゃけゲゲ郎は奥さんに会えない(間に合わなかった)か、間に合ったが声を聞くことも無く死んでて、亡骸だけは自分も死にかけの状態でなんとか持ち帰り、その亡骸を土に埋めて事切れる寸前、墓から鬼太郎が産まれて執念で目玉のおやじになる、くらいのレベルかと思っていた。

全然そんなこと無かった。びっくりした。
想像してたものの方が悲惨だった。
まあ水木はほとんど記憶がない(狂骨のせいと思われる)(ちゃんちゃんこのおかげで心は壊れないだろうとの事だから記憶だけで済んだらしい)から、この話において水木は本当にめちゃくちゃ被害者だった。
せっかく得た新しい大事な様々なもの、失ってるやんけ。
とはいえ、記憶がなくても、ゲゲ郎との約束などがどこかしらに残っているようで、鬼太郎を殺さずに抱き締めているから、失うばかりではなかった事が分かる。
あと約束は守る、って言った事がここに来て回収されたのかな、とかも思った。
水木は約束を守った。

水木はあの村で得たものをほとんど失って帰ってきたけど、多分それは、ゲゲ郎に忠告されたように、沙代ちゃんに向き合えなかった罰なのかもなあ、などと思ったりした。この映画が全体的に因果応報な感じがあるので、意図して記憶の下りは書かれてるかもしれない。
まあ私の単なる憶測ですけども!

そういうわけで、面白い映画でした。
私は戦闘シーンと、水木の時貞へ放ったセリフ、あんたつまんねえな!(斧振り下ろし)と、ゲゲ郎が自分の身を犠牲にしようとする時に対する、やらせとけばいいじゃねえか!の、振り切れ具合が好きです。いいね、素直になったというか、キレてるというか、何かずっと背負ってた重しを遂に投げ捨てたかのような感じが好きです。
というか銃ぶっぱなしたあたりからの水木の振り切れが面白かったです。
釣瓶火なんかのあたりとか、適応力の高さが垣間見えて面白かったです。

戦闘シーン映画館でもう一回観たいなあ。

以上


2023.12.02(土)

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